2018/06/05

Boz Scaggs / Silk Degrees ('76)

ボズ・スキャッグス / シルク・ディグリーズ
うつ向いた横顔と背中にたまらなく愛を感じる。そして真赤なつめと女の脚がおもわせぶり。
シスコの洒落男、ボズの絹のようになめらかで艶やかでため息がでそうな素敵なアルバム。
A1What Can I Say
何て言えばいいんだろう
B1Lowdown
ロウダウン
A2Georgia
ジョージア
B2It's Over
イッツ・オーバー
A3Jump Street
ジャンプ・ストリート
B3Love Me Tomorrow
ラヴ・ミー・トゥモロー
A4What Do You Want the Girl to Do
あの娘に何をさせたいんだ
B4Lido Shuffle
リド・シャッフル
A5Harbor Lights
ハーバー・ライツ
B5We're All Alone
ウィア・オール・アローン
 CD時代の今、「LPはひっくり返すのが面倒だ」とまるでデメリットのように言われてしまいがち。
 しかしLP時代のアルバムは、A面B面それぞれきっちり構成して曲を配置していました。でたらめに曲を並べると、1曲1曲の出来がよくてもアルバム全体の印象が冴えないものになることを作り手もよくわかっていますので、当然のことながらA面B面をどのように組み立てるか、みっちりと気を配ることになります。
 練りに練られた曲順やA面B面の構成の妙は、もはや作品の一部であり、名盤の要訣でもあります。俗に名盤と言われる作品の多くは、A面B面それぞれ盛り上げる流れを作り込んであるのです。

 かつて『シルク・ディグリーズ』をCDで聴いたとき、あれ?と思いました。
「ハーバー・ライツ」がフェイドして間もなく「ロウダウン」が始まったところに、自分でも不思議なほど、違和感を覚えたのです。

 LPなら、ここで盤をひっくり返す間(作業)があるのに、CDだとそれがないのでイキナリな感じがしたのでしょう。
 何というか、せっかちで、味がない。
 これがLPだったら、A5「ハーバー・ライツ」の余韻にしばらくジーンとしてから、おもむろにLPを裏返す。針を下ろす。
 やがて流れ出すB1「ロウダウン」のイントロのかっこよさは、これらをともなうことにより、いっそう際立ちます。もちろんそれは、作り手の意図したことなのです。

 CDは便利だけど、LP時代の作り手の思惑をいとも簡単に無きも同然にしてしまう恐れがあるってことでしょうか。
「LPはひっくり返すのが面倒だ」という人たちに、私はこう言いたい。
「ひっくり返すから面白いのだ」
★★★★★

Produced by Joe Wissert

Arranger: David Paich
Engineer: Tom Perry
Photography: Moshe Brakha
Design: Ron Coro, Nancy Donald

Musicians
David Paich: Keyboards
Jeff Porcaro: Drums
David Hungate: Bass
Fred Tackett: Guitar
Louie Shelton: Guitar
Horns: Jim Horn, Tom Scott, Plas Johnson, Chuck Findley, Bud Shank, Dick Hyde, Paul Hubinon, Vincent DeRosa
Concertmaster: Sid Sharp

Recorded in Los Angeles at Davlen Sound Studios and Hollywood Sound
Disc Mastering: Doug Sax, The Mastering Lab.

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