2018/06/29

Monty Alexander Trio / We've Only Just Begun ('72)

A1It Could Happen to YouB1We've Only Just Begun
A2Summer of '42 ThemeB2I've Never Been in Love Before
A3MonticelloB3Love Story Theme
 アダルトビデオに3人プレイってあるじゃないですか。ひとりの女優を、ふたりの男優が攻める例のアレです。
 ふたりの男優には、女優を愛撫して悦ばせるという共通の目的があります。この目的のみでその場にいるわけです。

 だから男優Aは女優を攻め、そして男優Bも女優を攻めます。
 ここで重要なのは、男優Aが男優Bを攻める、あるいは男優Bが男優Aを攻める、または男優ふたりが攻め合う、などといったプレイは、絶対にあり得ないということです。たとえば男優Aが右手で女優を攻め、左手で男優Bを攻める、なんて絡みには決して、決してなりません。

 なぜなら女優が主役だから。3人が平等に快楽を貪り、分かち合う場ではないのですよアダルトビデオは。

 これと同じことが、ピアノ・トリオにも言えます。
 主役はピアノです。ベース、ドラムスは、主役のピアノを引き立てるため、そのためだけに存在します。

 ジャズのガイドブックに、とりわけビル・エヴァンスの『ワルツ・フォー・デビイ』に関して、「ピアノ、ベース、ドラムスの三者が対等」とか「三位一体のピアノ・トリオ」などと言及してあるのを目にすると、ホンマかいなと思ってしまいます。
「三位一体」って、父と子と精霊ちゃうんかい。

 エヴァンスのトリオだってもちろん、ピアノが主役だし、ベースやドラムスはあくまでも従者ですよ。(ギャラや待遇や格はともあれ)音楽的に三者が対等なんて成り立つわけないじゃん。音楽にならないだろうがよ。

 かように、ジャズを扱った書物は意味不明な妄言が飛び交っていて、ジャズ入門者を門前払いしています。少しはアダルトビデオの明快さを見習えばいいのに。

 ともあれモンティのピアノ・トリオは「オレが主役だ」感がシンプルで、とてもわかりやすい。
 じっくり聴けば、従者のベーシストやドラマーの、主役を立てることで得られる幸福感までも伝わります。

 仕えるというのは、苦しみばかりではありません。むしろたいていの場合は、喜びなのです。ベースとドラムスは、優れたピアニストに奉仕する幸せを噛みしめています。
★★★

Monty Alexander: Piano
Senator Eugene Wright: Bass
Bobby Durham: Drums

Recorded December 1. 1971

Recording: Dick Zicari & Mike Guzauski
Recorded Live! at the Monticello in the Rowntowner Motor Inn, Rochester, New York

Produced by Don Schlitten

0 件のコメント: