2026/06/01

Dexter gordon / Sophisticated Giant ('77)

ラージ・アンサンブルだろうといつもの巨人

A1LauraB1Fried Bananas
A2The MoontraneB2You're Blase
A3Red TopB3How Insensitive
 デクスター・ゴードンが長き渡欧生活を終え、アメリカに戻って来ました。本作は帰米第2弾。

 タイトルを直訳すると「洗練された巨人」かしら。おしゃれで知的な大男、みたいな意味っぽい。
 つまり大男は野卑で魯鈍なのがスタンダード、ということですね。ひでえ。

 豪放磊落にして安全安心なデックス節をたっぷり聴ける良作。
 しかし本作の世評は、あまりかんばしくありません。なぜでしょうか。

 決まっとる。モダン・ジャズのファンはたいてい、こういったラージ・アンサンブルが嫌いなのです。
 それゆえデックスがどれだけ好演しても、ほめられることのない宿命なのです。

 お前らの趣味嗜好にいちいち付き合ってられるかよ、と言わんばかりにデックス、悠々とテナー・サックスを吹き荒らします。
 ラージ・アンサンブルには、スター・プレイヤーがぞろぞろ参加しました。彼らの築き上げた分厚い音の壁を、こなごなにはつってしまうデックスの破壊力。問答無用のテナーです。
 そして主役を引き立てるため、スター性を堪えてモブに徹した伴奏者たちの潔さよ。まるで100万回斬られた福本さんのような仕事人っぷり。

 しょっぱい評判はこの際、忘れてしまいましょう。自分の耳を信じて。

 ジャズメンが好んでカバーする映画音楽のA1。まずはイントロを聴いてみて下さい。これはラージ・アンサンブルでないと表現できません。
 アルバムのオープニング、どっしり重い輸送機が今まさに離陸して飛び立つような感じを巧みな編曲で演出しています。

 聴きどころはB2。ジョージ・ケイブルスのピアノがめいっぱいフィーチャーされています。
 70年代のケイブルスは、あちこちのセッションに引っぱりだこで、寝る間もないくらい多忙な日々でした。
 この長い長いピアノ・ソロを聴くと、どうしてケイブルスがあれほど売れっ子だったのか、その理由がわかるような気がします。

 オーラスのB3では、それまでずっとテナーを吹いてきたデックスが、ソプラノ・サックスに持ち替えました。
 ソプラノもかなり達者です。しかし、しかしだ。
 このときのデックスに言いたい。お前はテナーに専念せい。「こんなこともできます」なアピール、お前には似合わないぞと。
★★★

Arranged by Slide Hampton

Personnel
Dexter Gordon: Tenor Saxophone, Soprano Saxophone
Woody Shaw: Trumpet, Flugelhorn
Benny Bailey: Lead Trumpet, Flugelhorn
Slide Hampton: Trombone
Wayne Andre: Lead Trombone
Frank Wess: Flute, Alto Saxophone, Piccolo
Howard Johnson: Tuba, Baritone Saxophone
Bobby Hutcherson: Vibes
George Cables: Piano
Rufus Reid: Bass
Victor Lewis: Drums

Produced by Michael Cuscuna
Executive Producer: Maxine Gregg

Recorded on June 21 & 22, 1977 at Sound Ideas, New York City
Recording and Remix Engineer: William Wittman
Assistant Engineer: Tommy Roberts

Cover Painting: Thomas B. Allen
Cover Design: John Berg

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