2025/11/03

Herb Ellis, Joe Pass / Two for the Road ('74)

A1Love for SaleB1Cherokee (Concept 1)
A2Carnival (Manha de Carnaval)B2Cherokee (Concept 2)
A3Am I BlueB3Seulb
A4Seven Come ElevenB4Gee, Baby Ain't I Good to You
A5Guitar BluesB5Try a Little Tenderness
A6Lady Be GoodB6I've Found a New Baby
B7Angel Eyes
 ハーブ・エリスとジョー・パス、ジャズ・ギターの大家が共演したアルバム。

 本作ジャケット中央、ギターを弾いているふたりがカラー写真のイシューもあるようです。
 カラーなんて生意気だパブロのくせに。

 ふたりの共演はコンコードにもあって、そちらはベースとドラムスを含んだカルテットでした。
 ところが本作はギタリストふたりだけ。みんなひとりぼっち、とは言わない。
 ちなみにこのふたり、ともにオスカー・ピーターソンの女房役を務めています。いわば竿姉妹です。竿姉妹のシングルマッチです。ヒーッ。

 余計なものなど介在しない、まるで塩だけの味付けですするパスタのようなセッション。

 熟達のギタリストは、たった6本の弦で喜びも悲しみも、あるいは風のひと吹きも水の一滴も、はたまたダークマターやダークエネルギーさえも音楽にしてしまいます。
 そういう名匠が目の前にふたりいて、お互いの音を聴きながら会話するように弾いている。何と豪華で、何と贅沢なアルバムなのでしょう。

 A1はよく知られたコール・ポーターのナンバー。モロ売春の意味じゃんこのタイトル。オブラートもクソもあったもんじゃない。
 テーマのメロディをふたりで分け合います。相棒が主旋律を弾いているとき、伴奏に回ってリズムを刻む各々のプレイが聴きどころ。両者の持ち味を楽しみましょう。

 注目すべきはB面アタマの"Cherokee"です。同じ曲が2回続きます。作り手側としては「ほらほら、同じ素材でもこんなに違うんですよ」と表現の幅をアピールしたかったのかもしれません。
 その意気は買う。しかし私にとっちゃウンポコロコ3連発にも等しい苦行なので、その枠を別の曲に当ててもらいたかったなあ。

 アルバム全編、地味なサウンドです。ぼんやりと聴いていると、ぼんやりと流れてしまう音楽です。
 なのでギター超人の至芸ツープラトンをどっぷり味わいたいなら、しっかり意識を向けて聴かないといけない、そういう気がします。「生半可な気分で聴いてんじゃねえぞ」という竿姉妹の念が、盤面の溝に刻まれているかのようです。
 おせんべいをポリポリかじりつつ、ネットサーフィンでエロ画像を見ながらレコードを聴いている私には、ちょっと敷居の高い世界。
★★★

Personnel
Herb Ellis, Joe Pass: Guitar

Produced by Herb Ellis & Joe Pass
Recorded January 30, February 13 & 20, 1974
Cover Photo by Phil Stern

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