A1 | It's All Right With Me | B1 | More Than You Know |
A2 | Love Locked Out | B2 | It's You or No One |
A3 | Taking a Chance on Love | B3 | Jillian |
A4 | 'S Wonderful | B4 | Little White Lies |
A5 | I Only Have Eyes for You | B5 | Too Close for Comfort |
楽しくないジャズって、あるじゃないですか。
聴いていて、楽しくない。ウキウキしない。ありていに言えば、スイングしない、歌心のないジャズです。
かつて私は、ロクに世間を知らず、ただただ若かった頃、サニー・マレイという人のアルバムを聴いたことがあります。タイトルは忘れちゃったなあ。ま、思い出すこともないでしょう。
そいつがとにかく楽しくないアルバムで、最初から最後まで、0.1秒も、ほんの一瞬たりとも、ウキウキすることなんてありませんでした。
こんなシロモノを愛聴しなければジャズ・ファンになれない、というのなら、私はジャズ・ファンになんかなれなくてもいい。心からそう思いましたよ。
というわけで、なるべくそういう、楽しくない物件には関わらないよう用心して、今日まで生きてまいりました。それでもなお、まるで路傍の犬のクソをうっかり踏んでしまうかの如く、一瞬の油断を突いてフトコロに転がり込んで来てしまうブツがあるのです。かつて拙ブログで紹介した"Gerry Niewood and Timepiece"なんてのは、まさにそういう感じ。
そういう私が、コンコード・ジャズの諸作に惹かれていったのは、当然の帰結と言えましょう。サニー・マレイに背を向けたら、コンコードが目の前におった、そういう感じ。
楽しくないジャズの、対極にあるレーベル。コンコードなら余計な心配せずとも、ウキウキするジャズに出会える予感がします。
コンコード・レコーズを設立したレーベル・オーナーにしてプロデューサー、カール・E・ジェファーソンの目指すところは、きっとウキウキなのでしょう。ジェファーソンがコンサートを興したり、レコードを制作した理由はおそらくただひとつ、自分がウキウキしたかったからなのではないか。そんな気がしてなりません。
もちろん人間のすることですので、百発百中なんてことありません。中には『ア・サイン・オブ・ザ・タイムス』のような不発弾だって埋まってますよ。でもそれにしたって、ウキウキを狙って結果的に出来が滑ってしまったというだけ。
インディなレーベルは、個人商店みたいなもの。信頼できるお店から買えば、間違いないのです。
あのおっちゃんがウキウキするようなジャズなら、きっと楽しいだろうなあ。よーし買った。それでいいのです。
ウォーレン・ヴァシェと仲間たちの、ハッピー・セッション。それが本作。
絵に描いたような、コンコードのジャズです。ウキウキ必至。
本作でカギを握っているのは、聴くやいなやおわかりになりましょう。ギターのカル・コリンズです。
ハーブ・エリス、タル・ファーロウ、バーニー・ケッセル、ジョー・パス、チャーリー・バード等々、神様級のギタリストが八百万、お越しあそばされたコンコードにあっては、このカル・コリンズ、ちょっぴり地味でネームヴァリューが乏しいのは否めません。
しかしジェファーソンはコリンズに、アルバムの成否を決するカギ、吉本新喜劇の「まわし」に相当する重要なポジションを委ねました。ギター大好きのジェファーソンが、彼の才能を見出し、大役に抜擢したのです。
コンコードのなじみ客にとっては、あのおっちゃんのメガネにかなったギタリスト、もうそれでじゅーぶん。有名無名なんて関係ありません。見事なプレイでアルバム全編をコンコード色に染めています。
A2はフリューゲルホーンとギターのデュエット。ヴァシェとコリンズふたりだけの、静かで、地味で、しかしウキウキする、アドリブのキャッチボール。
楽しいジャズが、ここにあります。
聴いていて、楽しくない。ウキウキしない。ありていに言えば、スイングしない、歌心のないジャズです。
かつて私は、ロクに世間を知らず、ただただ若かった頃、サニー・マレイという人のアルバムを聴いたことがあります。タイトルは忘れちゃったなあ。ま、思い出すこともないでしょう。
そいつがとにかく楽しくないアルバムで、最初から最後まで、0.1秒も、ほんの一瞬たりとも、ウキウキすることなんてありませんでした。
こんなシロモノを愛聴しなければジャズ・ファンになれない、というのなら、私はジャズ・ファンになんかなれなくてもいい。心からそう思いましたよ。
というわけで、なるべくそういう、楽しくない物件には関わらないよう用心して、今日まで生きてまいりました。それでもなお、まるで路傍の犬のクソをうっかり踏んでしまうかの如く、一瞬の油断を突いてフトコロに転がり込んで来てしまうブツがあるのです。かつて拙ブログで紹介した"Gerry Niewood and Timepiece"なんてのは、まさにそういう感じ。
そういう私が、コンコード・ジャズの諸作に惹かれていったのは、当然の帰結と言えましょう。サニー・マレイに背を向けたら、コンコードが目の前におった、そういう感じ。
楽しくないジャズの、対極にあるレーベル。コンコードなら余計な心配せずとも、ウキウキするジャズに出会える予感がします。
コンコード・レコーズを設立したレーベル・オーナーにしてプロデューサー、カール・E・ジェファーソンの目指すところは、きっとウキウキなのでしょう。ジェファーソンがコンサートを興したり、レコードを制作した理由はおそらくただひとつ、自分がウキウキしたかったからなのではないか。そんな気がしてなりません。
もちろん人間のすることですので、百発百中なんてことありません。中には『ア・サイン・オブ・ザ・タイムス』のような不発弾だって埋まってますよ。でもそれにしたって、ウキウキを狙って結果的に出来が滑ってしまったというだけ。
インディなレーベルは、個人商店みたいなもの。信頼できるお店から買えば、間違いないのです。
あのおっちゃんがウキウキするようなジャズなら、きっと楽しいだろうなあ。よーし買った。それでいいのです。
ウォーレン・ヴァシェと仲間たちの、ハッピー・セッション。それが本作。
絵に描いたような、コンコードのジャズです。ウキウキ必至。
本作でカギを握っているのは、聴くやいなやおわかりになりましょう。ギターのカル・コリンズです。
ハーブ・エリス、タル・ファーロウ、バーニー・ケッセル、ジョー・パス、チャーリー・バード等々、神様級のギタリストが八百万、お越しあそばされたコンコードにあっては、このカル・コリンズ、ちょっぴり地味でネームヴァリューが乏しいのは否めません。
しかしジェファーソンはコリンズに、アルバムの成否を決するカギ、吉本新喜劇の「まわし」に相当する重要なポジションを委ねました。ギター大好きのジェファーソンが、彼の才能を見出し、大役に抜擢したのです。
コンコードのなじみ客にとっては、あのおっちゃんのメガネにかなったギタリスト、もうそれでじゅーぶん。有名無名なんて関係ありません。見事なプレイでアルバム全編をコンコード色に染めています。
A2はフリューゲルホーンとギターのデュエット。ヴァシェとコリンズふたりだけの、静かで、地味で、しかしウキウキする、アドリブのキャッチボール。
楽しいジャズが、ここにあります。
★★★ | 採点表を見る |
Warren Vache: Cornet and Flugelhorn
Cal Collins: Guitar
Marshal Royal: Alto Saxophone
Nat Pierce: Piano
Phil Flanigan: Bass
Jake Hanna: Drums
Produced by Carl E. Jefferson, President, Concord Jazz, Inc.
Recorded at Coast Recorders, San Francisco, CA November 1978
Remixed at PER, San Francisco, CA
Recording and Remix Engineer: Phil Edwards
Mastered at The Mastering Room, San Francisco, CA
Cover Photo: David Fischer
Art Direction: DH Studio
Cal Collins: Guitar
Marshal Royal: Alto Saxophone
Nat Pierce: Piano
Phil Flanigan: Bass
Jake Hanna: Drums
Produced by Carl E. Jefferson, President, Concord Jazz, Inc.
Recorded at Coast Recorders, San Francisco, CA November 1978
Remixed at PER, San Francisco, CA
Recording and Remix Engineer: Phil Edwards
Mastered at The Mastering Room, San Francisco, CA
Cover Photo: David Fischer
Art Direction: DH Studio
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