2019/08/14

David Hudson / To You Honey, Honey with Love ('80)

A1Honey, HoneyB1Ease Up
A2When I'm Lovin' YouB2Let Me Wrap You in My Love
A3I Have Never Loved a Woman (the Way I Love You)B3Scratch My Back
A4I Must Have Your LoveB4Pump It
 ジャケットをごらん下さい。いろいろなものが並んでいますね。女性の写ったポラロイド写真、100フランの紙幣、鍵、上等そうなボールペン、そしてホテル備え付けの便せん。
 この便せん、パリの高級ホテル「ホテル・ジョージ5世」のものらしい。『刑事コロンボ 毒のある花』で、被害者が泊まろうとしていたホテルですな。
 パリ観光(または出張)をしてホテルに戻り、さてと家で待つ女房に手紙を書こうかな、といったストーリーをにおわせるジャケットです。

 便せんには青いペンで、筆記体の文章がしたためられています。がんばって解読すると「お前がいなくて寂しいけどよ、パリはいいところだぜ」といったようなことが書かれているっぽい。
 この便せんに綴られた筆記体は、とてもキレイで読み易い。グチャグチャだったら、私なんかにゃとても読めんかったでしょう。

 そういえば、最近の中学校は英語の授業で筆記体を教えていないらしい。これも時代の流れなんでしょうか。筆記体の読み書きができずに詰んでしまう状況って、普通に生きていても滅多になさそうだし。ま、くずし字が読めなくて古文書を前に途方に暮れようとも、実生活にはまったく差し障りないのと同じようなもんです。

 時代の流れを感じるのは、ポラロイド写真もそう。
 デジカメがまだなかったフィルムカメラの全盛期、フィルムの現像とプリントは写真屋さんにお願いしていました。面倒くさいし、時間もかかる反面、プリントが仕上がるまでのワクワク感は楽しくもありましたよね。ともあれ、エッチなフィルムを写真屋さんに持ち込むのは恥ずかしい、あるいは勇気を奮って持ち込んだとしても、エッチなプリントを写真屋さんが拒否したりと、エッチな写真に対するハードルはとても、とても高かった。
 一部の写真好きには、自家現像に走る人もいました。しかし大多数の人々がエッチな写真を恣に撮れるようになったのは、ポラロイドが登場してからなのです。

 本作のジャケットに並べられたポラロイド写真は、モロ出しの性器はないものの色っぽい女性たちで、明らかにそっち方面でのポラロイドの活用を想起させます。旅先でハメを外した、というかハメちゃったわけね。
 旅先でやることやっておきながら、女房には寂しいよと手紙を書く。いやあ、何て男らしいんだ。

 アルバムの内容は、実直なブラコンです。ポップでありながら甘口でも薄味でもない、男の包容力と猛々しさが溢れ出す旨味たっぷりのブラコン。大人の音楽がここにあります。
 A1の、イントロから歌い出しに入るところ、「あー」というタメ息のような、吐息のような声にゾクゾクしてしまう。本作には心に残る切ないメロディが多く、これからブラコンを聴いてみたい、とのたまうブラコン未開拓の方々にも、安心してオススメできます。
★★★

Produced by Willie Clarke
A3 Produced by Willie Clarke & Tony Battaglia
B2 Produced by Willie Clarke, Horace Straws, Nathaniel Dean

Mix on B4: Steve Thompson
Mix Engineer: Ann Holloway
Recording Engineers: Willie Clarke, Freddy Stonewall, George "Chocolate" Perry, Nathaniel "Snoopy" Dean, Horace Straws
Horns and Strings: Mike Lewis
Art Direction: Rob Vaughn
Photographer: Marc Vaughn
Album Coordinator: Joyce Straws, Katie Kahrs

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