2023/07/23

Masterpiece / The Girl's Alright With Me ('80)

A1The Girl's Alright With MeB1We Like To Get Down
A2High on LoveB2Don't Take Your Love From Me
A3Take a Look AroundB3Love Is What You Make It
A4You + Me = LoveB4Thank You for Love
 最初に言っておきます。写真の女性が歌っているわけではありません。
 こういうえっちなジャケットにすれば、もよおした男たちが手に取ってくれるだろう、というわかりやすい魂胆。まるで「コバエがホイホイ」のゼリーの香り(ベリーグッドです)に誘引されるコバエのごとく、まんまと手にしてしまった私であります。

 ザ・テンプテーションズと袂を分かったモータウンの大物プロデューサー、ノーマン・ホイットフィールドは、ジ・アンディスピューテッド・トゥルースでさんざんやりたい放題した挙句、'75年にモータウンを勇退します。
 自ら興したレーベル、ホイットフィールド・レコーズでローズ・ロイスをヒットさせた彼のポッポに、潤沢な軍資金が転がり込んで来ました。よーしこれを元手にテンプスのぱちもんを結成し、大々的に売り出そう、そんなことを企てちゃったみたいです。
 それゆえグループ名も、アルバム・タイトルも、「見りゃわかるだろ、テンプスだよこの野郎」と主張しています。ちなみに私は、見てもわかりませんでした。

 時代の波に乗り、やがてその波に翻弄されたプロデューサーの、かつての栄華よもう一度!の熱望が詰まったアルバム。もしかしたら絶縁状態にあったテンプスの面々に向け、「もいっぺんお前らと組めたりしないかなあ…」と観測気球を上げたつもりなのかもしれません。

 というわけでA1はテンプスのヒット曲。A4はジ・アンディスピューテッド・トゥルースのナンバー。それ以外の曲は、ヴォーカルのロバート・ダニエルズが書いています。

「テンプスと比べてどうなのよ?」と言われても、私はテンプスのことあまりよく知らないので、何とも答えようがありません。お役に立てず申し訳ない。
 そういう私にとっては、テンプスの影が無駄にチラつくこともなく、虚心で楽しめます。毒もトゲもない、穏やかなサウンドのヴォーカル・グループとして、まずますの内容と言えましょう。ところどころ、インスト・パートに花を持たせるのがホイットフィールドの手口っぽい。

 A4などはストリングス不在なのが寂しいですな。あればもうちょっとゴージャスになれたのに。軍資金が足りなかったの?
 それにしても"You + Me = Love"という、しょっぱい方程式を曲名にしちゃうセンスには感心します。郁恵の「アル・パシーノ+アラン・ドロン<あなた」には遠く及ばないにせよ。

 1980年前後というのは、ヴォーカル・グループの好盤がたくさん生まれた時期です。本作を買ったのも、この頃の作品ならハズレを引くこともなかろう、と思ったから。もちろん、エロジャケが背中を押してくれたことは否定しない。
★★★

All Selections Produced and Arranged by Norman Whitfield Except A2, B4 Norman Whitfield and Mark Davis B1, B2 Norman Whitfield and Mark Kenoly
Recorded and Mixed at Fort Knox Recording Studio, 8425 Melrose Avenue, Los Angeles, California 90069

Special Thanks to the Following Musicians
Bass: Mark Kenoly, Tiaz Palmer, Henry Cook
Guitar: Melvin (Wah Wah) Watson, Earnest Reed, Jr., Greg Poree, Mike McGlory, Trey Stone, Isy Martin, Greg Cook
Percussion: Jack Ashford
Vibes: Bob Zimmitti
Keyboards: Walter Downing, Dean Gant, Michael Nash, Victor Nix, Norman Williams
Horns: LaMorris Payne, Chris Powell, Ken Scott
Drums: James Bigbe, Henry Garner, Jimi Valdez, James Gadson

Recording Engineers: Leanard Jackson, Steve Smith
Mixing Engineers: Norman Whitfield, Leanard Jackson, Steve Smith

Art Direction: Eleven Twenty-Four Design / Art Sims, P. T. L.
Front Cover Photography by Dean Tokuno
Group Photography by Bobby Holland

Album Coordinator: Bill Whitfield

0 件のコメント: