A1 | Night and Day | B1 | Sweet Lorraine |
A2 | Stella by Starlight | B2 | Have You Met Miss Jones |
A3 | Here's That Rainy Day | B3 | 'Round Midnight |
A4 | My Old Flame | B4 | All the Things You Are |
A5 | How High the Moon | B5 | Blues for Alican |
A6 | Cherokee | B6 | The Song Is You |
ミルト・ジャクソン&オスカー・ピーターソン・トリオ『ザ・グレイテスト・リユニオン』の項にて述べた通り、パブロ・レコーズの作品群はたいがい、過去のスターをスタジオに招き、彼らがそれまでやってきたことを反復させるかのような演奏に終始するマンネリ商法です。ノーマン・グランツの懐古趣味で成り立っているレーベルだけに、新しい音楽も、新しい人材もありゃしません。無名の若手や新人を育成して売り出そうなんて、ハナから考えていなかったんじゃないかなグランツさんは。
そんな中、ジョー・パスはパブロが育て上げた数少ない(というか唯一の)スター、と言えます。
実際のところパスは、無名でも若手でも新人でもありません。当時コンコード・ジャズのカール・ジェファーソンもツバつけていたし、それ以前、60年代にパシフィック・ジャズからリーダー・アルバムを出していたりもするので、決して知名度ゼロの、象牙の塔に引きこもっていた謎のジャズ仙人というわけではありません。
しかし「こんなにすごいギタリストがいたのか」という驚きを人々にもたらしたのは、ひとえにグランツの功績でしょう。パスの真価をめいっぱい引き出さんがため、グランツは数々のセッションを仕掛けました。エラ・フィッツジェラルドやオスカー・ピーターソンらスーパースターに引き合わせ、あるいはジャズ・フェスティヴァルで数万人の大観衆の前に立たせたのです。
数多あるパブロのセッションにあって、何よりもパスの凄みが際立ったのは、伴奏者のいないギター独奏でしょう。それまでジャズのアルバムでは未開の荒野であった、ソロ・ギターの世界を切り拓き、大いに名を上げました。
本作はその超人的テクニックで、全世界を震撼させたソロ・ギター第1弾。
ジャズ・ギターといえば通常、ベースやピアノ、ドラムスなどの共演者がいますよね。本作にはそれらが不在です。だからスカスカの、寂しい音世界になるんじゃないか…なんて聴く前は心配をしていました。
ところが聴いてみるとちっとも寂しくない。たったひとりで、ぶ厚い音の壁を築き上げ、おまけに遊び心いっぱいでスイングしているのです。ジャズ・ギター史に燦然と輝く「ひとりでできるもん!」の至芸に、ただただお口あんぐりで聴き入るのみ。
というわけで、名作の評判はウソじゃありませんぜ本作。ただし、私はやっぱり共演者のいる方が好きです。ペデルセンと組んだ『チョップス』やら、レッド・ミッチェルとまみえた『いそしぎ』とか。
さて本作、飛ぶように売れました。ロウ・バジェットにしてハイ・リターンです。ボロ儲けに気をよくしたグランツは、早速シリーズ化を決定。以後パスのソロ・ギター・アルバムが山ほど制作されることになります。
また、本作を機にグランツの駒となったパスは、パブロ・レコーズのハウス・ギタリストとして、ジャズ・ジャイアンツのセッションに高頻度で駆り出されることになるのでした。
グランツに目をかけられたからこそ、パスはこれほど栄光に満ちたギタリスト人生を送れたのです。
もしグランツの知遇を得られなかったら、通好みな技巧派として一部のファンにのみ知られる地味な存在に過ぎなかったかもしれません。やっぱり出会いが肝心なんですね。伯楽は常にはあらずってか。
なおパスは晩年までパブロ・レコーズからアルバムを出し続け、グランツへの忠節を貫きました。士は己を知る者の為に死ぬ、とはまさにこのこと。
そんな中、ジョー・パスはパブロが育て上げた数少ない(というか唯一の)スター、と言えます。
実際のところパスは、無名でも若手でも新人でもありません。当時コンコード・ジャズのカール・ジェファーソンもツバつけていたし、それ以前、60年代にパシフィック・ジャズからリーダー・アルバムを出していたりもするので、決して知名度ゼロの、象牙の塔に引きこもっていた謎のジャズ仙人というわけではありません。
しかし「こんなにすごいギタリストがいたのか」という驚きを人々にもたらしたのは、ひとえにグランツの功績でしょう。パスの真価をめいっぱい引き出さんがため、グランツは数々のセッションを仕掛けました。エラ・フィッツジェラルドやオスカー・ピーターソンらスーパースターに引き合わせ、あるいはジャズ・フェスティヴァルで数万人の大観衆の前に立たせたのです。
数多あるパブロのセッションにあって、何よりもパスの凄みが際立ったのは、伴奏者のいないギター独奏でしょう。それまでジャズのアルバムでは未開の荒野であった、ソロ・ギターの世界を切り拓き、大いに名を上げました。
本作はその超人的テクニックで、全世界を震撼させたソロ・ギター第1弾。
ジャズ・ギターといえば通常、ベースやピアノ、ドラムスなどの共演者がいますよね。本作にはそれらが不在です。だからスカスカの、寂しい音世界になるんじゃないか…なんて聴く前は心配をしていました。
ところが聴いてみるとちっとも寂しくない。たったひとりで、ぶ厚い音の壁を築き上げ、おまけに遊び心いっぱいでスイングしているのです。ジャズ・ギター史に燦然と輝く「ひとりでできるもん!」の至芸に、ただただお口あんぐりで聴き入るのみ。
というわけで、名作の評判はウソじゃありませんぜ本作。ただし、私はやっぱり共演者のいる方が好きです。ペデルセンと組んだ『チョップス』やら、レッド・ミッチェルとまみえた『いそしぎ』とか。
さて本作、飛ぶように売れました。ロウ・バジェットにしてハイ・リターンです。ボロ儲けに気をよくしたグランツは、早速シリーズ化を決定。以後パスのソロ・ギター・アルバムが山ほど制作されることになります。
また、本作を機にグランツの駒となったパスは、パブロ・レコーズのハウス・ギタリストとして、ジャズ・ジャイアンツのセッションに高頻度で駆り出されることになるのでした。
グランツに目をかけられたからこそ、パスはこれほど栄光に満ちたギタリスト人生を送れたのです。
もしグランツの知遇を得られなかったら、通好みな技巧派として一部のファンにのみ知られる地味な存在に過ぎなかったかもしれません。やっぱり出会いが肝心なんですね。伯楽は常にはあらずってか。
なおパスは晩年までパブロ・レコーズからアルバムを出し続け、グランツへの忠節を貫きました。士は己を知る者の為に死ぬ、とはまさにこのこと。
★★★★ | 採点表を見る |
Produced by Norman Granz
Engineer: Dennis Sands
Photo: Phil Stern
Engineer: Dennis Sands
Photo: Phil Stern
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