2024/12/17

Funky Kings ('76)

A1Singing in the StreetsB1Let Me Go
A2My Old PalsB2So Easy To Begin
A3So LongB3Help To Guide Me
A4Highway Song (Drive, Drive, Drive)B4Mattress on the Roof
A5Nothing Was ExchangedB5Anywhere but Jimmie's
A6Slow Dancing
 70年代中頃にアリスタ・レコーズが放ったイーグルスのぱちもん、3本の矢。

 1の矢はカントリーでフォークなフールズ・ゴールド。そして2の矢はポップでさわやかなシルヴァー。これらはすでに、拙ブログで取り上げています。

 今回ご紹介する3の矢は、ファンキー・キングス。
 1の矢、2の矢に比べ、圧倒的に知名度が低いです。はたしてどんな奴らでしょうか。

 イーグルスのファースト・アルバムに「ピースフル・イージー・フィーリング」という曲がありましたよね。その作者、ジャック・テンプチンがこのグループにいます。
 シンガー・ソングライターとして、リーダー・アルバムもある人です。バーバンクの便利屋みたいなポジションだったのかもしれません。後年、グレン・フライの腰巾着になったらしいぜ。

 私が注目したいメンバーは、ジュールズ・シアーというヴォーカリスト兼ギタリスト。
 シンディ・ローパー屈指の名バラード、「オール・スルー・ザ・ナイト」はもともとこの人が作り、歌っていました。カバーだったのねシンディ。

 私がいちばん好きなシンディがこれですよ。

 アルバムの内容は、純朴なカントリー・ロック、これに尽きます。タイトルほどファンキーじゃない。
 初期イーグルスに近いような。しかし、初期イーグルスが有していた若さや青さ、憂いは希薄で、むしろ彼らのライバルだったドゥービー・ブラザーズに似た雰囲気を感じます。

 むさい兄ちゃんたちの間を吹き抜ける、清々しい風のようなA3とB3が私のお気に入り。
 どちらもギター担当のリチャード・ステコルなるメンバーが作った曲です。

 本作の収録曲はテンプチン、シアー、ステコルいずれかの手によるもの。ソングライターが3人いて、ギタリストが4人いるバンドということか。いやあ、ひしめいていますね。

 ごちゃごちゃして、わちゃわちゃしている感じはジャケット・デザインにも波及してしまいました。
 ヨーロッパ風の王宮に、王様が6人おわします。随所に細かいネタを仕込んでありますので、ぜひ現物を手に取ってごらん下さい。こういうのはCDサイズに縮小したら台無しになってしまうんだろうなあ。

 ホントにホントにライオンだ。ヒエロニムス?

 いずれにせよ、1の矢、2の矢、そしてこの3の矢も、ぱちもんとはいえイーグルスと人脈的につながっています。布施明とガンちゃんが一緒にいるようなもんか。イーグルスという強力な弓によって、音楽ビジネスという戦場に3本の矢が放たれます。

 しかし3本とも、大した戦功には至りませんでした。
 2枚のアルバムを出せたフールズ・ゴールド、シングル・ヒットを打ったシルヴァーは、まだ善戦した方と言えます。いちばんしょぼい戦果が、このファンキー・キングス。どこにも刺さらず、かすることさえなく、戦場にポトリと落ちた矢。
★★★

The Funky Kings Are
Frank Cotinola: Drums, Percussion
Richard Stekol: Vocals, Electric Guitar, Piano on B4
Bill Bodine: Fender Bass, B. C. Rich Bodine Bass, Vocals
Jules Shear: Vocals, Guitar
Greg Leisz: Pedal Steel, Lap Steel, Dobro, Acoustic Guitar, Electric Guitar on B4, Vocals
Jack Tempchin: Vocals, Harmonica, Guitar

Produced by Paul A. Rothchild for W and L Music
Engineer: Fritz Richmond
Recorded at Elektra Studios, Los Angeles
Mixed by Val Garay
Mixed at The Second Factory, Los Angeles
Mastered at A&M Studios by Bernie Grundman
This Album Was Mixed Using The Aphex Aural Exciter

Mike Finnigan: Organ and Vocal on B5
Barry Beckett: Piano on B1
Geoff Muldaur: String Arrangement on A6
Katy Moffatt: Background Vocal on B1

Management: Bill Leopold, Eddie Wenrick (W and L Music)
Cover Art: Dennis Pohl
Photography: Benno Friedman
Design & Art Direction: Bob Heimall

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