2023/11/20

Wilson Pickett / Join Me and Let's Be Free ('75)

A1Join Me & Let's Be FreeB1Good Things
A2Let's Make Love RightB2Higher Consciousness
A3I've Got a Good FriendB3Bailin' Hay on a Rainy Day
A4Smokin' in the United NationsB4Mighty Mouth
A5Gone
 本作を手に取ったとき、イヤな予感がした。
 イヤな予感しかしなかった。

 でも、買ってしまうんですよね。魔物の所業か。

 そう、中古レコードには、魔物が潜んでいるのです。
「なんでこんなもの、買っちまったんだろう」と頭を抱えてしまうようなシロモノのひとつふたつ、きっとあなたのレコード棚にもあるでしょう。

 まず、このジャケット。
 そして、このタイトル。
 いわゆるニュー・ソウルの臭いがプンプンしてくるではないですか。

 え、ウィルソン・ピケットが、ニュー・ソウルを…?
 噛み合わせが、あんまりよくなさそう。
 まるでコミックレスラーとUWF系レスラーを試合させるかのような、穏やかならぬ空気が漂ってきます。

 ご安心下さい。実際に聴いてみると、ニュー・ソウルではありません。
 それどころか、そもそもあんまりソウルっぽくない。

 本作はロックです。
 ウィルソン・ピケット、ロックに挑みました。

 ピケットのヴォーカルは悪くない。声は出ているし、意欲も感じられます。
 でも何だか、さえないアルバムなんですよね。聴いていても、ちっとも楽しい気分になりゃしません。

 スティーヴィー・ワンダーのファンにはおなじみ、セシルとマーゴレフの名がクレジットにあります。
 当時低迷しつつあったピケットは、何としても第一線に返り咲くため、彼らを起爆剤として召し抱えたのでしょう。三顧の礼で迎え入れたのかもしれません。
 何せ、全盛期のスティーヴィーを支えた名コンビですからね。そりゃ頼りにしますって。
 その結果がこれですよ。ウィルソン・ピケットにとってはこのコンビ、クソの役にも立たなかったようです。

 勇躍してロックに乗り込んでも、はたまた名コンビを引き込んでも、ミラクルは起こりませんでした。残念。
 唯一の救いは、聴く前に覚えたイヤな予感が間違っていなかった、という答え合わせができたことくらいですかね。どうしてくれるんだ魔物この野郎。
★★★

Arranged by Yusuf Rahman and Wilson Pickett
Produced by Yusuf Rahman

Recording Engineers: Christopher Huston, Michael Boshears and Robert Margouleff
Remix Engineer: Michael Boshears
Electronic Music Synthesizer Programming by Robert Margouleff and Malcom Cecil for Centaur Music Productions
Recorded at Crystal Industries, Clover Recorders and Centaur Music Productions, Los Angeles, California

Cover Art: John W. Martin
Art Direction: Acy Lehman

0 件のコメント: