2018/06/05

Boz Scaggs / Down Two Then Left ('77)

ボズ・スキャッグス / ダウン・トゥー・ゼン・レフト
グラミー賞、ロッキー賞を獲得した新しいタイプのスーパースター、ボズのあの名作『シルク・ディグリーズ』をも超える待ちに待ったニュー・アルバム。
ふたつ降りて左へ曲がるとメロウな香りに包まれる。ドキドキするようなボズとの出会い。
A1Still Falling for You
スティル・フォーリング・フォア・ユウ
B1Hollywood
ハリウッド
A2Hard Times
ハード・タイムス
B2Then She Walked Away
ゼン・シー・ウォークト・アウェイ
A3A Clue
ア・クルー
B3Gimme the Goods
ギミー・ザ・グッズ
A4Whatcha Gonna Tell Your Man
ホワッチャ・ゴナ・テル・ユア・マン
B41993
1993
A5We're Waiting
ウイアー・ウェイティング
B5Tomorrow Never Came
トモロウ・ネヴァー・ケイム
 西海岸で録音されたポップスやロックのアルバムに記された参加ミュージシャンのクレジットを眺めていると、ときどきウエスト・コースト・ジャズの残党の名前を目にしたりします。
 たとえばボズの前作『シルク・ディグリーズ』には、バド・シャンクが参加していました。

 今回もそういう残党系がいます。B1「ハリウッド」でヴァイブを演奏しているヴィクター・フェルドマン
 1950年代後半、西海岸ジャズで活躍したこのイギリス人はやがて、売れっ子のスタジオ・ミュージシャンになりました。

 純ジャズよりも、スタジオ・ワークの方が稼げるようで、マイルス・デイヴィスに「オレのバンドに参加してくれ」と請われた際も、躊躇なく袖にしています。カネにならないから。

 マイルスに誘われる、というのはジャズメンにとってこれ以上ないくらいの名誉です。
 しかし高給取りのフェルドマンにしてみれば、名誉で食えるかよ!くらいの気持ちだったのかもしれません。

 ジャズ界にあって、おそらくもっとも稼いでいるマイルスでさえこの扱いですよ。ジャズってのはそれだけ食えないってことか。

 なおフェルドマンは多忙なスタジオ・ワークで経済的安定を確保しつつ、その空隙を縫うようにジャズのアルバムをたくさん発表しています。

 ジャズ活動を継続すること。大金を稼ぎ出すこと。フェルドマンはこの難しい両立をうまくやってのけました。
 マイルス・スクールの卒業生、という肩書にこだわって中途半端に終わるよりも、ずっと実りある人生だったと思います。
★★★★

Joe Wissert: Producer
Tom Perry: Engineer

Players
Jeff Porcaro: Drums
Michael Omartian: Keyboards
Scott Edwards: Bass
Jay Graydon: Guitars
Ray Parker, Jr.: Guitars

Guy Bourdin: Photos
Nancy Donald: Design
Irv Azoff: Action

Strings and Horns Arranged and Conducted by Michael Omartian
Horns: Chuck Findley, Steve Madaio, Ernie Watts, Fred Selden, Don Menza, David Duke, Dana Hughes and Barbara Korn
Recorded and Mixed at Hollywood Sound
Disc Mastering: Mike Reese
Concert Master: Sid Sharp

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