A1 | Them There Eyes | B1 | In a Mellow Tone |
A2 | Easy Living | B2 | Sophisticated Lady |
A3 | Gee, Baby, Ain't I Good to You | B3 | Caravan |
A4 | Good Morning Heartache | ||
A5 | What a Little Moonlight Can Do |
ジャケットをカラー印刷できなかった。つまりそれくらい、低予算の制作環境だったということです。
そのくせ、カイ・ウィンディングに砂漠の隊商みたいなコスチュームを着せています。そこはケチらなかったのね。
J・J・ジョンソンとのコンビで、そこそこ名の知られたトロンボーン・プレイヤーです。ピアノ・トリオを侍らせ、A面でビリー・ホリデイの関連曲、B面はエリントン・ナンバーを吹いています。
トロンボーンのワン・ホーン・カルテットというのは、トランペットやサキソホーンのカルテットほど売り上げを見込めないのでしょうか。メジャー・レーベルに企画を持って行っても門前払いされ、どインディなレーベルからのリリースを余儀なくされました。せめてカラー印刷くらい、許してやったらどうや。
ただしこの時代、ジャズ界には寒風が吹きすさんでいましたので、冷遇されていたのは何もトロンボーン奏者に限ったことではありません。インディとはいえ、自分の主導したレコーディングを実現できただけ、カイ・ウィンディングはまだ恵まれていた方なのかもしれないですね。コスプレもできたし。
アルバム全編、トロンボーンのやさしく、温かい音色でいっぱい。とりわけA面は、あたかも人間が歌っているかのような情感さえあります。
エリントン屈指の名バラードB2は、気品をたたえつつもノンシャランな原曲のムードに、トロンボーンが見事ハマりました。
ピアノを弾いているのはベテランのフランク・ストラゼリ。この人は駆け出しの頃、アート・ペッパーのバンドに参加したものの、ふがいないプレイでペッパーの逆鱗に触れ、クビになってしまったらしい。そんな過去をものともせず、本作ではじつに堂々たる演奏を聴かせてくれます。挫折をバネに努力したのでしょう。
まあ誰にだって、どんな仕事だって、新人のときにはほろ苦いエピソードのひとつふたつありますよね。みなさんにもきっとあるはず。
本作を縁の下で支えているのは、キビキビとしたドラミング。かっちり、几帳面にビートを刻みつつ、バンドに燃料を供給します。A3なんてほとんど主役みたいなもん。
ドラマーはンドゥグなる人物。発音しにくい名前だなあ。「ン」で始まるというのが驚きです。しりとりのルールが変わってしまうじゃん。
ちなみにこのンドゥグ氏、マイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」でも叩いてます。
せいぜい2,000枚のプレスがやっとのインディな本作と、世界中で数億人が耳にした「ビリー・ジーン」、まさに別世界、ハナクソと木星くらい違います。もんげー振れ幅です。音楽ビジネスのダイナミズムを感じるではありませんか。
そのくせ、カイ・ウィンディングに砂漠の隊商みたいなコスチュームを着せています。そこはケチらなかったのね。
J・J・ジョンソンとのコンビで、そこそこ名の知られたトロンボーン・プレイヤーです。ピアノ・トリオを侍らせ、A面でビリー・ホリデイの関連曲、B面はエリントン・ナンバーを吹いています。
トロンボーンのワン・ホーン・カルテットというのは、トランペットやサキソホーンのカルテットほど売り上げを見込めないのでしょうか。メジャー・レーベルに企画を持って行っても門前払いされ、どインディなレーベルからのリリースを余儀なくされました。せめてカラー印刷くらい、許してやったらどうや。
ただしこの時代、ジャズ界には寒風が吹きすさんでいましたので、冷遇されていたのは何もトロンボーン奏者に限ったことではありません。インディとはいえ、自分の主導したレコーディングを実現できただけ、カイ・ウィンディングはまだ恵まれていた方なのかもしれないですね。コスプレもできたし。
アルバム全編、トロンボーンのやさしく、温かい音色でいっぱい。とりわけA面は、あたかも人間が歌っているかのような情感さえあります。
エリントン屈指の名バラードB2は、気品をたたえつつもノンシャランな原曲のムードに、トロンボーンが見事ハマりました。
ピアノを弾いているのはベテランのフランク・ストラゼリ。この人は駆け出しの頃、アート・ペッパーのバンドに参加したものの、ふがいないプレイでペッパーの逆鱗に触れ、クビになってしまったらしい。そんな過去をものともせず、本作ではじつに堂々たる演奏を聴かせてくれます。挫折をバネに努力したのでしょう。
まあ誰にだって、どんな仕事だって、新人のときにはほろ苦いエピソードのひとつふたつありますよね。みなさんにもきっとあるはず。
本作を縁の下で支えているのは、キビキビとしたドラミング。かっちり、几帳面にビートを刻みつつ、バンドに燃料を供給します。A3なんてほとんど主役みたいなもん。
ドラマーはンドゥグなる人物。発音しにくい名前だなあ。「ン」で始まるというのが驚きです。しりとりのルールが変わってしまうじゃん。
ちなみにこのンドゥグ氏、マイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」でも叩いてます。
せいぜい2,000枚のプレスがやっとのインディな本作と、世界中で数億人が耳にした「ビリー・ジーン」、まさに別世界、ハナクソと木星くらい違います。もんげー振れ幅です。音楽ビジネスのダイナミズムを感じるではありませんか。
★★★ | 採点表を見る |
Members of the Caravan
Kai Winding: Trombone
Frank Strazzeri: Piano
Ndugu: Drums
Louis Spears: Bass
Credits
Arrangements: Kai Winding
Produced by Kaiwin, Ltd.
Producer: Kai Winding
Recorded by Sage and Sand Studios
Recording Engineer: Jim Mooney
Editing: Ed Ravenscroft, Jr.
Cover Design: Eleanor Hamilton
Photographer: Ray Avery
Kai Winding: Trombone
Frank Strazzeri: Piano
Ndugu: Drums
Louis Spears: Bass
Credits
Arrangements: Kai Winding
Produced by Kaiwin, Ltd.
Producer: Kai Winding
Recorded by Sage and Sand Studios
Recording Engineer: Jim Mooney
Editing: Ed Ravenscroft, Jr.
Cover Design: Eleanor Hamilton
Photographer: Ray Avery
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