2022/07/25

Charles Drain / Dependable ('76)

A1Don't Change MeB1Only You
A2Is This Really LoveB2I'm Gonna Stay
A3Lifetime Guarantee of LoveB3What You Don't Know
A4Daddy Want's Your Dreams (Sadie)B4Just As Long
A5What Good Is a Love Song?B5I've Been Workin'
 dependableは信頼できる、という意の形容詞。
 ただしジャケットで怪しい笑みを浮かべるチャールズ・ドレインは、とてもじゃないが信頼できそうにありません。こりゃお金を貸しても返してくれそうにないや。

 チャールズ・ドレインはこのアルバム、1枚こっきりの人。音楽ビジネス的には、あんましdependableな業績とは言えませんね。

 でもまあ、ミュージシャンの圧倒的大多数は、アルバムどころかシングルさえ出す機会も得ぬまま終わるケースがほとんどです。ヒット作を連発するサザンやミスチルの方が、むしろ異常と言えます。
 たった1枚でもアルバムを世に送り出せたのなら、じゅーぶん偉業なのではないかなあ。

 さて、われわれが日々、ターンテーブルに乗せているあの黒い円盤状物体は、ときにレコードと呼ばれます。レコードはご存知の通り、記録という意味もありますよね。
 チャールズ・ドレインの音楽活動は、たった1枚のアルバムという形であれ、確実に遺されたのです。少々大げさに言うなら、生きた証です。
(まだご存命だったらごめんなさいドレインさん)

 アルバムの発売から半世紀近く経って、こうやってブログで語る者がいる。
 時間を超えて、つながることができるのです。レコードって、記録って、いいものですね。

 そういう意味で、「1枚でも出せたミュージシャン」と「1枚も出せなかったミュージシャン」との間には、どこまでも深い断層があるのです。

 なお本作、70'sソウル・ミュージック中庸のおいしいところが刻み込まれています。
 ニュー・ソウルとか、ファンクとかフュージョンとか、ディスコとか、そういう極端な70年代っぽさが希薄で、わりと古風。でも適度に洗練されています。

 A3はキャロル・ダグラスが『真夜中の恋人』で歌っていましたね。
 A5はオーソドックスなソウル・バラード。心がホッとします。これもカバーなのかな。本作いちばんの聴きどころ。
 ほんわかしたセリフ読みのイントロから始まるB2も、なかなか微笑ましい。

 全編、とんがったところのない、マイルドな雰囲気が貫かれています。意外とこういうのが、時代の荒波を乗り越えてしまうのかもしれません。好事家の間ではそこそこ評価されているらしい。驚いたことに、わが国ではCDにもなったとか。
★★★

Produced by Kent Washburn

A1, A2, B1, B4 Arranged and Produced by Kent Washburn and Michael L. Smith
A3, A4, B2, B3 Arranged by Kent Washburn
A5 Arranged by Bill Bickelhaupt
B5 Arranged by Kent Washburn, Horn Arranged by Byron Bowie

Musicians
Bass: Tom Zuzenak, Paul Jackson
Keyboards: Ray Kennedy
Guitars: Phillip Westmoreland, Jay Marino
Drums: Mike Grimes, Ed Kotowski, Roger Clark
Percussion: Tom Roady
Vibes and Bells: Kent Washburn
Trumpets: David Hines, Chuck Schmidt
Alto Saxes: Clifton McBride, Kent Washburn
Baritone Saxes: Kent Washburn, Ernie Fields, Jr.
Flutes: Kent Washburn, Ernie Fields, Jr.
String Contractor: Ernie Fields, Jr.

Background Vocalists: Myrna Smith, Sylvia Shemwell, Deirdre Tuck, Che-Che

Recorded in CMC Studios, Professional Artists Studio and Technisonic Studios, St. Louis, Missouri
Engineers: Steve Litman, Bill Schulenburg, Bill Olszewski
Mixed in RCA Studios in New York and Los Angeles
Engineers: Roy Hall, Dick Baxter, Grover Helsey
Special Engineering Assistance: Lewis Rosen
Photographer: Nick Sangiamo
Art Director: Dick Smith

0 件のコメント: