2026/02/20

The Masqueraders / Love Anonymous ('77)

A1Modern Day WomanB1The Bicentennial
A2Love Between a Woman and a ManB2Be for Real
A3Can't Nobody Love Me Like You DoB3It's a Terrible Thing To Waste Your Love
A4Love AnonymousB4Runaway Slave
 アイザック・ヘイズがプロデュースしたディスコ・アルバム。

 アイザック・ヘイズと聞いて、まっさきに思い浮かべるのは『ニューヨーク1997』に登場した、手に負えないおじさん。
 いやあ、あれはキョーレツでしたね。彼がミュージシャンなのは、映画を見てからずっと後になって知りましたよ私は。
 たくさん映画に出ている人ではないので、凶暴な印象が希釈されることもなかったのです。そういう意味では『ダーティハリー』でさそりを演じたアンディ・ロビンソンに近いものがあります。

 アイザック・ヘイズ。
 本業は歌手、キーボード・プレイヤー、ソングライターそしてプロデューサー。
 音楽業界に絶大なる影響力を誇る、ソウルの巨人です。
 なので仮に君臨しているシマを音楽業界から無法地帯に移してしまえばそのまま、『ニューヨーク1997』でヘイズが演じた役どころになるわけ。

 さて本作が誕生したのは、『ニューヨーク1997』製作から数年前のこと。時はディスコ真っ盛りです。

 ブームに便乗しようと目論んだソウルの巨人が、ダラスで昔から活動しているグループに目をつけました。それがザ・マスカレイダーズ。
 古臭い音楽をやっていた彼らをメンフィスにさらって来て、息のかかった人脈を総動員し、内装も外装もほとんど総とっかえしてモダンなディスコ仕様にカスタマイズしました。

 ソウルの巨人が丹精込めたにもかかわらず、この時代のディスコ音楽にありがちな、軽妙洒脱な感じはあまりしません。
 サラッとしていない。ややドロッとしています。スープカレーではなく、給食のカレーです。具が大きい。

 のっけからやたらと気合の入ったA1、かっこいいですね。お、これはいいアルバムかもしれないと、ナイスな予感あふれるオープニング。
 タイトル・チューンのA4は陽気なイケイケ・ナンバー。ほんのりタヴァレスっぽい。しかしダヴァレスほど洗練されていない。そこは給食のカレーなので。

 これをダンスフロアでかけるのちょっと無理じゃん、と思えなくもないゆっくりバラードのB3でびろーんと弛緩して、おいなりさんでろーんと伸びきった果てにドラマティックな大作B4が控えています。この急展開が本作いちばんの聴きどころ。

 B4は逃亡奴隷を意味するタイトルです。この年、ドラマ『ルーツ』が全米で話題になっていました。何らかの影響を受けた可能性はあります。
 いずれにせよ「自由になるんだー」という叫びを作品に盛り込んだ手口は、ニュー・ソウル的とも言えますよね。

 ディスコとニュー・ソウルが、クロスオーヴァーしてしまう。もはや何でもありだ。私がこの時代の音楽に惹かれる理由は、このへんにあります。
★★★

Produced by Isaac Hayes
Arranged by Isaac Hayes, Lester Snell

Engineers: Roosevelt Green, Henry Bush
Re-Mix Engineers: Henry Bush, Dave Purple, Isaac Hayes
Technical Engineer: Tom King
Mastered at ABC Recording Studios, Inc., Los Angeles, California 90048
Mastering Engineer: Lanky Linstrot
Recorded at Hot Buttered Soul Recording Studio, Memphis, Tennessee 38107
Re-Mixed at Master Sound, Inc., Atlanta, Georgia

Rhythm by Movement
Guitar: Charles (Skip) Pitts, Kim Palumu, Otis Williams
Bass Guitar: Derek Galbrieth
Drums: Glen Quick, Willie Hall
Congas: Jimmy (Congalou) Thompson
Percussion: Willie Cole
Keyboards: Lester Snell, Sidney Kirk, Isaac Hayes
Harmonica: Pete Pederson

Horns, Reeds and Double on Flutes
Tenor Sax: Tommy Williams, Darnell Smith
Alto Sax: Emerson Able, Bill Easley
Baritone Sax: Floyd Newman

Additional Brass
Trumpet & Flugel: Ben Cauley, William (Nookie) Taylor, Edgar Matthews, Mark Blumberg
Trombone: Jackie Thomas, Ken Spain, Bill Flores
French Horn: Bryant Munch, Richard Dolph

Female Vocal Background: Barbara McCoy, Debra Carter

Art Direction: Earl Klasky
Album Design: Stan Evenson, Earl Klasky
Photography: Sam Emerson

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