2024/09/01

The Red Norvo Combo / The Second Time Around ('75)

A1Lover Come Back to MeB1Rose Room
A2TangerineB2When You're Smiling
A3A Long One for Santa MonicaB3Exactly Like You
A4Witchcraft
 レッド・ニコルズ、レッド・ガーランド、レッド・ホロウェイ、レッド・カレンダー、レッド・ミッチェル、レッド・ロドニーなどなど、ジャズ界にはたくさんのレッドがいます。

 今回ご紹介するレッドはヴィブラフォンのビッグ・スター、レッド・ノーヴォです。赤毛だったのでこの名前になったとか。
 ごらんの通り、本作のジャケット写真では赤毛かどうかよくわかりません。おそらく毛根が元気だった若い頃はふっさふさで、エスパー魔美みたいな髪色だったのでしょう。レッド毛母。

 それにしてもヒョーキンそうな人柄がにじみ出ている、味な写真です。おまけにめっちゃスケベそう。

 テキサスにオデッサ・ジャズ・パーティという、ジャズメンの梁山泊みたいなものがあったらしい。本作はその人脈から生まれたセッションなのだそうです。
 え、テキサスにもジャズあるんですか、なんて言ったらまた怒られちゃう。テキサスというと、どうしたってテンガロン・ハットかぶった大柄な白人がカウベル振り回して暴れているウィーなイメージなんですよね。

 レコーディングはテキサスではなく、ニューヨークで行われました。名門スタジオで録音したのに、本作の音質はピリッとしません。
 ソプラノ・サックスの音を際立たせようとした反動か、その他の楽器がボンヤリしています。リーダーのヴァイブが前に出てこない。これにはノーヴォも歯がみしたことでしょう。「サックス、オレより出しゃばるな」と。

 陽気なスインガーたちが集うと、なぜかおっ始まってしまうスタンダード・ナンバーのA1。
 ケニー・ダヴァーンのソプラノ・サックスが奔放にはじけてます。なるほど真の主役はこいつか。ダヴァーン、ボヨヨン、ボヨヨン。

 いつも心にサルソウルの私としては、曲目に「タンジェリン」があると激しく聴いてみたくなる。本作もそれで買いました。
 そのA2。ノーヴォのヴァイブは音が小さめ。そしてカッ、カッというリムショットの音量がやたらめったら大きい。
 リムショットのマニア(いるのか?)なら大喜びのトラックです。

 概して和気あいあいな本作にあって、唯一のオリジナル曲A3はどういうわけか激しい演奏。メンバー全員、意馬心猿の本性むき出し。
 それまで全日本プロレスのような和やかな雰囲気だったのに、ここだけ新日みたいなテンパった空気です。いったい何があったんや…。

 マッケンナ+ヒントン+アレクサンダーのリズム・セクションはアルバム全編、安定感抜群で、歌モノ中心のB面でも主役を立て、明るく楽しい演奏に終始しています。

 この「明るく楽しい」というのが大事。というのも、明るく楽しいジャズの中古レコードは、安価で売られることが多いのです。
 その一方で、おっかない顔したり、ムズカシイ顔でするジャズが、中古レコード市場では高値を招きがちな傾向があります。なぜでしょう。

 理由はわかりません。ともあれそのおかげでビンボーな私は、あたかもカウボーイに追われ、ブルロープを打たれる牛のごとく、明るく楽しいジャズへと押しやられたのです。ウィー。

★★★

Personnel
Red Norvo: Vibraharp
Kenny Davern: Soprano Sax
Dave McKenna: Piano
Milt Hinton: Bass
Mousey Alexander: Drums

Produced by Harry Lim
Recording Engineer: Don Hahn
Remix Engineer: Richard Blakin
Photography: Les Line
Graphics: Daniel J. McClain
Recorded at A&R Recording Studios, New York, 1975

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