2020/02/11

C. L. Blast / I Wanna Get Down ('80)

A1I Wanna Get DownB1Let's Do Something Different Tonight
A2If I Had Love You MoreB2If I Could Feel That Old Feeling Again
A3I've Got to Make It on My OwnB3Share Your Love with Me
A4Our Love Will LastB4Love Don't Feel like Love No More
 今はもう、2020年ですからね。1990年代の映画は早晩、古典の扱いになってしまうのでしょう。
 しかし1999年の映画『タイムトラベラー きのうから来た恋人』は、埋もれさせるにはもったいない作品です。

 勘違いで核シェルターにこもった夫婦の間で生まれ、外の世界を知ることなく育った青年アダム。35歳になってシェルターの外に出てみると、そこは現代のLA。35年前の常識や価値観しか持たないアダムが、現代人との交流でハチャメチャを巻き起こすコメディであります。

 主人公アダムを演じるのは、当時人気のあったハンサム俳優のブレンダン・フレイザー。父親をクリストファー・ウォーケン、母親をシシー・スペイセクがそれぞれ演じます。そしてアダムと恋に落ちるヒロインはアリシア・シルヴァーストーンときた。豪華キャストですね。監督は『ポリスアカデミー』のヒュー・ウィルソン。

 例えば『クロコダイル・ダンディ』のようなハートウォーミングなカルチャーギャップものであり、『教授と美女』のようなアブセント・マインデッド・プロフェッサーものでもあり、ついでに言うと『40歳の童貞男』のような高齢童貞ネタでもあったり。
 いろいろ盛り込みつつ、35年の歳月を笑い飛ばす珍品。後半、ちょっと失速するのが惜しい。恋愛要素でもたつくんですよ。これがなければ名作になれたのに。

 何といっても35年のギャップがこの映画のキモ。なので1999年の公開から35年後、2034年には35周年記念エディションのブルーレイディスクが登場するかもしれません。いやその頃にはブルーレイなんてないかも。

『タイムトラベラー きのうから来た恋人』の原題は、"Blast from the Past"です。座右の辞書によると、これは慣用句で(突然巡り合った・ふと思い出した)懐かしいもの[人]という意味らしい。
 つまり原題は、アダムそのものを指しているんですね。「きのうから来た恋人」という邦題は、原題とせんほど乖離していない。ぶっとび邦題ではなかったのです。

 なおblastには突風とか爆破とか、あんまり穏やかじゃない意味がありますので、C・L・ブラストという名前はどうせ本名じゃない。サンダー杉山とかアポロ菅原とか、とりあえずそんなような激しい芸名にしといたろか、といったノリだと思います。

 フレデリック・ナイトがプロデュースしているせいで、演歌テイストのディスコ・ソウルになってしまいました。このいなたい感覚は、日本人にもすんなり入っていけるでしょう。ジャケット写真のなつこい笑顔も、親しみやすさを感じさせますよね。

 いちばんの聴きどころはオーラスのB4かなあ。でも本作、どの曲も悪くないんだ。ゆったりしたバラードA2やA4、B2などでいかんなく発揮する、たっぷり間を生かした豪放な歌いっぷりはブラストの名に恥じない仕上がりです。
★★★

Musicians
Michael Ward, Dino Zimmerman: Guitars
Carson Whitsett, S. Dees, F. Knight: Keyboards
Ray Griffin, Don Barrett: Basses
James Robinson, James Stroud: Drums

Rhodes-Chalmers-Rhodes, Lady Love, Jewell Bass, Jeanette Williams, Kathy Young: Background Vocals

Horns and Strings Arranged by Mike Lewis

Recorded at Malaco Studios, Jackson, Mississippi / Boutwell-Wood Studios, Birmingham, Alabama
Horns and Strings Recorded at Criteria Recording Studios, Miami, Florida
Remixed at Malaco Studios, Jackson, Miss. and Atlantic Studios, New York, New York
Recording Engineers: James Griffin, Glen Wood, Tony Wachter
Remix Engineers: Frederick Knight, James Griffin, Lou Hahn
Masterd at Atlantic Studios by George Piros
Design: Stephanie Zuras

Produced by Frederick Knight for Juana Records Inc.

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