2018/10/07

Milt Jackson / Ain't But a Few of Us Left ('82)

ミルト・ジャクソン&オスカー・ピーターソン・トリオ / ザ・グレイテスト・リユニオン
A1Ain't but a Few of Us Left
エイント・バット・ア・フュー・オブ・アス・レフト
B1Body & Soul
ボディ・アンド・ソウル
A2Stuffy
スタッフィ
B2If I Should Lose You
あなた無しでは
A3A Time for Love
ア・タイム・フォー・ラヴ
B3What Am I Here For
ホワット・アム・アイ・ヒア・フォー
 1970年代半ば、パブロ・レコーズに乗り込んできたミルト・ジャクソンは、膨大なレコーディング・セッションを消化する日々を送ることになります。

 レーベル・プロデューサー、ノーマン・グランツの嗜好を反映したのか、大物同士の顔合わせがとても多いです。
 カウント・ベイシー、ディジー・ガレスピー、ベニー・カーター、ロイ・エルドリッジ、それに本作に参加しているオスカー・ピーターソン。

"Milestone Jazzstars in Concert"の項にて記した通り、大物を寄せ集めたからってうまくいくとは限らないのがジャズ。しかしパブロ・レコーズの大物セッションには、火だるま級の大失敗作はないんじゃないのかなあ。聞いたことないよ。

 かつてのジャズ・ジャイアンツも、70年代に入ればさすがに好々爺となったのでしょう。
「オレがジャズの歴史を塗り替えてやるぜ!」的な若々しい気概はもうなくて(つーか彼ら自身がすでに歴史そのものですので…)、気の合った仲間と 楽しく、くつろいで共演できればそれでいいや、みたいな雰囲気。
「オレがオレが」がない分、火だるまのリスクはありませんがその反面、神がかった名演が発生する可能性もあんまし高くない。

 一般大衆が思い描くパブロのイメージってこんな感じですかね。それゆえ好き嫌いが分かれると。
 ま、実際のパブロは上述したイメージよりずっと多様です。
 ポリーニョ・ダ・コスタの"Happy People"みたいなわけわからん作品も、パブロですからね。

 ともあれ本作は、世間一般の思い描く通りのパブロです。数々の共演歴があるミルトとピーターソン、それにレイ・ブラウンが、余裕シャクシャクのプレイに終始してますから。
 でも決してぬるい演奏じゃない。それぞれの楽器で、てっぺんまで登りつめた名人たちならではの、圧倒的な妙技にただただ酔いしれる他ありません。

 なお本作は邦題がオモイッキリ滑っていますので、海外のデータベースを利用する際は原題"Ain't But a Few of Us Left"で検索して下さい。
 パブロ・レコーズを彩ったスーパースターたちがひとり残らず泉下へ旅立った今となっては、この原題は何だかとても切ない。
★★★

Milt Jackson: Vibes
Oscar Peterson: Piano
Ray Brown: Bass
Grady Tate: Drums

Produced by Norman Granz
Photos by Phil Stern
Layout & Design: Norman Granz & Sheldon Marks
Studio: Atlantic Recording Studio, New York, NY November 30, 1981
Engineer: Gene Paul
Remix Engineer: Dennis Sands / Group IV Studios, Hollywood, CA

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