2025/07/17

Duke & the Drivers / Cruisin’ ('75)

A1Rock 'n' Roll HighB1Dr. Rock and Roll
A2I Got the WillB2Lovebones
A3Slow MotionB3Joey
A4Ain't Nothing a Young Girl Can Do for MeB4Like I Want It
A5What You GotB5Too Much Woman for a Henpecked Man
 デューク・アンド・ザ・ドライヴァーズは当時、たいへん人気のあったロック・バンドです。
 ライヴやコンサートが主たるシノギだったせいか、レコーディングには消極的で、残されたアルバムは数少ない。

 60〜80年代の音楽を、21世紀の今になって追体験しようとしている私たちは、次のように考えがちです。
  1. アルバムをたくさん出したアーティストは、A級
  2. レコードを出さずにドサ回りしていたバンドは、B級
 本当にそうなのでしょうか。

 緻密なスタジオ・レコーディングがライヴで再現不可能なのと同じように、ライヴの熱狂をそのままスタジオに持ち込んで磁気テープに記録することはできません。
 アルバム内の彼らは全編、無難に、借りてきた猫みたいに大人しく演奏しています。

 きっと彼らも、オーディエンス不在のレコーディング・スタジオでどう振る舞ったらいいか、戸惑っていたのでしょう。アウェイのマットで、どれくらい暴れていいのかさじ加減がわからず、レフェリーの言うことを素直に聞いてしまうスタン・ハンセンのようです。
 本作を聴いても、ツアーの行く先々で満員御礼だったという人気バンドの、真の姿は見えてきません。

 記録媒体の中に押し込まれたデューク・アンド・ザ・ドライヴァーズは、凡庸な、スター性の乏しいバンドです。これでは追体験しかできない私たちに、B級扱いされても仕方ない。

 しかしまあ、こういう生業のバンドですので、実際にライヴ会場に足を運び、リアル体験した人々がハッピーになったのなら、それでいいじゃないかって気がします。ハピネスにA級もB級もない。

 観客を巻き込み、観客とひとつになってギンギンに盛り上がる彼らの真骨頂は、本作にはありません。それでもなお、人気バンドの基礎体力の部分、高い演奏技術はしっかりと盤に刻まれています。むしろ観客の熱狂がないだけに、その部分が強調される結果となりました。

 B3以外は、コクがあるのにキレがある、王道ど真ん中の8ビート・ロックです。
 不完全燃焼が悔やまれます。ステージの生演奏はきっと激烈だったんだろうな。

 アルバム・タイトルも、ジャケット写真も、まるでドライブのお供にどうぞと言わんばかり。
 実際、カーステでかけるのにもってこいです。自宅のリスニング・ルームよりも、ハンドルを握って、流れる景色の中で聴く方がずっと楽しい。
★★★

Produced and Engineered by Eddie Kramer for Remarkable Productions, Inc.
Recorded at Electric Lady Recording Studios, Inc., New York
Assistant Engineer: Frank August, "The Satin Sultan"
Personal Manager: Peter Casperson, Castle Music Production, Boston

Sam Deluxe: Electric and Acoustic Guitars and Vocals
Cadillac Jack: Electric and Slide Guitars and Vocals
Rhinestone Muddflapps: Harmonica, Tenor Sax, Chimes, Percussion, Vocals
Dr. Feelgood Funk, D. D. A.: Drums, Percussion, Vocals
Koko Dee: Bass, Vocals
"Mississippi" Tom Swift: Keyboards, Arp Strings, Vocals
Peter Wassyng: Road Manager
Rich Douglas: Road Crew
Kevin Flynn: Graphics Concept
Marty Vogel: Technical Advisor
Jim McCrary: Color Photography
Fred Seidman: Black & White Photography
Martin Donald: Album Design
Tom Wilkes: Art Direction

0 件のコメント: