A1 | Latin Blues | B1 | Soul Sauce |
A2 | Milestones | B2 | Lullaby of Birdland |
A3 | It Could Happen to You | B3 | El Titere |
A4 | Mambo for Cal | B4 | Noche De Salsa |
サルサ界の大物、ルイ・ラミレス。
80年代のサルサ・シーンを背負ってプロデュース業に精を出していた彼が、タイトルそのまんま、カル・ジェイダーのトリビュート・アルバムを手がけました。
業界の大先輩に敬意を表してか、いちヴィブラフォン奏者に徹しています。
憧れのジェイダーを追いかけて、来る日も来る日も練習に明け暮れた青春時代を思い出しながら、ときに激しく、ときに優しく、音板を叩いて叩いて叩きまくり、ラミレス自身がプレイヤーとして原点回帰した1枚。
それゆえ当時、ラミレスや弟分のイシドロ・インファンテが推進していた水商売っぽいサルサのサウンドはこれっぽちもなくて、バンド・メンバー同士が演奏力を激しくぶつけ合うラテン・ジャズのセッションと化しています。
あまり手の込んだアレンジもなく、最小限の決めごとだけあって、後は流れで…という、何だか相撲のような一発勝負のレコーディング。ラミレス親分の呼びかけに、サルサ界のファースト・コールが応召しました。集まったミュージシャンはいずれも、名高い実力者ばかりです。
A1は親分の、ヴィブラフォニスト宣言。このアルバムは、オレのヴァイブで行くぞ、主役はオレなんだぞ、そう冒頭で謳っているわけです。マレットの先っちょから謎の液体が漏れ出そうなくらい、乱打乱撃やりたい放題。あまりにも暴れ回るものだから誰もいなくなってしまい、ひとりポツンと終わるところまでがお約束の流れ。
A2は有名なジャズ・ナンバーですね。このアルバムは、ジャズの作法で行くぞ、と親分がバンド・メンバー、およびリスナーに念を押しています。しかしマイルス・デイヴィスのクールな音世界とは似ても似つかぬ、ホットな乱痴気騒ぎに終始してしまいました。あたかも学級崩壊した教室のように、バンドのエネルギーが張り裂けそうなくらい充満しています。
たくさんのミュージシャンが取り上げてきたスタンダードのA3。マイルスがホットに演奏したこの曲を、ラミレス軍団はクールに奏でています。A2とA3をつがいのネタにして、マイルス愛を織り込みました。暑気の中を吹き抜ける、涼風のようなトラック。ガチガチに締めていた括約筋から、緊張がスーッと抜けていきます。このリラクゼーション、たまりません。
本作で唯一、リード・ヴォーカルをフィーチャーしているB3。いたって普通のサルサです。しかし当時最先端のキラキラ、ギラギラしたサルサではなく、例えばレイ・バレットあたりがふんどし一丁で荒れ狂っていた時代の、プリミティヴなサルサに近い感触。
もしかしてラミレス親分の胸中に、今のサルサってずいぶん洗練されちゃったよね、調子乗りすぎたなオレら…そういった反省でもあったのでしょうか。
サルサを近代化するべく、休むことなくひたすら走り続けてきた親分が、ふと立ち止まったのです。ジェイダーのトリビュートという体裁で、60年代や70年代をもいっぺん見直そうぜ、そう提唱したかったのかもしれませんなあ。
しかし若頭のイシドロ・インファンテは、「あまりやりすぎるなよ」という親分のブレーキにいっさい耳を貸すことなく、その後も走ることを止めませんでした。
サルサをネオンやシャンパンの似合う、おしゃれで遊び好きな都市生活者のBGMへと変革します。加速しながら80年代を走り続けたインファンテは、ラテン・ジャズともブーガルーとも決別し、やがてサルサを新たな、煌びやかなジャンルへと発展させました。"Night Gold"も、そういったサルサ史の1ページとして聴くと感慨ひとしお。
80年代のサルサ・シーンを背負ってプロデュース業に精を出していた彼が、タイトルそのまんま、カル・ジェイダーのトリビュート・アルバムを手がけました。
業界の大先輩に敬意を表してか、いちヴィブラフォン奏者に徹しています。
憧れのジェイダーを追いかけて、来る日も来る日も練習に明け暮れた青春時代を思い出しながら、ときに激しく、ときに優しく、音板を叩いて叩いて叩きまくり、ラミレス自身がプレイヤーとして原点回帰した1枚。
それゆえ当時、ラミレスや弟分のイシドロ・インファンテが推進していた水商売っぽいサルサのサウンドはこれっぽちもなくて、バンド・メンバー同士が演奏力を激しくぶつけ合うラテン・ジャズのセッションと化しています。
あまり手の込んだアレンジもなく、最小限の決めごとだけあって、後は流れで…という、何だか相撲のような一発勝負のレコーディング。ラミレス親分の呼びかけに、サルサ界のファースト・コールが応召しました。集まったミュージシャンはいずれも、名高い実力者ばかりです。
A1は親分の、ヴィブラフォニスト宣言。このアルバムは、オレのヴァイブで行くぞ、主役はオレなんだぞ、そう冒頭で謳っているわけです。マレットの先っちょから謎の液体が漏れ出そうなくらい、乱打乱撃やりたい放題。あまりにも暴れ回るものだから誰もいなくなってしまい、ひとりポツンと終わるところまでがお約束の流れ。
A2は有名なジャズ・ナンバーですね。このアルバムは、ジャズの作法で行くぞ、と親分がバンド・メンバー、およびリスナーに念を押しています。しかしマイルス・デイヴィスのクールな音世界とは似ても似つかぬ、ホットな乱痴気騒ぎに終始してしまいました。あたかも学級崩壊した教室のように、バンドのエネルギーが張り裂けそうなくらい充満しています。
たくさんのミュージシャンが取り上げてきたスタンダードのA3。マイルスがホットに演奏したこの曲を、ラミレス軍団はクールに奏でています。A2とA3をつがいのネタにして、マイルス愛を織り込みました。暑気の中を吹き抜ける、涼風のようなトラック。ガチガチに締めていた括約筋から、緊張がスーッと抜けていきます。このリラクゼーション、たまりません。
本作で唯一、リード・ヴォーカルをフィーチャーしているB3。いたって普通のサルサです。しかし当時最先端のキラキラ、ギラギラしたサルサではなく、例えばレイ・バレットあたりがふんどし一丁で荒れ狂っていた時代の、プリミティヴなサルサに近い感触。
もしかしてラミレス親分の胸中に、今のサルサってずいぶん洗練されちゃったよね、調子乗りすぎたなオレら…そういった反省でもあったのでしょうか。
サルサを近代化するべく、休むことなくひたすら走り続けてきた親分が、ふと立ち止まったのです。ジェイダーのトリビュートという体裁で、60年代や70年代をもいっぺん見直そうぜ、そう提唱したかったのかもしれませんなあ。
しかし若頭のイシドロ・インファンテは、「あまりやりすぎるなよ」という親分のブレーキにいっさい耳を貸すことなく、その後も走ることを止めませんでした。
サルサをネオンやシャンパンの似合う、おしゃれで遊び好きな都市生活者のBGMへと変革します。加速しながら80年代を走り続けたインファンテは、ラテン・ジャズともブーガルーとも決別し、やがてサルサを新たな、煌びやかなジャンルへと発展させました。"Night Gold"も、そういったサルサ史の1ページとして聴くと感慨ひとしお。
★★★ | 採点表を見る |
Personel
Tony Barrero: Trumpet
Al Torrente: Trumpet
Larry Spencer: Trumpet
Steve Gutman: Trumpet
Isidro Infante: Keyboards
Johnny Torres: Bass
Ruben Rodriguez: Bass
Papo Pepin: Conga
Tito Ocasio: Bongoes
Jose Mangual: Percussion
Paquito D'Rivera: Alto Sax
Mario Rivera: Flute, Tenor, Soprano Sax
Mitch Freman: Sax
Larry Farrel: Trombone
Jose Fajardo: Flute
Ray de la Paz: Vocal
Yayo El Indio: Coro
Adalbelto Santiago: Coro
Ray de la Paz: Coro
Louie Ramirez: Timbal, Vibes, Synthesizer
Arrangements: Louie Ramirez, Isidro Infante (B3)
Produced by Louie Ramirez
Recorded at La Tierra Sound N. Y. C.
Engineer: Irv Greenbaum
Master by Sound Technique Inc.
Photos by Ricardo Betancourt
Design by Jose Exposito
Manufacturing: Lee Myles Associates
Executive Producers: Sergio Bofill, Humberto Corredor
Tony Barrero: Trumpet
Al Torrente: Trumpet
Larry Spencer: Trumpet
Steve Gutman: Trumpet
Isidro Infante: Keyboards
Johnny Torres: Bass
Ruben Rodriguez: Bass
Papo Pepin: Conga
Tito Ocasio: Bongoes
Jose Mangual: Percussion
Paquito D'Rivera: Alto Sax
Mario Rivera: Flute, Tenor, Soprano Sax
Mitch Freman: Sax
Larry Farrel: Trombone
Jose Fajardo: Flute
Ray de la Paz: Vocal
Yayo El Indio: Coro
Adalbelto Santiago: Coro
Ray de la Paz: Coro
Louie Ramirez: Timbal, Vibes, Synthesizer
Arrangements: Louie Ramirez, Isidro Infante (B3)
Produced by Louie Ramirez
Recorded at La Tierra Sound N. Y. C.
Engineer: Irv Greenbaum
Master by Sound Technique Inc.
Photos by Ricardo Betancourt
Design by Jose Exposito
Manufacturing: Lee Myles Associates
Executive Producers: Sergio Bofill, Humberto Corredor
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