2022/03/05

Mike Finnigan / Black & White ('78)

A1Just One Minute MoreB1Sailfish
A2How Wrong Can You BeB2Expressway to Your Heart
A3The WordsB3Love Might Keep Us Forever
A4Can't Keep a SecretB4Let Me Love You
A5I Could Never Leave YouB5Hideaway From Love
 タキシードの黒。ワイシャツの白。
 口ひげの黒。タバコの白。
 グランドピアノは影だけ。でも鍵盤のイメージから黒と白。
 アルバム・タイトルに、とても忠実なジャケット・デザインではありませんか。

 ダンディなジャケットから、たやすくご想像できましょう。おそらく、本作のちょっと前に大ヒットしたボズ・スキャッグスの『シルク・ディグリーズ』あたりを意識した、さもなくば便乗したのではないか、そんな内容です。

 ただし二番煎じのB級っぽさはありません。きちんとカネのかかったプロダクションです。安定感抜群のバンド・サウンドを得て、フィニガンはボズよりも熱のこもった歌い方をしています。

 売り出しのお手本としたボズとはどうやら人間味を異にするようで、ヘアトニックやオーデコロンの香りが漂ってきそうなボズに対し、フィニガンは汗やニンニクが臭ってきそうなイメージ。
 イモの煮っころがしをガツガツ食って、安酒飲み干して酔っ払ってゴロンと横になり、そのままイビキをかいて眠ってしまう昭和のオッサンのような泥臭いテイストです。アメリカの三好鉄生みたいなもんか。

 とりわけ泣きのバラードA5に、この人らしさが顕著です。なりふり構わぬエモーション爆発な歌いっぷりは、「どうだい、オレってカッコいいだろ」と言わんばかりに歌うボズの洒脱さとは別世界です。
 ここでフィニガンから迸った魂の咆哮に、私の心は共鳴を禁じ得ませんでした。昭和のオッサン同士、相通じるものがあるのでしょうか。

 馬子にも衣裳、とはなるほどその通りで、タキシードを着せてしまえばそれなりにイケてしまうマイク・フィニガン。
 しかし音楽はウソをつきません。つけません。タキシードなんぞ似合わない、「ボズになれない男」の地金を露呈しています。
★★★

Produced by Ron Nevison for Gadget Productions, Inc.

Recorded at The Record Plant, Los Angeles, California, October - December, 1977
Recorded by Ron Nevison
Assisted by Mike Clink
Mastered at The Mastering Lab by Mike Reese
Strings and Horns Arranged and Conducted by Alan MacMillan

Players
Mike Finnigan: Piano, Organ, Lead Vocals, Clavinet, Electric Piano
Les Dudek: Rhythm Guitar, Lead Guitar, Acoustic Guitar and Vocals
Jim Krueger: Rhythm Guitar, Lead Guitar, Acoustic Guitar and Vocals
Max Gronenthal: Piano, Vocals
Bob Glaub: Bass
Jeff Porcaro: Drums
Bobbye Hall: Percussion
Myrna Matthews, Marti McCall, Melissa MacKay: Background Vocals
James Gadson: Drums on A1
Rick Jaeger: Drums on B5
Gerald Johnson: Bass on B4
Dave Mason: Lead Guitar on B5
Jim Getzoff: Concertmaster
Jason Cooper: Direction

Photography: McGowan / Hagiwara
Design: Nancy Donald

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