パティ・オースティン / ザ・リアル・ミー
A1 | I Can Cook Too アイ・キャン・クック・トゥ | B1 | Lazy Afternoon レイジー・アフタヌーン |
A2 | Stockholm Sweetnin' ストックホルム・スウィートニン | B2 | Love Letters ラヴ・レターズ |
A3 | Smoke Gets in Your Eyes 煙が目にしみる | B3 | They Can't Take Away from Me 誰にも奪えぬこの想い |
A4 | True Love トゥルー・ラヴ | B4 | Mood Indigo ムード・インディゴ |
A5 | Across the Alley from the Alamo アラモから | B5 | Cry Me a River クライ・ミー・ア・リヴァー |
A6 | How Long Has This Been Going on? いつの頃からか | B6 | Someone is Standing Outside サムワン・イズ・スタンディング |
パティ・オースティンはクリード・テイラーを嫌っていたそうです。スタジオでつかみ合いの乱闘になりかけたとか。
高価な機材にケリを入れ、ヴァンゲルダー・スタジオを飛び出した彼女はCTIから逃れ、自慢のジャンボ・アフロをバッサリ刈って、幼少のみぎりより父ちゃん同然に慕ったクインシー・ジョーンズの許に走ります。
しかしQの麾下で仕事をするのが彼女の本懐だったとしても、Qwestから出したアルバムは、CTI時代の諸作ほど世間の評価が高いわけではないんだよね。
私は双方を熱心に聴き比べたわけではありませんので、内容について甲乙つけることはできません。
ただ、中古レコード屋における流通量という点では、CTI時代よりもQwest時代の方が圧倒的に多いです。
叩き売りされてしまいがちなQwestの作品群に対し、CTI作品はそこそこいい値段で売っていたりします。
いい値段で売っていると、内容もいいのかな、なんて思いがちですけど、中古レコードの価格設定はタマ数の多寡によって決まります。内容は二の次。これが基本。
ただし何かの拍子に世間から注目を浴びたり、再評価されたりすると、値段が上昇することがあります。
これは単純に、売れてタマ数が減ったため価格が上がるケースと、商機をにらんだ中古レコード屋のおっさんが強気の値付けをする場合と、両方あると思います。
たとえば2009年、マイケル・ジャクソン訃報の折、タマ数が多すぎ、底値に貼りついて動きようのなかったマイケルのレコード価格が上向いたことがありました。
訃報を機に買い求める人がいて、需給のトレンドが変わったのだよ、と言われればそれまでなんですけど、その一方で「今がチャンス!来るよ!マイケル来るよ!」と発奮した中古レコード屋のおっさんが値札を付け替えた可能性も否定できません。
まるで江戸時代の米商人のようなたくましい商魂ですけど、私は彼らを支持します。
たくさんの中古レコード屋が消滅したのを目の当たりにして、その度に悲しい思いをしてきました。中古レコード屋が生き残るために、ちょっとやそっとえげつない手を使ったっていいじゃないですか。どんどんやって下さい。
とまあ、話がえらく脱線してしまいましたが、本作はパティ・オースティンのアルバムでも一、二を争うくらい容易に入手できます。もちろん安価で。制作年が比較的新しいせいか、ジャケットがピカピカなのも珍しくありません。
曲目をご覧の通り、スタンダード曲集です。コール・ポーターやガーシュウィン兄弟、エリントン、はてはジミー・ウェッブの作品までやってます。
プロデューサーはアンブロージアのデヴィッド・パック。
クインシーの弟子筋で、レナード・バーンスタインの薫陶を受けた、アメリカ音楽界の王道を体現した人です。
本作ではご存知キラーQ軍団やパックの仲間を中心に、マイケル・マクドナルド、ジェームズ・イングラム、ルーサー・ヴァンドロス、アール・クルーなど、ブラコン系、フュージョン系の大物がはせ参じました。
現場を仕切ったのはパックの盟友デヴィッド・ベノワ。このふたりは仲良しのようで、ベノワのアルバムにパックがゲスト参加したりしています。
名ドラマー、ジョージ・ペリーリのパタパタパタパタッ、というイントロで始まるB3「誰にも奪えぬこの想い」は80年代後半のモダンなサウンドでもスポイルされないスタンダード・ナンバーの魅力いっぱい。まさに誰にも奪えぬガーシュウィン節ってとこ。
パティ・オースティンが歌のうまい人なのは周知のこととはいえ、ジュリー・ロンドンの十八番「クライ・ミー・ア・リヴァー」を、ジュリーよりうまく歌っちゃうのは掟破りというか何というか…。
G馬場に脳天唐竹割りを叩き込むようなものですかね。
しかしうまく歌えてもジュリーのオリジナルに及ばないあたり、歌というのは一筋縄ではいかないのだなと奥深さを感じさせるではありませんか。
高価な機材にケリを入れ、ヴァンゲルダー・スタジオを飛び出した彼女はCTIから逃れ、自慢のジャンボ・アフロをバッサリ刈って、幼少のみぎりより父ちゃん同然に慕ったクインシー・ジョーンズの許に走ります。
しかしQの麾下で仕事をするのが彼女の本懐だったとしても、Qwestから出したアルバムは、CTI時代の諸作ほど世間の評価が高いわけではないんだよね。
私は双方を熱心に聴き比べたわけではありませんので、内容について甲乙つけることはできません。
ただ、中古レコード屋における流通量という点では、CTI時代よりもQwest時代の方が圧倒的に多いです。
叩き売りされてしまいがちなQwestの作品群に対し、CTI作品はそこそこいい値段で売っていたりします。
いい値段で売っていると、内容もいいのかな、なんて思いがちですけど、中古レコードの価格設定はタマ数の多寡によって決まります。内容は二の次。これが基本。
ただし何かの拍子に世間から注目を浴びたり、再評価されたりすると、値段が上昇することがあります。
これは単純に、売れてタマ数が減ったため価格が上がるケースと、商機をにらんだ中古レコード屋のおっさんが強気の値付けをする場合と、両方あると思います。
たとえば2009年、マイケル・ジャクソン訃報の折、タマ数が多すぎ、底値に貼りついて動きようのなかったマイケルのレコード価格が上向いたことがありました。
訃報を機に買い求める人がいて、需給のトレンドが変わったのだよ、と言われればそれまでなんですけど、その一方で「今がチャンス!来るよ!マイケル来るよ!」と発奮した中古レコード屋のおっさんが値札を付け替えた可能性も否定できません。
まるで江戸時代の米商人のようなたくましい商魂ですけど、私は彼らを支持します。
たくさんの中古レコード屋が消滅したのを目の当たりにして、その度に悲しい思いをしてきました。中古レコード屋が生き残るために、ちょっとやそっとえげつない手を使ったっていいじゃないですか。どんどんやって下さい。
とまあ、話がえらく脱線してしまいましたが、本作はパティ・オースティンのアルバムでも一、二を争うくらい容易に入手できます。もちろん安価で。制作年が比較的新しいせいか、ジャケットがピカピカなのも珍しくありません。
曲目をご覧の通り、スタンダード曲集です。コール・ポーターやガーシュウィン兄弟、エリントン、はてはジミー・ウェッブの作品までやってます。
プロデューサーはアンブロージアのデヴィッド・パック。
クインシーの弟子筋で、レナード・バーンスタインの薫陶を受けた、アメリカ音楽界の王道を体現した人です。
本作ではご存知キラーQ軍団やパックの仲間を中心に、マイケル・マクドナルド、ジェームズ・イングラム、ルーサー・ヴァンドロス、アール・クルーなど、ブラコン系、フュージョン系の大物がはせ参じました。
現場を仕切ったのはパックの盟友デヴィッド・ベノワ。このふたりは仲良しのようで、ベノワのアルバムにパックがゲスト参加したりしています。
名ドラマー、ジョージ・ペリーリのパタパタパタパタッ、というイントロで始まるB3「誰にも奪えぬこの想い」は80年代後半のモダンなサウンドでもスポイルされないスタンダード・ナンバーの魅力いっぱい。まさに誰にも奪えぬガーシュウィン節ってとこ。
パティ・オースティンが歌のうまい人なのは周知のこととはいえ、ジュリー・ロンドンの十八番「クライ・ミー・ア・リヴァー」を、ジュリーよりうまく歌っちゃうのは掟破りというか何というか…。
G馬場に脳天唐竹割りを叩き込むようなものですかね。
しかしうまく歌えてもジュリーのオリジナルに及ばないあたり、歌というのは一筋縄ではいかないのだなと奥深さを感じさせるではありませんか。
★★★ | 採点表を見る |
Produced by David Pack for Art St. Productions
Associate Producer: Patti Austin
Executive Producer: Patti Austin
Production Coordinator: Shari Sutcliffe
Project Coordinator: Lu Snead
Ken Fritz Management, Los Angeles
Recorded and Mixed at Pack's Place, Sunland, California
Engineered by Ben Rodgers
Additional Recording in NYC: Atlantic Studios and Hit Factory
Strings Recorded by Alan Sides at Oceanway Studios, Hollywood, California
Assistant Engineers: Russ Castillo, Steve Holroyd, Michael Mason, Ira McLaughlin, Ira Rubnitz, Joe Schiff and Roger Talkov
Photography: Marc Raboy
Styling and Hair: Danny Wintrode
Make-Up: Craig Gatson
Clothing: Lenny York
Art Direction: Mary Ann Dibs
Associate Producer: Patti Austin
Executive Producer: Patti Austin
Production Coordinator: Shari Sutcliffe
Project Coordinator: Lu Snead
Ken Fritz Management, Los Angeles
Recorded and Mixed at Pack's Place, Sunland, California
Engineered by Ben Rodgers
Additional Recording in NYC: Atlantic Studios and Hit Factory
Strings Recorded by Alan Sides at Oceanway Studios, Hollywood, California
Assistant Engineers: Russ Castillo, Steve Holroyd, Michael Mason, Ira McLaughlin, Ira Rubnitz, Joe Schiff and Roger Talkov
Photography: Marc Raboy
Styling and Hair: Danny Wintrode
Make-Up: Craig Gatson
Clothing: Lenny York
Art Direction: Mary Ann Dibs
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