A1 | Mustang Sally | B1 | Knock on Wood |
A2 | New Orleans | B2 | Time Is on My Side |
A3 | Sunny | B3 | Up Tight Good Woman |
A4 | Everybody Needs Somebody To Love | B4 | You Left the Water Running |
A5 | Ooh Poo Pah Doo | B5 | Three Time Loser |
A6 | She Ain't Gonna Do Right | B6 | Nothing You Can Do |
私がウィルソン・ピケットを知ることになったきっかけは、20数年前に公開されたイギリス映画『フル・モンティ』です。
食い詰めたおっさんたちが、フルチン踊りでひと儲けを企むコメディ。
こんなしょーもない映画、どうせ客席ガラガラなんだろうな…と思いつつ劇場に足を運ぶと、お客さんめちゃくちゃいっぱい来ていてビックリしましたよ。フルチンの集客力なめとったわ。
映画の随所に仕掛けられた大ネタ小ネタのつるべ打ちに、劇場内はドッカンドッカン笑いが起きていました。満場の観客だと、こういう魔法のような一体感を共有できるんだよね。
ちなみにいちばんウケていたのは、職安でドナ・サマーのあれ。言葉に頼らないギャグってやっぱり強い。
ロンパーとガイが影になるシーンでも、大いに笑いを取っていました。当時、ホモは笑い飛ばす対象だったのです。
というわけで映画を大いに気に入った私は、さっそくサントラCDを買いに走りました。
ウィルソン・ピケットの「ダンス天国」も、もちろん入っております。これ聴く度に、黒人のおっさんが踊っていたオーディションの場面を思い出してしまう。
ちなみにこのサントラCDをプロデュースしたのはロバート・クラフトです。すっかり裏方の人になっちゃってました。
さてウィルソン・ピケットの全盛期は60年代半ば、アトランティック時代でしょう。
本作は「ダンス天国」の翌年、もっとも波に乗っていた頃の作品。レンガの壁に穴を開けそうなくらい激しいピケットの歌いっぷりを、たっぷり楽しめます。
アルバムとしての物語性は、これっぽっちもありません。上出来のトラックを、無造作にただ並べてあるだけ。
この時代のLP、とりわけこのジャンルには珍しくないことです。こうしてこさえた「アルバム」は、むしろ普通でした。
ほとんどの曲が3分前後で、片面に6曲、両面で12曲。ピケットはことごとく、きっちり燃焼しながら駆け抜けていきます。
一本調子と言えなくもない。でもそれゆえドライブのBGMに好適です。マスタングを転がしながら聴いたら、さぞやいい旅・夢気分でしょう。
私が買ったこいつは、80年代にカナダでリイシューされたものらしい。
シュリンクにシールが貼ってありますよ。拡大してみましょう。
最後の行が気になりますよね。"Digitally remastered"云々。
おいおい、アナログ・レコードに何してくれるんだよ。
デジタル処理を経ることで、音質はよくなったのか。それとも悪くなったのか。
とりあえずノイズレスで、きれいな音をしています。このへんデジタルの恩恵なのでしょうか。
その一方、いかにもアナログなぶっとい音ではありません。ピケットをあまり近く感じないというか。
ともあれWEAの看板を背負った本気のリイシューだけあって、きちんと仕事しています。このクオリティなら買いだ。
みなさん中古レコード店でこのシールを見かけたら、digitallyという単語に委縮せず、信用してやって下さい。
このカナダ産リイシュー、ジャケットにもレーベルにも、STEREOと表記されています。でもこれ、実質モノラルです。
ステレオのLchとRchに、同一の信号が記録されているみたい。
左右の信号があるからには、ステレオといえばステレオです。しかし「左右異信号じゃないからモノラルだろ」って言われると、うーんそうかもしれない、ってことになってしまう。
いずれにせよ、いわゆるtrue stereoなサウンドを期待する諸兄は膝カックン必至。
そもそも"The Wicked Pickett"って、元はモノラルですよね。
過去にイシューされたステレオ・バージョンはどれもこれも、疑似ステレオでしょ。全編true stereoの"The Wicked Pickett"ってあるのかなあ。CDなんかはどうなってるんだろ?
これをリイシューしたカナダ人は音がヘボくなる疑似ステレオ化をあえてせず、全ての音を左右スピーカーのど真ん中に押し固めました。ワイド感は毫もありません。これで正解。
シールにあった"optimum sound quality"とは、こういうことだったのね。
食い詰めたおっさんたちが、フルチン踊りでひと儲けを企むコメディ。
こんなしょーもない映画、どうせ客席ガラガラなんだろうな…と思いつつ劇場に足を運ぶと、お客さんめちゃくちゃいっぱい来ていてビックリしましたよ。フルチンの集客力なめとったわ。
映画の随所に仕掛けられた大ネタ小ネタのつるべ打ちに、劇場内はドッカンドッカン笑いが起きていました。満場の観客だと、こういう魔法のような一体感を共有できるんだよね。
ちなみにいちばんウケていたのは、職安でドナ・サマーのあれ。言葉に頼らないギャグってやっぱり強い。
ロンパーとガイが影になるシーンでも、大いに笑いを取っていました。当時、ホモは笑い飛ばす対象だったのです。
というわけで映画を大いに気に入った私は、さっそくサントラCDを買いに走りました。
ウィルソン・ピケットの「ダンス天国」も、もちろん入っております。これ聴く度に、黒人のおっさんが踊っていたオーディションの場面を思い出してしまう。
ちなみにこのサントラCDをプロデュースしたのはロバート・クラフトです。すっかり裏方の人になっちゃってました。
さてウィルソン・ピケットの全盛期は60年代半ば、アトランティック時代でしょう。
本作は「ダンス天国」の翌年、もっとも波に乗っていた頃の作品。レンガの壁に穴を開けそうなくらい激しいピケットの歌いっぷりを、たっぷり楽しめます。
アルバムとしての物語性は、これっぽっちもありません。上出来のトラックを、無造作にただ並べてあるだけ。
この時代のLP、とりわけこのジャンルには珍しくないことです。こうしてこさえた「アルバム」は、むしろ普通でした。
ほとんどの曲が3分前後で、片面に6曲、両面で12曲。ピケットはことごとく、きっちり燃焼しながら駆け抜けていきます。
一本調子と言えなくもない。でもそれゆえドライブのBGMに好適です。マスタングを転がしながら聴いたら、さぞやいい旅・夢気分でしょう。
私が買ったこいつは、80年代にカナダでリイシューされたものらしい。
シュリンクにシールが貼ってありますよ。拡大してみましょう。
最後の行が気になりますよね。"Digitally remastered"云々。
おいおい、アナログ・レコードに何してくれるんだよ。
デジタル処理を経ることで、音質はよくなったのか。それとも悪くなったのか。
とりあえずノイズレスで、きれいな音をしています。このへんデジタルの恩恵なのでしょうか。
その一方、いかにもアナログなぶっとい音ではありません。ピケットをあまり近く感じないというか。
ともあれWEAの看板を背負った本気のリイシューだけあって、きちんと仕事しています。このクオリティなら買いだ。
みなさん中古レコード店でこのシールを見かけたら、digitallyという単語に委縮せず、信用してやって下さい。
このカナダ産リイシュー、ジャケットにもレーベルにも、STEREOと表記されています。でもこれ、実質モノラルです。
ステレオのLchとRchに、同一の信号が記録されているみたい。
左右の信号があるからには、ステレオといえばステレオです。しかし「左右異信号じゃないからモノラルだろ」って言われると、うーんそうかもしれない、ってことになってしまう。
いずれにせよ、いわゆるtrue stereoなサウンドを期待する諸兄は膝カックン必至。
そもそも"The Wicked Pickett"って、元はモノラルですよね。
過去にイシューされたステレオ・バージョンはどれもこれも、疑似ステレオでしょ。全編true stereoの"The Wicked Pickett"ってあるのかなあ。CDなんかはどうなってるんだろ?
これをリイシューしたカナダ人は音がヘボくなる疑似ステレオ化をあえてせず、全ての音を左右スピーカーのど真ん中に押し固めました。ワイド感は毫もありません。これで正解。
シールにあった"optimum sound quality"とは、こういうことだったのね。
★★★ | 採点表を見る |
Eddie Logan, Charles Chalmers & Caple Gilbert: Tenor Sax
Floyd Newman: Baritone Sax
Gene Miller & Ben Cauley: Trumpet
Chips Moman: Lead Guitar
Jimmy R. Johnson: Rhythm Guitar
Tommy Cogbill & Junior Lowe: Bass & Guitar
Spooner Oldham: Piano & Organ
Roger Hawkins: Drums
Recording Engineers: Rick Hall & Tom Dowd
Cover Photo: Nick Samardge
Cover Design: Loring Eutemey
Supervision: Jerry Wexler & Rick Hall
Floyd Newman: Baritone Sax
Gene Miller & Ben Cauley: Trumpet
Chips Moman: Lead Guitar
Jimmy R. Johnson: Rhythm Guitar
Tommy Cogbill & Junior Lowe: Bass & Guitar
Spooner Oldham: Piano & Organ
Roger Hawkins: Drums
Recording Engineers: Rick Hall & Tom Dowd
Cover Photo: Nick Samardge
Cover Design: Loring Eutemey
Supervision: Jerry Wexler & Rick Hall
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