2018/05/28

Barbi Benton / Something New ('76)

バルビ・ベントン / サムシング・ニュー
A1Something New
サムシング・ニュー
B1Staying Power
ステイング・パワー
A2Needing You
ニーディング・ユー
B2Ride Baby Ride
ライド・ベイビー・ライド
A3In the Winter
冬の部屋
B3Sandiego Serenade
サンディエゴ・セレナーデ
A4#1 with a Heartache
心の痛手
B4He's a Rebel
恋のダイアリー
A5Lucky One
ラッキー・ワン
B5Thinking of You
貴方を想いつづけて
A6Riding on a Rainbow
虹にのって
 アートに不慣れな私ごとき無粋者でも、このジャケット写真には打たれました。
 内容もよくわからないまま、ジャケットに惹かれて購入。いわゆる「ジャケ買い」というやつですね。

 このバルビ・ベントンというお方、元プレイメイトで、プレイボーイ誌の創業者ヒュー・ヘフナー氏と恋仲にあったとか。
 そういう人がプレイボーイ・レコーズからアルバムを出すのであります。まあ、ゲスでなくても色々と勘ぐりたくなりますわな。アメリカの古田三奈かっていう。

 歌手としての才能は微妙。もちろんヘタじゃないけど、たいして上手いわけでもなく、オンリーワンの個性があるわけでもない。ハッキリ言って平凡です。

 しかしこのレコードはとても素晴らしい。
 何が素晴らしいって、百戦錬磨の実力者多数が、凡庸なヴォーカリストをよってたかって盛り立てるのであります。
 Aクラスのミュージシャンを大量動員しています。現場を仕切ったのはアンドリュー・ゴールドかな。彼の人脈の他、エルトン絡みの連中もチラホラいたりして。

 制作予算がそうとう潤沢だったのでしょう。大所帯のオーケストラが加わります。めいっぱい奮発した甲斐あって、やたらとゴージャスな伴奏になっています。
 可憐なプレイメイト(ヘフナーのお手つきだけど)を立派な歌手に仕立てようと、たくさんの人々が才能を結集し、みんなで力を合わせてがんばったのです。

 もちろんバルビちゃんも、それに応えようと必死になったにちがいありません。
 70年代の、カネのかかったサウンド・プロダクションの蜜の味が、このアルバムにはめいっぱい詰まっています。主役のヴォーカルの才能にちょっと疑問符が付くくらいのことは、せいぜい強風の中で屁をこく程度でしかありません。

 最高のお膳立てで歌うことが楽しくて楽しくて仕方ない!といった雰囲気のA1「サムシング・ニュー」や、大編成のオーケストラが華麗に弾んでオリジナルに肉薄したA2「ニーディング・ユー」など、A面のっけからアクセルベタ踏みで飛ばしています。
 しかし何といっても本作でいちばん打たれるのは、アルバム最後にひっそりと配されたB5「貴方を想いつづけて」です。
 祭りの終わりというか。楽しい時間が終わってしまうせつなさ大爆発。まるで洞窟の奥から歌いかけるように心細げな「ベイビー…ベイビー…」でフェイドするところなんざ寂しいにも程があります。
★★★

Ben Benay: Electric Guitar
Gary Coleman: Congas
Kathy Collier: Background Vocals
Steve Cropper: Electric Guitar
Craig Deorge: Keyboards
Ken Edwards: Electric Guitar, Background Vocals
Donny Gerrard; Background Vocals
Chuck Findley: Horns
Vennette Gloud: Background Vocals
Andrew Gold: Acoustic Piano, Background Vocals, Acoustic Guitar Solo and Tamborine
Jimmy Haskell: String Arrangements
Jim Horn: Horns
Jackie Kelso: Horns
Robert H. Keyes: Sax
Danny Kortchmar: Electric Guitars
Russ Kunkel: Drums
Dee Murray: Bass
Teddy Neely: Background Vocals
James Newton Howard: Keyboards
Nigel Olson: Drums
Billy Payne: Keyboards
Brian Russell: Background Vocals
Lee Sklar: Bass
Sneaky Pete: Pedal Steel Guitar & Solo
Carmen Twillie: Background Vocals
Ritchie Zito: Electric Guitar
Mixed at Sunset Sound Recorders, Hollywood
Production Coordination: Porche Lottermoser
Sunset Sound Recorders Second Engineer: Mark Howlett
Engineer: Robert Appere
Photography: Norman Seeff / Gary Heery
Design: Rod Dyer
Special Thanks to Janie Bacharach
Produced by Robert Appere

0 件のコメント: