2022/08/23

Lorraine Frisaura / Be Happy for Me ('76)

A1Things To DoB1The Next Time
A2All I've Been Looking ForB2No Thanks
A3I Don't Wanna GoB3Jimmy Mack
A4Part of MeB4Nothing's the Same
A5It's Really AlrightB5I'm Still Here
 上の画像ではちょっと見づらいので、ジャケット写真の顔を拡大しました。

 ごらん下さい。いやあ、じつにつまらなそうな表情です。
 デートの相手がこういう顔をしていたら、とっとと帰りたくなっちゃいますよね。
 レコードを1枚でも多く売りたければ、もうちょっと愛嬌のある写真にするでしょうに。

 イギリスの女SSWが大西洋を渡り、アメリカでレコーディングを敢行しました。
 同様の企画としては、チャーリー・ドアがまずまずの成功例と言えましょう。残念なことに、本作はそこまで上出来じゃないんだ。

 A3は有名曲ですね。本作が76年だとするなら、モーメンツよりも先に歌っていたことになるのかな。
 デイヴ・ロギンス作のA2やモータウン・ナンバーのB3などもあって、自作曲は半分くらいです。

 その自作曲、どれもこれも地味で盛り上がりに欠け、とてもヒットを狙えそうにありません。
 でも不思議と、心に引っかかるメロディーなんですよね。カバーではうまく出せなかった自分の持ち味が、オリジナルだとそこそこ表出できたのかもしれません。

 おそらくこの女、フォークの畑で育ってきたのでしょう。もうちょっとフォーク寄りのフォーマットでアルバム作りをしていたなら、たとえ一般的なヒットはしなくとも、音楽好きの心に訴える、味わいのある小品になったのではないかなあ。

 しかし現実は容赦ありません。ジャズ・フュージョン系のミュージシャンたちがこの女を取り囲み、勢いに任せてワッショイワッショイやってしまいました。
 その結果、うっすら昆布出汁のようなこの女本来のテイストに、どぎついマスタードをドバドバ注入するような蛮行がまかり通ってしまったのです。

 せっかく巡ってきたアルバム・レコーディングのチャンスを、夢と希望あふれるニューヨークで「わやにされた」んだもん。そりゃ愛想よく写真撮影なんかできっこないわな。

 もちろんミュージシャンたちはやるべきことをやっただけで、何の罪もありません。生き馬の目を抜くニューヨークで、ミュージシャンとして生きていくということは、つまりそういうことなのです。

 ちなみにA4のテナー・サックスはなかなかの好演。この女のフォークな本性に寄り添い、お前もうちょっと笑顔になれよと言わんばかりのソロを吹きつけたマイケル・ブレッカーはさすが。
★★★

Musicians
Lorraine Frisaura: Vocals, Rhythm Guitar
Steve Khan: Guitars, Guitar Solos
Don Grolnik: Piano, Organ
William F. Lee IV: Bass
Chris Hills: Drums
Michael Brecker: Tenor Sax, Solos
Mike Mandel: Synthesizer
Mtume: Additional Percussion

Background Singers: Merle Miller, Gail Kantor, Kay T. Oslin, Erin Dickins

Arrangements Strings & Horns
David Spinozza (A2, A3, A4, B5)
Michael Mainieri (A1, A5, B2, B4)

Produced by Danny Weiss for CAM Productions

Engineer: Captain Jeff Zaraya
Assistant Engineers: John Kilgore, Brooke Delarco
Recorded at Vanguard Studios, New York City

Photography: Ed Caraeff

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