2024/02/18

John Sebastian / Tarzana Kid ('74)

A1Sitting in LimboB1Wild Wood Flowers
A2Friends AgainB2Wild About My Lovin'
A3Dixie ChickenB3Singing the Blues
A4Stories We Could TellB4Sportin' Life
A5Face of AppalachiaB5Harpoon
 てっきりターザンのせがれ、という意味なのかと思っちゃったこのタイトル。

 違います。ターザナというのは、ロサンゼルスのはじっこにある町の名前。だからターザナ育ちの子、ということなのでしょう。
 日本でも、ハマっ子とか道産子とか言うじゃないですか。そういうの。

 ジョン・セバスチャンのフーズ・フーを検索してみると、ターザナ出生でも出身でもありません。生粋のニューヨーカーでした。
 セバスチャンではないのならこのタイトル、いったい誰のことなのでしょうか。

 さて本作、とても地味な内容です。発表当時、あまり売れなかったというのもわかる。
 どーんと売れるために必要な派手さとか、キラキラした輝きが欠如しています。

 しかしセバスチャン、気の合う仲間たちとのセッションを、心から楽しんでいるような雰囲気がうかがえます。
 まずは演っている本人が楽しむこと。これ重要です。
 そうでないと、聴いている私たちだって楽しむなんてできません。

 例えばショパン・コンクールなどの様子がテレビで放映されたりしますよね。見ていても、ピアノを弾いている若者たち、ちっとも楽しそうじゃない。それどころか、しんどそうにさえ映ります。
 これはこれで、音楽の険しさや厳しさを私たちに伝えてくれます。音楽の発展や向上のために必要だということも、理解はしています。でも見ていて楽しめない。

 音楽は、苦行ではありません。苦行であってはいかんのです。

 もしショパン・コンクールが、「人生のすべてをピアノに捧げて必死にがんばっている若者」を見て、そのことをオーディエンスが楽しむ場なのだというのなら、それは感動ポルノに他ならぬのではないのか、なんて思ったりして。

 高校野球に、どこか似ていませんか。夏の甲子園。
 球児が暑くてかわいそうじゃん、涼しい時期にずらしましょう、とか、ドームでやりましょうという意見が毎年のように挙がります。
 でも反対する声が圧倒的に強くて、未だ実現していません。

 灼熱酷暑の炎天下、選手たちが苦しそうな顔でプレイするのを(冷房の効いた部屋で、アイスなんぞ食べながら)見るのが楽しいんじゃ!というファンが大多数なのでしょうきっと。
 だから選手を涼しい、快適な環境に置くなんてもっての外、というわけ。

 ここまでくると、感動ポルノというより、古代ローマの剣闘士みたいなことになってますな。
 夏の甲子園は、令和ニッポンにおけるローマン・ホリデイなのかもしれない。そりゃ盛り上がるわけだ。
★★★

Produced by Erik Jacobsen and John Sebastian

Engineered by Steve Jarvis, Peter Granet, John Boyd and Donn Landee
Mixdown at The Sound Factory, Los Angeles
Photography by Basin St. Graphics
Management: Cavallo-Ruffalo, Inc.

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