2023/08/21

Paul Robertson / The Song Is You ('80)

A1Autumn LeavesB1All the Things You Are
A2You Are Too BeautifulB2Here's That Rainy Day
A3The Song Is YouB3There Is No Greater Love
 インディ系のレコードです。ジャケットの紙がペラッペラや。
 アルト・サックスを楽しそうに吹いている主役、ポール・ロバートソンは素人です。本業は金融弁護士だそうで、きっとそこいらのジャズメンよりずっと稼いでいることでしょう。

 ただしヘタクソなアマチュアが金にモノを言わせてこしらえたアルバム、というわけではありません。
 サックスの腕前は玄人はだし。私は"Paul Robertson"をインターネット検索して彼の本職を知るまで、てっきりプロのミュージシャンかと思ってました。それくらい上手い。ビル・クリントン元大統領なんて目じゃない。
 金融弁護士として荒稼ぎできるようになるまで、きっと地道な努力を重ねてきたことでしょう。寸暇を惜しんでコツコツがんばる人なのではないかなあ。だとすると、楽器の習得に向いているタイプかもしれませんね。

 好きな音楽で食えれば最高。でも、うんと稼げる仕事に就いて、音楽は趣味として楽しもう。
 そういう考えの人、アメリカにはけっこういるみたいですね。拙ブログで取り上げたアーティストでも、音楽は副業って意外と多いような気がする。

 日本にだって、銀行マンの小椋佳とか、国鉄職員の伊藤敏博など、まるっきりいないわけではありません。しかしやっぱりわが国だと、二足のわらじは「音楽ナメんじゃねえぞ」みたいな空気に呑まれてしまいそう。

「サックスを吹くのが好きで好きでたまらない」と音楽のヨロコビを全身で表現しているかのようなロバートソンのサックスがとにかく嬉しそうで、その幸福感がアルバム全体をふんわりと覆っています。
 生活の心配をしなくていいせいか、プレイに暗いところはありません。暗くない人が「枯葉」を演っちゃっていいのかな。いいんだよね。

 リズム・セクションは『ミスティ~イージー・リスニング・ジャズ』のメンバーが担当しています。この連中はフルタイムのミュージシャンでしょう。
 メルヴォワンのキーボードはことごとくフェンダー・ローズで、アコースティックなピアノはいっさい使っておりません。このへん、好き嫌いの分かれるところではあります。
★★★

Paul Robertson: Sax and Flute
Mike Melvoin: Keyboard
James Hughart: Bass
Larry Bunker: Drums

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