ユージン・レコードがシャイ・ライツに復帰
| A1 | Heavenly Body | B1 | Have You Seen Her |
| A2 | Strung Out | B2 | All I Wanna Do Is Make Love to You |
| A3 | Round & Round | B3 | Give Me a Dream |
| A4 | Love Shock | B4 | Super Mad (About You Baby) |
ミュージシャンにも、私たちと同じように3つの坂があります。
上り坂、下り坂、まさか。
上り坂のときに「うわーやっちまった」なアルバムを出してしまうまさかがある一方で、下り坂を転げ落ちながら「よくぞ」と唸らせる逸品を放ってくるまさかもあります。ファンにとっては、いずれのまさかにも楽しみどころがあるでしょう。
とりわけ後者のまさかには、たまらないものがありますよね。
さんざんやられてフォール寸前のプロレスラーが、相手にブレーンバスターをかけられそうになるのを堪えて、堪えて、堪えてから逆に投げ返すような、そういう興奮と感動が後者にはあるのです。って例えがよくわからねえ。
大黒柱が抜けて失速していたシャイ・ライツに、ソロ活動で低迷していたユージン・レコードが帰還します。本作はそういうアルバム。
はたして、マイナスとマイナスでプラスになるのでしょうか。下り坂からの、まさかになれたのでしょうか。
1980年というディケイドの境目、シカゴ・ソウルといえども時代の流れに呑まれてしまいました。
全編、ゴージャスで洗練されたオーケストレーションが施されています。シカゴの寒風も、泥や油の臭いも感じません。このあたり、評価の分かれるところ。
シカゴ・サウンドにとりたてて思い入れのない私は、こういうサウンド、心地よくて好きです。
新しいサウンドの印象に結びつくのが、このジャケット。
ソウル・ミュージックのエロジャケにしては稀有な、寒色の世界。青の背景と謎の女体。持物はありません。そこいらのねーちゃんだな。
バナナ状のリーディング・ラインが見る者の視線を上から下へ、弧を描くように誘導します。波のパイプラインが下り坂を表現しているのです。そこをヌードが転がり落ちてくるという、まさかの展開。つまりジャケットにおいても、下り坂のまさかを描いているわけ。
この鮮烈なヴィジュアルが、すんなり入ってきます。
ソウル系のジャケットにありがちな、黒人のおっさんがフンガーな顔ジャケにしなかったのは大正解。新生シャイ・ライツのフレッシュなイメージをリスナーに届けてくれました。
彼らの代表曲をリメイクしたのがB1。ナウいサウンドに生まれ変わっています。
オリジナルが棒アイスだとすると、このリメイクはカップのアイスです。落ち着いて楽しめます。
シャイ・ライツに限らず、看板曲を現代風に作り直すのは、音楽界にはよくあること。
上り坂のアーティストは、あまりやりません。手を染めるのは概ね、下り坂の人たち。
流行りのサウンドを盛り込みすぎると、たちまち陳腐化してしまうリスクが生じます。例を挙げておきましょう。
ボビー・コールドウェルのベスト盤CD、"Timeline"です。

このオーラスに、"What You Won't Do for Love: New 20th Anniversary Version"というトラックがあります。
1998年にボビーがベスト盤をリリースするにあたり、ヒット曲「風のシルエット」を最新サウンドにリメイクしました。
ちょっと聴いてみて下さいよこれ。かなりトホホですよ。
ちなみに当時このCDを買った私は、ピカピカに仕立て直された「風シル」うひょーかっこいい、なんて思っていました。しかし10数年経った今、聴き直してみるとそんな自分が恥ずかしい。ムショーに恥ずかしい。ほっぺのあたりが熱くなってきます。それくらい恥ずかしい。
ひとつの音楽は、ひとりの人間の内側にあってもなお、評価が上がったり下がったりします。音楽の評価なんてしょせんそんなものなのです。
上り坂、下り坂、まさか。
上り坂のときに「うわーやっちまった」なアルバムを出してしまうまさかがある一方で、下り坂を転げ落ちながら「よくぞ」と唸らせる逸品を放ってくるまさかもあります。ファンにとっては、いずれのまさかにも楽しみどころがあるでしょう。
とりわけ後者のまさかには、たまらないものがありますよね。
さんざんやられてフォール寸前のプロレスラーが、相手にブレーンバスターをかけられそうになるのを堪えて、堪えて、堪えてから逆に投げ返すような、そういう興奮と感動が後者にはあるのです。って例えがよくわからねえ。
大黒柱が抜けて失速していたシャイ・ライツに、ソロ活動で低迷していたユージン・レコードが帰還します。本作はそういうアルバム。
はたして、マイナスとマイナスでプラスになるのでしょうか。下り坂からの、まさかになれたのでしょうか。
1980年というディケイドの境目、シカゴ・ソウルといえども時代の流れに呑まれてしまいました。
全編、ゴージャスで洗練されたオーケストレーションが施されています。シカゴの寒風も、泥や油の臭いも感じません。このあたり、評価の分かれるところ。
シカゴ・サウンドにとりたてて思い入れのない私は、こういうサウンド、心地よくて好きです。
新しいサウンドの印象に結びつくのが、このジャケット。
ソウル・ミュージックのエロジャケにしては稀有な、寒色の世界。青の背景と謎の女体。持物はありません。そこいらのねーちゃんだな。
バナナ状のリーディング・ラインが見る者の視線を上から下へ、弧を描くように誘導します。波のパイプラインが下り坂を表現しているのです。そこをヌードが転がり落ちてくるという、まさかの展開。つまりジャケットにおいても、下り坂のまさかを描いているわけ。
この鮮烈なヴィジュアルが、すんなり入ってきます。
ソウル系のジャケットにありがちな、黒人のおっさんがフンガーな顔ジャケにしなかったのは大正解。新生シャイ・ライツのフレッシュなイメージをリスナーに届けてくれました。
彼らの代表曲をリメイクしたのがB1。ナウいサウンドに生まれ変わっています。
オリジナルが棒アイスだとすると、このリメイクはカップのアイスです。落ち着いて楽しめます。
シャイ・ライツに限らず、看板曲を現代風に作り直すのは、音楽界にはよくあること。
上り坂のアーティストは、あまりやりません。手を染めるのは概ね、下り坂の人たち。
流行りのサウンドを盛り込みすぎると、たちまち陳腐化してしまうリスクが生じます。例を挙げておきましょう。
ボビー・コールドウェルのベスト盤CD、"Timeline"です。

このオーラスに、"What You Won't Do for Love: New 20th Anniversary Version"というトラックがあります。
1998年にボビーがベスト盤をリリースするにあたり、ヒット曲「風のシルエット」を最新サウンドにリメイクしました。
ちょっと聴いてみて下さいよこれ。かなりトホホですよ。
ちなみに当時このCDを買った私は、ピカピカに仕立て直された「風シル」うひょーかっこいい、なんて思っていました。しかし10数年経った今、聴き直してみるとそんな自分が恥ずかしい。ムショーに恥ずかしい。ほっぺのあたりが熱くなってきます。それくらい恥ずかしい。
ひとつの音楽は、ひとりの人間の内側にあってもなお、評価が上がったり下がったりします。音楽の評価なんてしょせんそんなものなのです。
| ★★★ | 採点表を見る |
Produced by Eugene Record
Executive Producer: Carl Davis
Arranged & Conducted by Tom Tom 84 (A1, A3, A4, B1)
Arranged & Conducted by Sonny Sanders (A2, B2, B3, B4)
Recorded at Universal Studios, Chicago
Engineered by Bill Bradley
Assistant Engineer: Jeff Palmer, Mike Mason, Jody Leverenz & Ewart Abner III
Mastered at the Diskwerks by Ron Lewter
Art Direction: Tim Bryant / Gribbitt
Album Design: Rick Covell / Gribbitt
Illustration: Jeff Wack
Rhythm
Sonny Sanders: Percussion
Bernard Reed: Bass
Bobby Robinson: Guitars
Morris Jennings, Jr.: Drums, Percussion
Eugene Record: Synthesizer, Percussion
Ron Scott: Elec. Piano, Ac. Piano
Terry Fryer: Synthesizers
Thomas Palmer, Jr.: Bass
Ron Steele: Guitars
Tom Tom 84: Keyboards
Phyllis McKenney: Piano
Horns
George Patterson: Alto Sax
Murray Watson: Trumpet, Flugel Horn
Stephen E. Berry: Trombone
Michael J. Meyers: Trombone
Paul E. Howard: Trumpet, Flugel Horn
Marvin Davis: Trumpet, Flugel Horn
George Bean: Trumpet, Flugel Horn
Rodney Clark: Trumpet, Flugel Horn
Cy Touff: Bass Trumpet
Strings
Edward P. Green: Violin
Arnold Roth: Violin
Phyllis McKenny: Violin
Everett Z. Mirsky: Violin
Elliott M. Golub: Violin
Deborah Miller: Violin
Sol A. Bobrov: Violin
Roger Moulton: Viola
Rami Solomonow: Viola
Elaine B. Mack: Cello
Barbara Haffner: Cello
Harp
Edward Druzinsky
Executive Producer: Carl Davis
Arranged & Conducted by Tom Tom 84 (A1, A3, A4, B1)
Arranged & Conducted by Sonny Sanders (A2, B2, B3, B4)
Recorded at Universal Studios, Chicago
Engineered by Bill Bradley
Assistant Engineer: Jeff Palmer, Mike Mason, Jody Leverenz & Ewart Abner III
Mastered at the Diskwerks by Ron Lewter
Art Direction: Tim Bryant / Gribbitt
Album Design: Rick Covell / Gribbitt
Illustration: Jeff Wack
Rhythm
Sonny Sanders: Percussion
Bernard Reed: Bass
Bobby Robinson: Guitars
Morris Jennings, Jr.: Drums, Percussion
Eugene Record: Synthesizer, Percussion
Ron Scott: Elec. Piano, Ac. Piano
Terry Fryer: Synthesizers
Thomas Palmer, Jr.: Bass
Ron Steele: Guitars
Tom Tom 84: Keyboards
Phyllis McKenney: Piano
Horns
George Patterson: Alto Sax
Murray Watson: Trumpet, Flugel Horn
Stephen E. Berry: Trombone
Michael J. Meyers: Trombone
Paul E. Howard: Trumpet, Flugel Horn
Marvin Davis: Trumpet, Flugel Horn
George Bean: Trumpet, Flugel Horn
Rodney Clark: Trumpet, Flugel Horn
Cy Touff: Bass Trumpet
Strings
Edward P. Green: Violin
Arnold Roth: Violin
Phyllis McKenny: Violin
Everett Z. Mirsky: Violin
Elliott M. Golub: Violin
Deborah Miller: Violin
Sol A. Bobrov: Violin
Roger Moulton: Viola
Rami Solomonow: Viola
Elaine B. Mack: Cello
Barbara Haffner: Cello
Harp
Edward Druzinsky
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