2018/07/18

Tal Farlow / A Sign of the Times ('77)

タル・ファーロウ / ア・サイン・オブ・ザ・タイムス
A1Fascinating Rhythm
ファッシネイティング・リズム
B1Georgia on My Mind
ジョージア・オン・マイ・マインド
A2You Don't Know What Love Is
ユー・ドント・ホワット・ラヴ・イズ
B2You Are Too Beautiful
ユー・アー・トゥー・ビューティフル
A3Put on a Happy Face
プット・オン・ア・ハッピー・フェイス
B3In Your Own Sweet Way
イン・ユア・オウン・スウィート・ウェイ
A4Stompin' at the Savoy
ストンピン・アット・ザ・サヴォイ
B4Bayside Blues
ベイサイド・ブルース
 ジャズ・ミュージシャンは食えない。よく耳にする話です。

 ジャズだけでは家族を養うことができず、他の仕事とかけ持ちするのは珍しいことではないのだとか。明け方に牛乳配達をしていたウェス・モンゴメリーは有名ですよね。
 フェラーリを乗り回し、フェラ大好きだったマイルス・デイヴィスは、ほんのひと握りの勝ち組と言えます。
 残りの大多数は、ちょっとやそっと名の知れた人たちでさえも、ジャズだけでは食えないのだとか。

 タル・ファーロウは、ペンキ屋です。ジャズで食えないから、仕方なくペンキを…とか、そういう話ではありません。ペンキ屋が副業でジャズをやっていたのです。

 私は仕事柄、塗装業の方々と付き合いがありまして、彼らから聞いたところによると、ペンキ屋におけるスーパースターは次の3人。
  1. 映画『サタデー・ナイト・フィーバー』のトニー
  2. ドラマ『菊次郎とさき』の北野菊次郎
  3. ジャズ・ギタリストのタル・ファーロウ
 なお、惜しくも3大アイドルに入れなかったものの、「シンナーに気をつけて壁塗んな」のトメと親方もかなりの人気者のようです。

 ジャズ・ギタリストとしても、ペンキ屋としても定評のあるタル・ファーロウ。しかし本作はピリッとしません。もしかしたら、本作をレコーディングする直前に、本業の塗装でシンナーを過吸引してしまったのかも。
 水餃子好きが愛聴するスタンダード・ナンバーのB1「ジョージア・オン・マイ・マインド」など、残念な出来としか言いようがありません。

 ちなみに本作でベースを弾いているレイ・ブラウンは本業のベーシストの他、副業でクインシー・ジョーンズのマネージャーをしていたらしい。
 多忙なQのマネージメントを、ベースを弾きながら片手間でこなすのは大変だったでしょう。ハンク・ジョーンズならずとも「ヤルモンダ!」と感心してしまいますね。
 それにしても、レイ・ブラウンほどのAクラスでも、副業をしないと生活が成り立たないのでしょうか。ジャズはそんなに食えないの?
★★★

Tal Farlow: Guitar
Ray Brown: Bass
Hank Jones: Piano

Produced by Carl E. Jefferson, President Concord Jazz, Inc.
Recorded and Remixed at Coast Recorders, San Francisco, CA
Recording and Remix Engineer: Phil Edwards
Mastered at CBS Studios, San Francisco, CA
Art Direction: DH Studio
Photography: Talbert Jefferson

0 件のコメント: