| A1 | Big Foot | B1 | Chasing the Bird |
| A2 | I'll Remember April | B2 | Round Midnight |
| A3 | Donna Lee | B3 | 52nd Street Theme |
ベテランのトランペッター、レッド・ロドニーがビ・バップ再興を目論んだ'74年のアルバム。
これはリイシューです。オリジナルはいかにもミューズ・レコーズにありがちな、「やる気あんのか」となじりたくなるモノクロ写真のジャケットでした。
それが上の画像の通り、人工着色を施したポップでカラフルなデザインに差し替えられ、80年代末にリイシューされました。
ちなみにオリジナルは"Bird Lives!"というタイトルで、リイシューは"Bird Lives"です。点バットはどこかへ消えちゃったのね。
そもそも過去作の再発に及び腰なミューズが、わざわざジャケットを差し替えてまでリイシューしたのはなぜか?
ぶっちゃけ、レッド・ロドニーにそこまでする価値あるのか?
あるのです。
少なくともこの時点(リイシューは'89年)では、あったのです。
クリント・イーストウッドが監督した『バード』という'88年の映画、みなさん覚えていますか。
モダン・ジャズの創成期、40〜50年代に活躍したアルト・サックス奏者チャーリー・パーカーの伝記映画です。当時たいへんな話題になり、全世界がこの映画に注目しました。
いきおい作中に登場し、パーカーの相棒となるレッド・ロドニーの名前が急浮上。そこで「今が売り時だ」とにらんだミューズが便乗してリイシューしたわけ。
実際、映画におけるロドニー(マイケル・ゼルニカーという役者が演じた)はかなり重要な役どころでした。
パーカー・バンドのトランペッターとして諸兄が思い浮かべるであろうディジー・ガレスピーやマイルス・デイヴィス、ケニー・ドーハムら有名どころではなく、あえて知名度の乏しいレッド・ロドニーを大きく取り扱っています。このあたり、イーストウッド監督はいいところに着眼しました。

パーカーの狂気に呑まれやがて堕ちてゆく若者、という観客の視点に近い存在として、割と好意的にロドニーを描いています。もっとも公開当時ロドニーは存命だったので、あまり悪しざまには描けなかったのかもしれません。
「2時間40分なんて長げーよ」「ダビングの音質がひでーよ」「こんな陰キャなパーカー見たくねーよ」などなど、『バード』をくさす人はたくさんいました。興行収入も伸び悩み、高くついた製作費はほとんど回収できなかったそうな。
長い。低音質。陰キャ。そして爆死。これらはことごとく、マカロニ・ウエスタンの定石です。
ジャズ映画だろうとマカロニの作法を貫くのは、いかにもイーストウッドらしい。イーストウッドにしかできないでしょう。よかれあしかれ、作家性の強い映画だったことは間違いありません。
それゆえ目の肥えた映画ファンからは、イーストウッドの監督としての手腕を高く評価する声が上がりました。東大の総長が猛プッシュしてたし。この頃アクション・スターとしてマンネリ気味だったイーストウッドは、いよいよ本腰を入れて監督業に精出すことになります。もはや44マグナムを振り回して暴れるおじさんではなくなったのです。と思ったら『ルーキー』でまた暴れているんだよな。
またこの映画にてパーカー役を熱演したフォレスト・ウィテカーは、その演技を激賞され一躍売れっ子になりました。よかったよかった。もしこれがなかったら、ウィテカーの代表作は『初体験 リッジモント・ハイ』になるところでした。
さて、そろそろアルバムの話に戻ろうかな。
このアルバムが制作された'73年のジャズ界といえば、まるでリーマン・ショック後の工場街のように、寒風が吹きすさんでいました。
薬禍によりミュージシャンとしてキャリアがほぼ断絶していたロドニーも、混迷していたジャズ・シーンのどさくさでするりと再デビューです。しかし本作におけるロドニーはあんまり調子よくなさそう。
本セッションに集められたサイドメンは、いずれも名手と呼ばれる人たち。なのにリーダーの不調に引きずられたせいか、全員パッとしません。この時期、波に乗っていたマクファーソンでさえ、何だかモヤモヤしたプレイに終始しています。どうしちゃったんだよみんな?
要するに、不発弾なのです本作は。いくら商機とはいえ、これをリイシューするのはいかがなものかと。ロドニーにはもっといいアルバム、ありますよ。
私がオススメしたいロドニーはこれ。

スティープル・チェイスの"One for Bird"です。'88年発売なので、映画『バード』の公開時期と前後するのかな。
親子ほども歳の離れた新世代ミュージシャンたちと組み、ロドニーもハツラツとした演奏をしています。(なおロドニーの実の息子についてはこちら)
若造たちがおじいちゃんを煽ること煽ること。とりわけアルト・サックスのディック・オーツとピアノのゲイリー・ダイアルが激しいの何のって。まるでG馬場にムチャな技をかけようとしている若手レスラーみたいだ。ライヴならではの熱気もあって、メンバー全員が燃えに燃えました。
これはリイシューです。オリジナルはいかにもミューズ・レコーズにありがちな、「やる気あんのか」となじりたくなるモノクロ写真のジャケットでした。
それが上の画像の通り、人工着色を施したポップでカラフルなデザインに差し替えられ、80年代末にリイシューされました。
ちなみにオリジナルは"Bird Lives!"というタイトルで、リイシューは"Bird Lives"です。点バットはどこかへ消えちゃったのね。
そもそも過去作の再発に及び腰なミューズが、わざわざジャケットを差し替えてまでリイシューしたのはなぜか?
ぶっちゃけ、レッド・ロドニーにそこまでする価値あるのか?
あるのです。
少なくともこの時点(リイシューは'89年)では、あったのです。
クリント・イーストウッドが監督した『バード』という'88年の映画、みなさん覚えていますか。
モダン・ジャズの創成期、40〜50年代に活躍したアルト・サックス奏者チャーリー・パーカーの伝記映画です。当時たいへんな話題になり、全世界がこの映画に注目しました。
いきおい作中に登場し、パーカーの相棒となるレッド・ロドニーの名前が急浮上。そこで「今が売り時だ」とにらんだミューズが便乗してリイシューしたわけ。
実際、映画におけるロドニー(マイケル・ゼルニカーという役者が演じた)はかなり重要な役どころでした。
パーカー・バンドのトランペッターとして諸兄が思い浮かべるであろうディジー・ガレスピーやマイルス・デイヴィス、ケニー・ドーハムら有名どころではなく、あえて知名度の乏しいレッド・ロドニーを大きく取り扱っています。このあたり、イーストウッド監督はいいところに着眼しました。

パーカーの狂気に呑まれやがて堕ちてゆく若者、という観客の視点に近い存在として、割と好意的にロドニーを描いています。もっとも公開当時ロドニーは存命だったので、あまり悪しざまには描けなかったのかもしれません。
「2時間40分なんて長げーよ」「ダビングの音質がひでーよ」「こんな陰キャなパーカー見たくねーよ」などなど、『バード』をくさす人はたくさんいました。興行収入も伸び悩み、高くついた製作費はほとんど回収できなかったそうな。
長い。低音質。陰キャ。そして爆死。これらはことごとく、マカロニ・ウエスタンの定石です。
ジャズ映画だろうとマカロニの作法を貫くのは、いかにもイーストウッドらしい。イーストウッドにしかできないでしょう。よかれあしかれ、作家性の強い映画だったことは間違いありません。
それゆえ目の肥えた映画ファンからは、イーストウッドの監督としての手腕を高く評価する声が上がりました。東大の総長が猛プッシュしてたし。この頃アクション・スターとしてマンネリ気味だったイーストウッドは、いよいよ本腰を入れて監督業に精出すことになります。もはや44マグナムを振り回して暴れるおじさんではなくなったのです。と思ったら『ルーキー』でまた暴れているんだよな。
またこの映画にてパーカー役を熱演したフォレスト・ウィテカーは、その演技を激賞され一躍売れっ子になりました。よかったよかった。もしこれがなかったら、ウィテカーの代表作は『初体験 リッジモント・ハイ』になるところでした。
さて、そろそろアルバムの話に戻ろうかな。
このアルバムが制作された'73年のジャズ界といえば、まるでリーマン・ショック後の工場街のように、寒風が吹きすさんでいました。
薬禍によりミュージシャンとしてキャリアがほぼ断絶していたロドニーも、混迷していたジャズ・シーンのどさくさでするりと再デビューです。しかし本作におけるロドニーはあんまり調子よくなさそう。
本セッションに集められたサイドメンは、いずれも名手と呼ばれる人たち。なのにリーダーの不調に引きずられたせいか、全員パッとしません。この時期、波に乗っていたマクファーソンでさえ、何だかモヤモヤしたプレイに終始しています。どうしちゃったんだよみんな?
要するに、不発弾なのです本作は。いくら商機とはいえ、これをリイシューするのはいかがなものかと。ロドニーにはもっといいアルバム、ありますよ。
私がオススメしたいロドニーはこれ。

スティープル・チェイスの"One for Bird"です。'88年発売なので、映画『バード』の公開時期と前後するのかな。
親子ほども歳の離れた新世代ミュージシャンたちと組み、ロドニーもハツラツとした演奏をしています。(なおロドニーの実の息子についてはこちら)
若造たちがおじいちゃんを煽ること煽ること。とりわけアルト・サックスのディック・オーツとピアノのゲイリー・ダイアルが激しいの何のって。まるでG馬場にムチャな技をかけようとしている若手レスラーみたいだ。ライヴならではの熱気もあって、メンバー全員が燃えに燃えました。
| ★★★ | 採点表を見る |
Red Rodney: Trumpet
Charles McPherson: Alto Saxophone
Barry Harris: Piano
Sam Jones: Bass
Roy Brooks: Drums
Produced by Don Schlitten
Executive Producer: Joe Fields
Engineer: Paul Goodman
Recorded at RCA Studio, NYC on July 9, 1973
Mastering Engineer: Joe Brescio, The Cutting Room, NYC
Art Direction: Noel Frankel (Fred / Alan Inc.)
Design: Tom Godici (Fred / Alan Inc.)
Handtinting: Nancy Pearson
Photo: P. Gottlieb
Charles McPherson: Alto Saxophone
Barry Harris: Piano
Sam Jones: Bass
Roy Brooks: Drums
Produced by Don Schlitten
Executive Producer: Joe Fields
Engineer: Paul Goodman
Recorded at RCA Studio, NYC on July 9, 1973
Mastering Engineer: Joe Brescio, The Cutting Room, NYC
Art Direction: Noel Frankel (Fred / Alan Inc.)
Design: Tom Godici (Fred / Alan Inc.)
Handtinting: Nancy Pearson
Photo: P. Gottlieb
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