2019/12/17

William Eaton / Struggle Buggy ('77)

A1Struggle BuggyB1Brand New Lover
A2Friends and LoversB2Time and Love
A3Just Can't Turn DownB3Elevator to the Stars
B4Conjure Woman
 このアルバムについて言及している国内のブログは、いくつかあります。検索すればすぐ見つかるでしょう。私も、片っ端から読みました。
 しかしいずれのブログも、本作の核心である事実に、いっさい触れていません。だから私が書く。

 本作は「寸劇モノ」です。

 たとえばマーリナ・ショウの『フー・イズ・ジス・ビッチ・エニウェイ』、あの冒頭でエンエン繰り広げられた寸劇を、思い出していただきたい。
 アレに抵抗がなければ、本作はあなたにとってきっと楽しいアルバムになるでしょう。

 そして、寸劇はちょっとカンベンしてくれよ、とおっしゃるそこの御仁。いやそれ私です。英語わかんないと辛いんだこれが。
 悲しいかな本作には、寸劇ネタが2曲もあります。全7曲なので、寸劇のないトラックは5つだけってことですよ。
 その5つのうち、2つはインストもの。つまりまともなヴォーカル・ナンバーは3つ。
 で、その3つのうち、ウィリアム・イートンがリード・ヴォーカルなのは、1つ。たったの1つです。
 わかりやすいよう、表にまとめてみようか。

No.内容主要人物
A1寸劇(大)ノエル・ポインター
ロニー・キューバー
A2ヴォーカル・ナンバーザック・サンダース
マイケル・ブレッカー
A3インスト・ナンバートム・スコット
B1寸劇(小)ウィリアム・イートン
ヨランダ・マックロー
B2ヴォーカル・ナンバーヴィヴィアン・チェリー
レイ・シンプソン
B3ヴォーカル・ナンバーウィリアム・イートン
ジャッキー・バイヤード
B4インスト・ナンバートム・スコット

 シンガー・ソングライターであるウィリアム・イートンのリーダー・アルバムとして考えると、歩留まりはあんまりよろしくない。いくら何でも雑多すぎますって。それにイートン唯一のまともなヴォーカル・ナンバー、B3がしょっぱい出来なのも痛い。

 ただし雑多なのは悪いことばかりではありません。

 当時ニューヨークの音楽シーンはそれだけ、活気と混乱が交錯していました。ディスコ、ソウル、ミュージカル、ジャズ、ラテンなど、もろもろの要素が入り交じったごった煮を、みんなでつつき合っていたのです。

 本作が雑多なのは、ごった煮の鍋から1人前分をすくってお持ち帰りにしたから。そりゃ、いろいろな具が入って当然ですよね。
 ウィリアム・イートンが自分の味を控えめにしたことで、たくさんの具材からしみ出す旨味が楽しめる内容になりました。寸劇が混じってしまうのも、仕方ないですよ。ごった煮だもん。嫌いな具のひとつふたつありますって。
★★★

Rhythm Section
Steve Gadd: Drums
Ralph MacDonald: Percussion
Anthony Jackson: Bass
Eric Gale: Guitar
Hugh McCracken: Guitar
Richard Tee: Piano & Organ
Don Grolnick: Fender & Clavinet
Rubens Bassini: Additional Percussion on B2
Dr. Gibbs: Additional Percussion on B2

Horn Section
Michael Brecker
Randy Brecker
Ronnie Cuber
Eddie Daniels
Victor Paz
Barry Rogers
Alan Rubin
Tom Scott

Background Singers
Patti Austin
Vivian Cherry
Frank Floyd
Lani Groves
Gwen Guthrie
Zachary Sanders
Raymond Simpson

String Section
Anahid Ajemian
Sanford Allen
Alfred Brown
Selwart Clarke
Paul Gershman
Emanuel Green
Kermit Moore
David Nadien
Noel Pointer
Max Pollikoff
Emanuel Vardi

Produced by Ralph MacDonald, William Salter & William Eaton for Antisia Productions
Arranged & Conducted by William Eaton
Recorded & Mixed at Rosebud Recording, Inc.
Engineer: Richard Alderson
Assisted by Eddie Heath, Jr.
Album Coordinator: Diane Johnson
Assisted by Linda Kyser
Cover Painting: David Leffel
Back Cover Photo: Millard Thomas
Masterd at Sterling Sound by George Marino
All Songs Written by William Eaton Except B2 by Ralph MacDonald & William Salter

0 件のコメント: