2019/10/20

Michael Henderson / In the Night-Time ('78)

A1Take Me I'm YoursB1Whisper in My Ear
A2We Can Go OnB2Am I Special
A3HappyB3Yours Truly, Indiscreetly
A4In the Night-timeB4One to One
 マイケル・ヘンダーソンは、マイルス・デイヴィスのバンドでベースを弾いていた人です。
 70年代前半、ファンクなベースプレイで電化マイルス・バンドを支えていました。メンバー入れ替わりの激しいマイルス・バンドにあって、6年近くもの間、マイルスのレコーディングやライヴにフル参加しています。
 ちなみに『マイルスを聴け!』の著者が言うには、レジー・ルーカス、マイケル・ヘンダーソン、アル・フォスター、エムトゥーメがそろい踏みした1973年が歴代マイルス・バンドのリズム・セクションとしては最強、とのことらしい。

 栄光のベース人生。しかしマイルスが長期休業に入った1976年、まるで派遣切りに遭ったかのごとく、寒空の下にほっぽり出されました。
 マイルス・スクールの卒業生が辿る進路は、たいがい次のふたつのどちらかです。ひとつ、ジャズ村に残る。ひとつ、ジャズ村を出る。
 ヘンダーソンが選んだのは、後者の方でした。

 一歩ジャズ村の外に出てしまえば、マイルス・スクール卒業という高学歴は通用しません。いかにリスナーを楽しませられるか、いかに売れるか、そういったレコード・ビジネスの厳しい世界で戦うことを余儀なくされます。
 退路を断ったヘンダーソンは、マイルス・バンドでは披露する機会のなかった歌声を引っさげ、歌うベーシストとして、黎明期のブラコンに討って出ました。

 というわけで本作、マイケル・ヘンダーソンのリーダー・アルバム3作目です。
 ジャズ村への未練はいっさいなく、マイルスのファンがついでに買ってくれたらうれしいな…といったセコい思惑もまるでなく、オレの生きる道はこれなんだ!とでも言わんばかりの、表現者としての自信とヨロコビがそこかしこに横溢している、じつに清々しいブラコンに結実しました。

 しかしA3のような商業性ゼロの実験的なトラックを聴くと、やっぱりこの人、マイルスの遺伝子を宿しているんだなと感じます。どれだけジャズ村から遠く離れようとも、おのが出自はそうそう変えられないんだね。
 日々成長している息子の顔が、だんだん別れたダンナに似てきて慄然とするシングル・マザーみたいなものか…ってひどい例えだなオイ。
★★★

Produced by Michael Henderson

Guitars: Ray Parker, Jr., Randall Jacobs, Michael Henderson
Solo Guitar on A3 and B3: Randall Jacobs
Bass: Michael Henderson, Herman Curry, Jr. on B4
Rhythm Charts
Herman Curry, Jr. on B4
Randall Jacobs, Lamont Johnson on B3
Sylvester Rivers on A1, A2 and A4
Rudy Robinson on B1 and B2
Drums: Jerry Jones, Keith Benson
Percussion: Lorenzo "Bag of Tricks" Brown, Keith Benson
Keyboards: Rudy Robinson, Gary Crista
Organ & Clavinet: Rod Lumpkin, Mark Johnson
Arp String Synthesizers: Rudy Robinson, Gary Crista on A2
Saxophone: Eli Fontaine
Trumpet: Evan Solot
Synthesizer: Mark Johnson
Handclaps: Rocky, Herman Curry, Jr., Michael Henderson
String and Horn Arrangements
Johnny Allen on A4
David Van De Pitte on A1, B1 and B4
Female Background Vocals: Barbara Ingram, Paula Benson, Yvette Benton
Female Vocal on B4: Cheryl Norton
Female Vocal on A1: Rena Scott
Male Background Vocals: Michael Henderson
Recorded at Sigma Sound, Phila. PA
Engineers: Jim Gallagher, Wayne Wilfong, Jay Mark, Dirk Devlin
Photography: Bill Weiner
Creative Packaging Direction: Milton Sincoff

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