2022/02/03

Toby Beau ('78)

A1MoonshineB1Westbound Train
A2CaliforniaB2Buckaroo
A3Same Old LineB3Watching the World Go By
A4Into the NightB4Bulldog
A5My Angel BabyB5Wink of an Eye
B6Broken Down Cowboy
 トビー。
 私にとって忘れられない「トビー」は、子供の頃、テレビで夢中になって見ていた海外ドラマ『ルーツ』です。
 誇り高きマンディンカの戦士クンタ・キンテが人間狩りに遭い、新大陸へ拉致され、奴隷として売られ、オーナーから名付けられた奴隷名、それが「トビー」なのであります。

 全米で話題騒然の人気テレビシリーズ『ルーツ』、当時小学校低学年だった私には、かなりショッキングな内容でした。とりわけクンタ・キンテがつま先チョンパされる場面は、アタマにこびりついてしまい、夜、布団にもぐって眠ろうとしても、何度も何度も否応なくあれが思い出されて寝付けなかったくらい。

 クンタ・キンテの墓石に刻まれた「トビー」を、娘が「クンタ・キンテ」に削り直すシーンは、シリーズ屈指の名場面です。幼なかった私でも、人間の尊厳というものをうっすらと感じ、胸がいっぱいになったのを今でもハッキリ覚えています。

 というわけで、トビー・ボーというのはてっきり人の名前なのかと思ってしまいました。
 でも違うんだな。グループ名です。テキサス出身の5人組バンド。

 デビュー・アルバムの本作は、ロンドンでレコーディング。何だかイーグルスみたいですね。
 音楽的にも、駆け出しのイーグルスに通じるものがあります。カントリーな要素がなかなか濃厚で、これじゃあとても日本で売れそうにありません。

 ただし一本気なカントリー・ロックを期待すると、それはそれで物足りない。よく言えば中庸、悪く言うなら中途半端なサウンドです。
 バーニー・レドンの存在感を5割増にした初期イーグルス、だいたいそんなイメージね。
 かつて拙ブログで取り上げたフールズ・ゴールドに近いテイストです。フールズをB級イーグルスとするなら、トビー・ボーはB級フールズ・ゴールドと言えなくもない。

 とはいえ本作、決して悪いアルバムではありません。爽快感のあるギターが気持ちよくて、田舎道のドライブBGMにもってこいです。制限速度を守って走ろうという遵法意識が、スーッと青い空へ吸い込まれて消えます。
★★★

Toby Beau Is
Danny McKenna: Vocals and Lead Guitar
Ron Rose: Vocals, Guitar, Banjo and Mandolin
Balde Silva: Vocals, Guitar and Harmonica
Rob Young: Drums and Percussion
Steve Zipper: Vocals and Bass

Produced by Sean Delaney
Engineered by Mike Stone
Arranged by Toby Beau and Sean Delaney
Strings Arranged by Ron Frangipane (A3, A4, A5, B6)
Recorded at The Manor Studio, England
Mixed at Sarm Studios and Trident Studios, England
Mastered at Sterling Sound, N. Y. by George Marino

Design by James Flournoy Holmes / Wonder Graphics, Atlanta
Leather Works by J. Dabney Murrill
Photography by Shayne Fair / Concept by Sean Delaney

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