2018/07/18

Terry Gibbs / The Latin Connection ('86)

A1Scrapple from the AppleB1Kick Those Feet
A2For KeepsB2Good Bait
A3Groovin' HighB3Flamingo
A4Chelsea BridgeB4Sweet Young Song of Love
A5Sing Sing Sing
 テリィ・ギブスって女性歌手がいたような気がしますけど、これは別の人。ヴィブラホンを叩くおっさんです。

 タイトル通り、かなりラテン寄りの内容になっています。ドラマーはおらず、ティンバレスにティト・プエンテとオレステス・ヴィラトが参加しています。えらく豪華だな。

 ちなみに本作は、コンテンポラリー・レコーズというレーベルからイシューされました。『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』のメガ・ヒットで鳴らしたコンテンポラリーは、80年代に至っても細々と営業を続けていたようです。

 本作のプロデューサーはリチャード・ボックなる人物。西海岸ジャズが人気だった頃、コンテンポラリーのライバルとしてマーケットを奪い合ったレーベル、パシフィック・ジャズの創始者です。
 いつの間にか敵方に寝返っていたわけ。まるでトヨタの社長がニッサンに再就職したような…。どういうこっちゃ?

 いずれにせよ50年代のジャズ・レーベルは、飛行機の墜落事故並みに生存率が極めて低いもの。縮小しつつも80年代まで生き残ったというだけで、もう大したものです。おそらく針の穴をくぐるような難事を、何度も何度も乗り越えたはず。そういう過程にあっては、敵方の人材を取り込むなんて、せいぜい弛んだパンツのゴムを取り替える程度のことなのかもしれません。

 企業の生存本能なんてそんなもの。
 かつてコダックやコニカといったフィルムメーカーがデジカメを売り出すのに、驚いた人も多かったでしょう。フィルム屋がわざわざフィルム市場をシュリンクさせてどうするんだよ、と当時の私も思いました。しかし企業が生き残るというのは、そういうこと。さおだけ屋の本にあった「ゴーイング・コンサーン」を思い出してみる。ちょっと違うかもしれない…。

 ジャズ・スタンダードや有名曲の狭間に配された、テリー・ギブスのオリジナル曲がなかなかいい。A2とか。
★★★

Terry Gibbs: Vibes
Frank Morgan: Alto Saxophone
Sonny Bravo: Piano
Bobby Rodriguez: Bass
Tito Puente: Timbales (A1, A5, B1)
Orestes Vilato: Timbales (Other Selections)
Johnny Rodriguez: Bogos and Percussion
Jose Madera: Congas and Percussion

Richard Bock Production

Arranged by Terry Gibbs and Serge Kasimoff
Orchestrated by Serge Kasimoff

Recording and Remix Engineer: Danny Kopelson
Mastering: George Horn

Recorded (May 9-10, 1986), Mixed and Mastered at Fantasy Studios, Berkeley
Mixed to and Mastered From Digital Tape, Using Mitsubishi X-80 Digital Tape Recorder

Art Direction: Phil Carroll
Cover Photo: Jayson Loam
Back Cover Photo: Phil Bray

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