A1 | Alone Again (Naturally) | B1 | If |
A2 | Aubrey | B2 | Everything's Been Changed |
A3 | Killing Me Softly With His Song | B3 | Claire |
A4 | You Are the Sunshine of My Life | B4 | And I Love You So |
A5 | Love | B5 | Sing |
A6 | Peaceful | B6 | Daniel |
70年代、ジョー・パスの『ヴァーチュオーゾ』が大ヒットしたせいで、ジャズ界の潮流が変わりました。
アルバム全編ソロ・ギター、という構成がキワモノ扱いされなくなり、しかも商業的に成立することが知れ渡ったのです。この時代から、ソロ・ギターのアルバムがあちらこちらで制作されるようになります。
腕に覚えのあるギタリストたちが、「よーしオレもやったる」と立ち上がったのでしょう。もちろん、低予算で大きく儲けられる可能性にときめいた、プロデューサーやレーベル・オーナーの皮算用が後押しした面も否めません。
というわけで本作、ベテラン・ギタリストのアル・ヴィオラが『ヴァーチュオーゾ』と同時期に発表したソロ・ギターのアルバムです。
ただしジョー・パスのヒットに触発され、柳の下のどぜうを狙って制作されたものなのか否か、それはちょっとわかりません。何せ同時期ですからね。たまたま企画がかぶっちゃっただけ、なんてこともあり得ます。
アルバム・タイトルの"Alone Again"は、言うまでもなくギルバート・オサリヴァンの有名曲ですね。
ここにはもうひとつ、意味が込められています。というのも、アル・ヴィオラは50年代すでにソロ・ギターのアルバムを出していました。そんで今回、20年ぶりにまたひとりでやっちゃった!という意味合いの"Alone Again"でもあるわけ。ダブル・ミーニングってやつだ。
ジョー・パスの『ヴァーチュオーゾ』が令和の今でも売れ続け、ソロ・ギター史に輝くベストセラー・アルバムへと昇華したのに対し、アル・ヴィオラの本作は悲しいかな、誰も知りません。
インディなレーベルから最少ロットのみプレスされ、ほんのわずかな枚数のみ出回ったのでしょう。その後リイシューされたりCD化されたりせず、70年代アナログ・レコードの歴史の闇に呑まれてしまいました。
アル・ヴィオラの業績や知名度からすると、何だかとても寂しい。しかしアル・ヴィオラの名前ゆえに、私は本作の購入をためらわなかった。
さて、ズラリと並んだ曲目をごらん下さい。ティン・パン・アレイやジャズのスタンダードをでーんと揃えてきた『ヴァーチュオーゾ』と違い、ついこないだ流行ったばかりのポップ・チューンにぎっしり埋め尽くされていますね。
スティーヴィー・ワンダーにギルバート・オサリヴァン、ロバータ・フラックにエルトン・ジョン、カーペンターズにブレッドまでありますよ。そしてオリジナルは1曲もなし。いやあ、潔い。
オサリヴァンの曲を2つもカバーしています。プロデューサー、もしくはアル・ヴィオラのお気に入りだったのでしょうか。
アルバム・タイトルにもなったA1が上出来なのは言わずもがな、B3だってなかなか聴かせます。まるで姪っ子をいつくしむかのごとく、やさしくギターをつま弾くアル・ヴィオラ。原曲の歌詞にどっぷり感情移入して、アンクル・レイになりきってしまいました。
ジョー・パスのようにジャズらしさをモロ出しにしていないので、ジャズの純粋主義者にはオススメできないアルバムです。こういうイージー・リスニングなカバー企画を「ケッ」と見下すような人には、向いていません。
みんなが知っているおなじみのメロディを、ひとりギターの美しい音色と豊かな響きで楽しみたい、そういう趣旨に賛同できるのなら、きっと気に入っていただけるでしょう。
なお本作、ジャケットがよろしくない。といっても絵やデザインが悪いわけではなく、ジャケットの作りそのものがダメなんだ。
厚紙を貼り合わせただけで、マチがないのです。だからレコードの出し入れがきついの何のって。
インディなレーベルならではの、何とも頼りないクオリティ・コントロール。もしメジャー・レーベルだったら、ジャケットを納品した業者に突き返して作り直しを要求するでしょうに。
アルバム全編ソロ・ギター、という構成がキワモノ扱いされなくなり、しかも商業的に成立することが知れ渡ったのです。この時代から、ソロ・ギターのアルバムがあちらこちらで制作されるようになります。
腕に覚えのあるギタリストたちが、「よーしオレもやったる」と立ち上がったのでしょう。もちろん、低予算で大きく儲けられる可能性にときめいた、プロデューサーやレーベル・オーナーの皮算用が後押しした面も否めません。
というわけで本作、ベテラン・ギタリストのアル・ヴィオラが『ヴァーチュオーゾ』と同時期に発表したソロ・ギターのアルバムです。
ただしジョー・パスのヒットに触発され、柳の下のどぜうを狙って制作されたものなのか否か、それはちょっとわかりません。何せ同時期ですからね。たまたま企画がかぶっちゃっただけ、なんてこともあり得ます。
アルバム・タイトルの"Alone Again"は、言うまでもなくギルバート・オサリヴァンの有名曲ですね。
ここにはもうひとつ、意味が込められています。というのも、アル・ヴィオラは50年代すでにソロ・ギターのアルバムを出していました。そんで今回、20年ぶりにまたひとりでやっちゃった!という意味合いの"Alone Again"でもあるわけ。ダブル・ミーニングってやつだ。
ジョー・パスの『ヴァーチュオーゾ』が令和の今でも売れ続け、ソロ・ギター史に輝くベストセラー・アルバムへと昇華したのに対し、アル・ヴィオラの本作は悲しいかな、誰も知りません。
インディなレーベルから最少ロットのみプレスされ、ほんのわずかな枚数のみ出回ったのでしょう。その後リイシューされたりCD化されたりせず、70年代アナログ・レコードの歴史の闇に呑まれてしまいました。
アル・ヴィオラの業績や知名度からすると、何だかとても寂しい。しかしアル・ヴィオラの名前ゆえに、私は本作の購入をためらわなかった。
さて、ズラリと並んだ曲目をごらん下さい。ティン・パン・アレイやジャズのスタンダードをでーんと揃えてきた『ヴァーチュオーゾ』と違い、ついこないだ流行ったばかりのポップ・チューンにぎっしり埋め尽くされていますね。
スティーヴィー・ワンダーにギルバート・オサリヴァン、ロバータ・フラックにエルトン・ジョン、カーペンターズにブレッドまでありますよ。そしてオリジナルは1曲もなし。いやあ、潔い。
オサリヴァンの曲を2つもカバーしています。プロデューサー、もしくはアル・ヴィオラのお気に入りだったのでしょうか。
アルバム・タイトルにもなったA1が上出来なのは言わずもがな、B3だってなかなか聴かせます。まるで姪っ子をいつくしむかのごとく、やさしくギターをつま弾くアル・ヴィオラ。原曲の歌詞にどっぷり感情移入して、アンクル・レイになりきってしまいました。
ジョー・パスのようにジャズらしさをモロ出しにしていないので、ジャズの純粋主義者にはオススメできないアルバムです。こういうイージー・リスニングなカバー企画を「ケッ」と見下すような人には、向いていません。
みんなが知っているおなじみのメロディを、ひとりギターの美しい音色と豊かな響きで楽しみたい、そういう趣旨に賛同できるのなら、きっと気に入っていただけるでしょう。
なお本作、ジャケットがよろしくない。といっても絵やデザインが悪いわけではなく、ジャケットの作りそのものがダメなんだ。
厚紙を貼り合わせただけで、マチがないのです。だからレコードの出し入れがきついの何のって。
インディなレーベルならではの、何とも頼りないクオリティ・コントロール。もしメジャー・レーベルだったら、ジャケットを納品した業者に突き返して作り直しを要求するでしょうに。
★★★ | 採点表を見る |
Produced by Patrick Boyle
Cover Portrait by Calvin Bailey
Recorded
Eldorado Studios, Hollywood
Engineer: Bill Dashiel
Art Direction by Woody Woodward
Cover Portrait by Calvin Bailey
Recorded
Eldorado Studios, Hollywood
Engineer: Bill Dashiel
Art Direction by Woody Woodward
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