A1 | Before the Night Is Over | B1 | I've Got You Where I Want You |
A2 | Nice Guys Finish Last / Runaway | B2 | Rock Me Baby |
A3 | I Don't Want to Get over You | B3 | Take Me There |
A4 | One of These Days | B4 | Trapeze |
A5 | Things I Meant to Say | B5 | Israel |
遠い昔、写真にハマっていた頃、白黒フィルムが好きでした。
白黒フィルムで写真を撮る、という行為はたまらなくロマンティックで、エキサイティングだったのです。若い私は夢中になりました。
白黒で撮ることは、白黒でしか撮れないこと。色を失った世界に縛られるのは、不便には違いありません。でもとても楽しい。不便ゆえに楽しいのです。
色を見せられなくても、色を伝えることはできる。見事な色彩に遭遇したら、いかにして色を伝えるか、あるいはいかにして色を伝えたい思いを込めるか。
はたまた色のない世界を逆手に取って、構図や造形の面白さ、光と影の美しさをいかに追求するか。
何とロマンティックで、何とエキサイティング。私を魅了したのは、まさにこれでした。
デジカメ全盛時代の今なら、写真データを画像ソフトで白黒に変換すればいいだけ。後でどうとでもなります。たしかに便利です。しかしロマンティックでもなければ、エキサイティングでもない。
白黒であることの覚悟や必然性は、やはりフィルムの不便さと深い関係にあります。どうしても白黒で撮りたい、撮らなきゃならねえんだ、そういう撮影者の信念は、便利きわまる今のデジカメ時代、希薄になったような気がしませんか。
さて、アナログ・レコードのジャケットには白黒写真の名ショットが数多くあります。いずれも白黒であることの特性を活かしたものばかりで、感心させられることしきり。
10ccの『オリジナル・サウンド・トラック』やスティーリー・ダンの『プリッツェル・ロジック(さわやか革命)』、ボズ・スキャッグスの『スロー・ダンサー』など、色があったら台無しの、見事なアートワークです。
というわけで本作。ハンサムで長髪なおっさんの、白黒ジャケット。かっこいいですね。
そしてこのジャケットには、白黒でなければならない理由があるのです。
ジャケットの裏にも、マーカス・ジョセフの写真があります。こんな感じ。
マヌケな犯罪でパクられた輩、といった雰囲気ですな。見て下さい鼻から頬にかけて、真っ赤に日焼けしています。このままカラー写真はきつそうだ。
ゴルフ焼け、テニス焼け、あるいは農作業でもしていたのか。ともあれスタジオもカメラマンも手配しちゃったからには、ちょっとやそっとの日焼けごときでジャケット撮影を延期になんかできません。
カメラマン(この業界ではけっこう名の知れた人)は当日スタジオに現れたジョセフを一見するや、この赤ら顔は修正せなあかんと感じたそうです。そこで機材のチェックをしていたアシスタントに「おーい、この人の顔に白粉塗ってくれ」と指示しました。
するとジョセフは激高。白粉を手に近づいてきたアシスタントを殴りつけ、カメラマンを睨んで「なんでオレが白粉塗らなきゃいけねーんだこの野郎」と絶叫したのです。
ジョセフの凄まじい剣幕に恐怖したカメラマンは白粉を諦め、カラー撮影も断念して、白黒フィルムで撮影することに決めたのでした。というのは私の妄想なんだが、それくらい、どうしても白黒でなければならない撮影者の信念を強く感じるジャケット写真なのであります。
なかなかコワモテのジョセフ。でも音楽はやさしげです。そこが長所であり、物足りない面でもある。
B4はトニー・シュートの曲。トニー・シュート本人が後年、自ら歌ったバージョンの方がずっといい。私がジョセフに感じた物足りなさを、作者であるトニー・シュート自身も感じていたのかもしれません。それで自分で歌っちゃった、と。
白黒フィルムで写真を撮る、という行為はたまらなくロマンティックで、エキサイティングだったのです。若い私は夢中になりました。
白黒で撮ることは、白黒でしか撮れないこと。色を失った世界に縛られるのは、不便には違いありません。でもとても楽しい。不便ゆえに楽しいのです。
色を見せられなくても、色を伝えることはできる。見事な色彩に遭遇したら、いかにして色を伝えるか、あるいはいかにして色を伝えたい思いを込めるか。
はたまた色のない世界を逆手に取って、構図や造形の面白さ、光と影の美しさをいかに追求するか。
何とロマンティックで、何とエキサイティング。私を魅了したのは、まさにこれでした。
デジカメ全盛時代の今なら、写真データを画像ソフトで白黒に変換すればいいだけ。後でどうとでもなります。たしかに便利です。しかしロマンティックでもなければ、エキサイティングでもない。
白黒であることの覚悟や必然性は、やはりフィルムの不便さと深い関係にあります。どうしても白黒で撮りたい、撮らなきゃならねえんだ、そういう撮影者の信念は、便利きわまる今のデジカメ時代、希薄になったような気がしませんか。
さて、アナログ・レコードのジャケットには白黒写真の名ショットが数多くあります。いずれも白黒であることの特性を活かしたものばかりで、感心させられることしきり。
10ccの『オリジナル・サウンド・トラック』やスティーリー・ダンの『プリッツェル・ロジック(さわやか革命)』、ボズ・スキャッグスの『スロー・ダンサー』など、色があったら台無しの、見事なアートワークです。
というわけで本作。ハンサムで長髪なおっさんの、白黒ジャケット。かっこいいですね。
そしてこのジャケットには、白黒でなければならない理由があるのです。
ジャケットの裏にも、マーカス・ジョセフの写真があります。こんな感じ。
マヌケな犯罪でパクられた輩、といった雰囲気ですな。見て下さい鼻から頬にかけて、真っ赤に日焼けしています。このままカラー写真はきつそうだ。
ゴルフ焼け、テニス焼け、あるいは農作業でもしていたのか。ともあれスタジオもカメラマンも手配しちゃったからには、ちょっとやそっとの日焼けごときでジャケット撮影を延期になんかできません。
カメラマン(この業界ではけっこう名の知れた人)は当日スタジオに現れたジョセフを一見するや、この赤ら顔は修正せなあかんと感じたそうです。そこで機材のチェックをしていたアシスタントに「おーい、この人の顔に白粉塗ってくれ」と指示しました。
するとジョセフは激高。白粉を手に近づいてきたアシスタントを殴りつけ、カメラマンを睨んで「なんでオレが白粉塗らなきゃいけねーんだこの野郎」と絶叫したのです。
ジョセフの凄まじい剣幕に恐怖したカメラマンは白粉を諦め、カラー撮影も断念して、白黒フィルムで撮影することに決めたのでした。というのは私の妄想なんだが、それくらい、どうしても白黒でなければならない撮影者の信念を強く感じるジャケット写真なのであります。
なかなかコワモテのジョセフ。でも音楽はやさしげです。そこが長所であり、物足りない面でもある。
B4はトニー・シュートの曲。トニー・シュート本人が後年、自ら歌ったバージョンの方がずっといい。私がジョセフに感じた物足りなさを、作者であるトニー・シュート自身も感じていたのかもしれません。それで自分で歌っちゃった、と。
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Produced by Parker McGee
In Nashville
Studio: Lee Hazen’s Studio by the Pond Soundshop B
Engineer: Marshall Morgan
Players
Guitars: Steve Gibson, Marcus Joseph
Keyboards: Shane Keister
Bass: Jack Williams
Drums: Larry London
Background Vocals: Sherry Kramer, Lisa Silver & Diane Tidwell
In Los Angeles
Studio: Larrabee Sound
Engineer: Mark Piscitelli
Second Engineer: Sherry Klein
Players
Guitars: Marty Walsh, Marcus Joseph
Keyboards: Steve Pocarro, Charlie Harwood, Richard Haxton
Base: Mike Pocarro
Drums & Percussion: Ralph Humphrey
Saxophone: Jimmy Roberts
Harp: Gayle Levant
Background Vocals: Marcus Joseph, Parker McGee, Dan Seals, Leslie & Kelly Bulkin and Laurie Hart
Strings Arranged by Jack Williams, Played by Shelly Kurland Strings
Remixed With the Use of the Aphex Aural Exciter
Photography: Norman Seeff
Art Director: Bob Defrin
In Nashville
Studio: Lee Hazen’s Studio by the Pond Soundshop B
Engineer: Marshall Morgan
Players
Guitars: Steve Gibson, Marcus Joseph
Keyboards: Shane Keister
Bass: Jack Williams
Drums: Larry London
Background Vocals: Sherry Kramer, Lisa Silver & Diane Tidwell
In Los Angeles
Studio: Larrabee Sound
Engineer: Mark Piscitelli
Second Engineer: Sherry Klein
Players
Guitars: Marty Walsh, Marcus Joseph
Keyboards: Steve Pocarro, Charlie Harwood, Richard Haxton
Base: Mike Pocarro
Drums & Percussion: Ralph Humphrey
Saxophone: Jimmy Roberts
Harp: Gayle Levant
Background Vocals: Marcus Joseph, Parker McGee, Dan Seals, Leslie & Kelly Bulkin and Laurie Hart
Strings Arranged by Jack Williams, Played by Shelly Kurland Strings
Remixed With the Use of the Aphex Aural Exciter
Photography: Norman Seeff
Art Director: Bob Defrin
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