2020/04/23

Joyce Leftenant / It's Too Late! ('78)

A1You Loved Me All the TimeB1It's Too Late
A2Let Me Be Your WomanB2Inside of Me
A3I Believe YouB3Everything That Touches You
A4Stormy Weather / Send in the ClownsB4Tell Me Something I Can Do
 ジョイス・レフテナント。聞いたことない名前です。
 アルバムはこの1枚だけ。他のアーティストとの関わりも絶無で、客演することもなければ、作詞・作曲・編曲・演奏その他でクレジットされたこともありません。このアルバムが、唯一残された、彼女の音楽活動の全てです。いったい何者なのでしょうか。

 プロデューサーが行きつけていたスナックで、ホステスをしていたおばさん。それが彼女の正体です。
 スナックに集う野郎どもを魅惑する夜の蝶ジョイスに、プロデューサーも熱を上げてしまったわけ。どうしても彼女をモノにしたいプロデューサーはせっせと店に通い、「キミのレコード、作ってあげるよ」なんて甘言をエサにして熱心に口説き、やっとこさ男女の仲になりました。
 やってしまえばもうこっちのもの。約束をホゴにしてやり捨ててしまえば、ま、よくある話ってことになりましょう。もちろん当初は、彼もそのつもりでした。しかし彼は気付いてしまったのです。ベッドで上げるジョイスの嬌声に、ヴォーカリストとしての可能性を。
 この女、歌手でいけるかもしれない…そんなプロとしてのカンを信じて、プロデューサーは本当にレコーディングを敢行してしまいました。本作は、そういう経緯で生まれたアルバムです。というのはたった今私が思い付いたウソなんだが、ジャケット写真のジョイスを見ていると、実際にそんなストーリーがあってもおかしくないような気がしてくるから不思議。

 内容はB級レディ・ソウル。ほんのりジャズ風味。

 全編、ゲスト・ミュージシャンのハンク・クロフォードやホルヘ・ダルトがおばさんを盛り立てます。
 しかし最大の功労者はジョニー・ハモンド・スミスでしょう。B1のオルガン・ソロ。聴いてみて下さい。彼のソロが始まった途端、セッションの空気が変わります。一瞬で光景が塗り替わるような、別の世界にすっ飛ばされてしまうような、原作者のキャロル・キングが聴いたなら「なんでそこでそーなるんだよ!」と叫んでしまいそうな、それくらい激烈な音楽体験です。
 ジョニー・ハモンド・スミスのリーダー諸作よりも、こっちの方がよっぽどジョニー・ハモンド・スミスしているじゃないか、そんな気がしてきます。

 ハッキリ言って、B1以外は毒にもクスリにもなりゃしません。でもB1、ただこの1曲のために、ああ本作を買ってよかったと心から思うんだな。
★★★

Arranged & Conducted by Mario E. Sprouse

Special Guests
Hank Crawford
Jorge Dalto
Johnny Hammond
Karen Joseph
Buster Williams

The Musicians Are
Joyce Leftenant: Vocal
Hank Crawford: Alto Saxophone
Jorge Dalto: Acoustic Piano, Celeste
Johnny Hammond: Organ
Karen Joseph: Flute
Buster Williams: Acoustic Bass
Bernadette Randle: Rhodes Piano
Wayne Morrison: Electric Guitar
Shanimba: Congas
Doug Wilson: Drums
Mario E. Sprouse: Acoustic Piano on B3

Jon Faddis, Sinclair Acey, Virgil Jones, Charles Sullivan: Trumpet & Flugelhorn
Janice Robinson, Kiani Zawadi: Trombone
Joseph Schor, Kathryn Caswell, Myra Segal, Louis F. Simon, Lorin Bernsohn, June De Forest, Sidney Kaufman, Marvin Morgenstern: Violin
Alan Grishman, Maxine Neuman, Daniel Morgenstern: Cello

Recorded July 24-28, August 1, 2, 1978
Columbia Recording Studios, New York
Engineer: Llew Horowitz
Assistant Engineers: Ted Brosnan, Tom Dwyer, Bill Messina, Harold Tarowsky
Mastering: Vladmir Meller, CBS
Mastered on the CBS DISComputer System

Art Director: Wally Caldwell
Photographer: Chuck Stewart
Printed in U. S. A. by AGI

Produced by Vic Chirumbolo
A VCI Production

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