2019/06/20

Erroll Garner / Magician ('74)

A1(They Long to Be) Close to YouB1One Good Turn
A2It Gets Better Every TimeB2Watch What Happens
A3Someone to Watch over MeB3Yesterdays
A4NightwindB4I Only Have Eyes for You
B5Mucho Gusto
 レイ・ブライアントはかつて、エロール・ガーナーを「無敵の人」と称賛しました。
 たしかに、一般的なモダン・ジャズのピアニストとは別枠で扱われることの多い人です。ピアニストというよりも、ピアノ芸人と呼んだ方がしっくりします。今だったら、ピアニスターHIROSHIさんと同じようなポジションだったのではないかな。

 バップ・ピアノではない。ハード・バップともモードともフリーとも違う。エロール・ガーナーのピアノ、としか言いようのないスタイルで、いつの時代も変わらず、流されず、世界中の観客を楽しませ、笑顔にしてきました。ピアノは独学。楽譜は読めない。それがどうした。天下無双の偉大なピアノ芸人です。

 A面のっけの"Close to You"、最初の3音目で早くもエロール節が噴火しました。バカラックやカーペンターズの世界を、偉大なピアノ芸人に期待し、託してしまった自分がバカでした。
 本作は、エロール節がいっぱいです。エロール節しかありません。盤面すべての溝に、エロール節が刻み込まれています。
 ベースはボブ・クランショウ。ドラムスはグラディ・テイト。共演相手がどれだけ大物であろうと、偉大なピアノ芸人にとっちゃ、ヤマザキのランチパックがフジパンのスナックサンドに変わった程度のものでしょう。相手の技を受けない塩なプロレスラーさながらに、ことごとく自分がいいとこ取りします。

 B1はピアノ・トリオにオルガン、コンガ、タンバリンが加わった異形のセクステット。しかしやはりというか、偉大なピアノ芸人には編成の妙なんてありゃしません。いつも通り、ウーウー唸りながらエロール節を叩き付けるのみです。どんだけ無敵なんだお前は。ほとんどセガール映画。
★★★

Erroll Garner: Piano
Grady Tate: Percussions
Bob Cranshaw: Bass, E-Bass
Jose Mangual: Congas
Norman Gold: Organ
Jackie Williams: Tambourine

Produced by Martha Glaser

Engineering: Bob Simpson
Cover Design: Richard Roth
Photos: Norman Seeff
Production: Garrison Leykam
Piano by Baldwin

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