2024/09/16

James Lee Stanley / Midnight Radio ('80)

A1Anywhere Love GoesB1Too Late Now
A2Just Like LoveB2I Don't Care
A3Midnight RadioB3Born To Love You
A4Rowboat in the AtticB4In Your Pocket
A5Worry 'Bout YouB5Even Cowgirls Get the Blues
 ロマンティックなジャケットだなあ。
 栄養状態の悪そうな女が、クルマを運転しながら月を眺めています。ちゃんと前見て走らんかい。

 ここで注目すべきは、クルマの内装。
 ごらん下さい。ハンドル、シフトノブ、メーター、スイッチやツマミなど、たしかに昭和のクルマってこんな感じでしたよね。
 ダイヤルをくりくりして選局するラジオ。クランクをくるくるして開閉する窓。あったあった。

 当時(1980年)は当たり前であった車内の様子が、今となっては懐かしの光景です。
 このジャケットを見た途端、おとんの運転するセダンでお出かけした幼少の記憶がいきなり蘇りました。いやあ、思い出のトリガーはどこに転がっているかわかったもんじゃないですな。

 そういえばビーチ・ボーイズ"That's Why God Made the Radio"のLVにも、レトロな車内が描かれていましたね。こちらは郷愁をそそったれという意図があからさまで、それはそれで嫌いじゃない。

 チャーミングなジャケ絵、そして「深夜放送」を意味するタイトルに惹かれ、買ってしまった本作。
 しかし主役のジェームズ・リー・スタンリーという人についてはまったく知らない。誰なんだお前は。

 まあ誰でもいいや。
 得体の知れないおっさんがしみじみ歌うアルバムです。

 本作といい、さきのビーチ・ボーイズの新曲(といっても10年以上前)といい、あちらの人々はラジオに対する思い入れが大きいようですね。ラジオを題材にした歌なんて、それこそ今年値上がりした食品の数よりもたくさんありまっせ。
 そもそもアメリカは今なおラジオが主要メディアの一角を占めている、ラジオ大国なのです。億単位の人々が、日常的にラジオを聴いているのだとか。だから活気がある。

 それに比べると、わが国のラジオ、あんまり元気がありませんね。

 ちなみに私にとって、いちばん盛り上がったラジオ体験は深夜放送ではありません。30年くらい昔、文化放送でお昼にやっていた『梶原しげるの本気でDONDON』という報道番組です。詳細はググレカス。

 ラジオならではの即時性を、これほど生々しく叩きつけた番組を私は他に知らない。記者たちが放送時間中にも取材に東奔西走し、関係者をつかまえてはコメントをもらい、ときには電話インタビューに引っぱり出したりして、とにかく現場から直に伝えているんだという「現在進行形」感が図抜けていました。

 このナマ感覚。番組とリスナーの一体感。これこそラジオの力なのだと思った。
『梶原しげるの本気でDONDON』は、激動の90年代を駆け抜けた、ラジオ報道の金字塔です。

 先週『長野智子アップデート』にて、佐藤治彦さんと鈴木敏夫さんが『本気でDONDON』の思い出話をしていました。かつて探険隊員だったふたりが懐かしげに語るのを聴いて、ああやっぱり作り手にとってもあれはホットな番組だったんだなと得心した次第。

 あの番組の熱気を浴びてしまった私は今でも、ラジオの力を信じています。ラジオを諦めきれずにいます。
 たとえ通販番組と過払い金のCMばっかりになろうとも、それでも私はラジオを見捨てられない。ラジオ大好きのラジオっ子なのです。
★★★

Produced by James Lee Stanley

Assisted by Pamela Stanley and John Nowland
Engineered by John Nowland
Basic Tracks of A1 and B2 Engineered by Howard Steele
Inspired by Mr. David Bean and the Inimitable Nesmiths
Front Cover Artwork by Mr. Michael "Seal" Riley, a. k. a. Wild West Design, Santa Cruz and Hollywood
Photography: Melinda Shea
Art Direction and Graphics by Heather Harris
Protection by Frank "The Champ" Rose in the North and Daniel Webb Lang in the South

All Songs Written by James Lee Stanley Except Where Noted
All Electric Guitars: Scott "Soc" Strong
Piano, Fender Rhodes, Wurlitzer and B-3 Organ: John Barlow Jarvis, Vince Melamed and James Lee Stanley
Electric Bass: Maurice Cridlin and Veylor Hildebrand
Fretless Electric Bass: Paul Socolow
Drums: Scotty Matthews and Thom Mooney
Percussion: Sheila Escovito and James Lee Stanley
All Acoustic Guitars, Lead Vocals and Some Background Vocals by James Lee Stanley
Remaining Background Vocals: Pamela Stanley
Slide Guitar: Bonnie Raitt
Harmonica: Stephen Turner
Prophet 5 Synthesizers: Dale Ockerman
Two by Fours, Rice and Material Aids by Danny O'Keefe and Stephen Bishop

Recorded at The Automatt, San Francisco With Occasional Sojourns B. A. (Before Automatt) at Studio 55 and ABC Recording Studios, Hollywood and the Music Annex, Menlo Park, Calif.
Mixed at The Automatt, San Francisco

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