![](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhnRv2ZBjCumQueGA5JKlcHv2x2okp0CZTJBZGQq7VI5E8c-fGDfivd15godGZOisHD6GEXaH3pIz9swooF-6HcZYQglWp8Duzu4xZ_yBH6lQ4-qA8a1g6YVnl5igyyL_jwE0-cM-4pPHYCHNCaQ0KGo2DOmQxX2JJEwXTpL3vZcPuUVTymY8o5MIuu2Mo/s0/DSCN2197.jpg)
A1 | Lost in the Stars | B1 | What Am I Here For? |
A2 | Wait Till You See Her | B2 | Lush Life |
A3 | I've Got a Crush on You | B3 | Liza |
A4 | Indian Summer | B4 | The Boy Next Door |
きっと世間には、ふたつのジャズがあるのだと思う。
ひとつは、語るジャズ。
ジャズを語っているオレ、に酔いしれるためのジャズです。
オレはこれを聴いているんだ、というアピールをする(実際に聴く必要はありません)ために存在するので、そういうアピールをする相手がいなければたちまち意義を失います。
もうひとつは、聴くジャズ。
ただ聴くだけです。それだけです。それでいいのです。
語ることなんて何もない。
ふたつのジャズはそもそも目的も用途も違うので、どちらが上とか、どちらが正しいだとか、そういう区別ではありません。
そしてコンコード・レコーズのジャズは、概ね後者に属します。
70~80年代、コンコードの諸作はジャズ・ジャーナリズムに黙殺された、などとよく言われます。要するにスイングジャーナル誌の紹介が少なかったり、小さかったり、あるいはなかったりとか、そういうことです。
実際のところ、「黙殺」というほど能動的な扱いではなかったのではないかなあ。
コンコードは、語るジャズではなく、聴くジャズ。だから単に語ることがなかっただけ。
聴いた人が、ああ面白いな、楽しいな、気持ちいいな、と感じたら、そこで完結します。他者へのアウトプットはありません。自分が満足するかどうかだけです。
「あっ、そこそこ、あっ、き、気持ちいい、あっ、あーっ」とか、そんな言葉しか出てこないんだもん。語りようがない。
レーベルの全盛期であってさえ、語られることのほとんどなかったコンコードの作品群。ところがインターネットの時代になると、その素晴らしい作品世界について言及する人々がチラホラと出現します。
冒頭で述べた通り、語るジャズは、語る相手がいなければ成立しません。だがインターネット時代は、語る相手が生身のニンゲンである必要なんてない。血や肉のない電脳空間そのものが、語る相手になってしまうのです。
聴くジャズだったコンコードが、今や語るジャズへと変容しました。
だから私もここで、こうして、心おきなくコンコードを語ることができます。ありがとうインターネット。語っている自分に酔いしれるとしよう。
レーベルの常連ピアニスト、ロス・トンプキンスのトリオ作品。
アート・ワークこそえらく気合いが入っているものの、いつものメンバーが、いつものスタジオで、いつものプレイをしている、コンコード・レコーズの通常運転です。
このレベルの演奏が、彼らの日常であり、平均的水準だったのです。
たいへんな力量の賜物なのに、さも朝飯前のようにやってみせてしまう。こういう作品が、コンコードのカタログにはずらずら並んでいます。
質を維持しつつ、量を確保できた。
コンコードが数多のインディ系レーベルと一線を画するのは、まさにこの点に尽きるような気がします。
またコンコードには、音質の優れたレコードがとても多い。
インディなレーベルには、音質に無頓着なところも少なくありません。しかしクオリティ・コントロールの行き届いたコンコードは、音質面に関しても同業他社に水を開けました。
本作とて例外ではありません。「せっかくレイ・ブラウンに来ていただいたんだから、ベースをきっちり録らなきゃどやされちまう」と録音技師も沈む夕日にコブシ握りしめたことでしょう。
ベースの音が生々しいのはもちろんのこと、ピアノの音はみずみずしく、ドラムのブラシ音はサワサワしています。ジャケットのイメージそのままに、ピアノ・トリオの音宇宙を左右のスピーカーできっちり描き切りました。
ガーシュウィン・ナンバーのA3は、ベースもドラムスもいないソロ・ピアノです。
まるで歌うかのようなピアノです。ピアノが歌っています。リンダさんの歌声が脳内から漏れてきてしまった。
もうひとつのガーシュウィン・ナンバーB3も、ピアノの独奏なんですよね。ガーシュウィンはひとりでやらせろ、という謎のこだわり。
ひとつは、語るジャズ。
ジャズを語っているオレ、に酔いしれるためのジャズです。
オレはこれを聴いているんだ、というアピールをする(実際に聴く必要はありません)ために存在するので、そういうアピールをする相手がいなければたちまち意義を失います。
もうひとつは、聴くジャズ。
ただ聴くだけです。それだけです。それでいいのです。
語ることなんて何もない。
ふたつのジャズはそもそも目的も用途も違うので、どちらが上とか、どちらが正しいだとか、そういう区別ではありません。
そしてコンコード・レコーズのジャズは、概ね後者に属します。
70~80年代、コンコードの諸作はジャズ・ジャーナリズムに黙殺された、などとよく言われます。要するにスイングジャーナル誌の紹介が少なかったり、小さかったり、あるいはなかったりとか、そういうことです。
実際のところ、「黙殺」というほど能動的な扱いではなかったのではないかなあ。
コンコードは、語るジャズではなく、聴くジャズ。だから単に語ることがなかっただけ。
聴いた人が、ああ面白いな、楽しいな、気持ちいいな、と感じたら、そこで完結します。他者へのアウトプットはありません。自分が満足するかどうかだけです。
「あっ、そこそこ、あっ、き、気持ちいい、あっ、あーっ」とか、そんな言葉しか出てこないんだもん。語りようがない。
レーベルの全盛期であってさえ、語られることのほとんどなかったコンコードの作品群。ところがインターネットの時代になると、その素晴らしい作品世界について言及する人々がチラホラと出現します。
冒頭で述べた通り、語るジャズは、語る相手がいなければ成立しません。だがインターネット時代は、語る相手が生身のニンゲンである必要なんてない。血や肉のない電脳空間そのものが、語る相手になってしまうのです。
聴くジャズだったコンコードが、今や語るジャズへと変容しました。
だから私もここで、こうして、心おきなくコンコードを語ることができます。ありがとうインターネット。語っている自分に酔いしれるとしよう。
レーベルの常連ピアニスト、ロス・トンプキンスのトリオ作品。
アート・ワークこそえらく気合いが入っているものの、いつものメンバーが、いつものスタジオで、いつものプレイをしている、コンコード・レコーズの通常運転です。
このレベルの演奏が、彼らの日常であり、平均的水準だったのです。
たいへんな力量の賜物なのに、さも朝飯前のようにやってみせてしまう。こういう作品が、コンコードのカタログにはずらずら並んでいます。
質を維持しつつ、量を確保できた。
コンコードが数多のインディ系レーベルと一線を画するのは、まさにこの点に尽きるような気がします。
またコンコードには、音質の優れたレコードがとても多い。
インディなレーベルには、音質に無頓着なところも少なくありません。しかしクオリティ・コントロールの行き届いたコンコードは、音質面に関しても同業他社に水を開けました。
本作とて例外ではありません。「せっかくレイ・ブラウンに来ていただいたんだから、ベースをきっちり録らなきゃどやされちまう」と録音技師も沈む夕日にコブシ握りしめたことでしょう。
ベースの音が生々しいのはもちろんのこと、ピアノの音はみずみずしく、ドラムのブラシ音はサワサワしています。ジャケットのイメージそのままに、ピアノ・トリオの音宇宙を左右のスピーカーできっちり描き切りました。
ガーシュウィン・ナンバーのA3は、ベースもドラムスもいないソロ・ピアノです。
まるで歌うかのようなピアノです。ピアノが歌っています。リンダさんの歌声が脳内から漏れてきてしまった。
もうひとつのガーシュウィン・ナンバーB3も、ピアノの独奏なんですよね。ガーシュウィンはひとりでやらせろ、という謎のこだわり。
★★★ | 採点表を見る |
Ross Tompkins: Piano
Ray Brown: Bass
Jake Hanna: Drums
Produced by Carl E. Jefferson, President, Concord Jazz, Inc.
Recorded and Remixed at Coast Recorders, San Francisco, CA
Recording and Remix Engineer: Phil Edwards
Mastered at CBS Studios, San Francisco, CA
Cover Photo: Copyright by the California Institute of Technology and Carnegie Institution of Washington, Reproduced by Permission From the Hale Observatories
Art Direction: DH Studio
Ray Brown: Bass
Jake Hanna: Drums
Produced by Carl E. Jefferson, President, Concord Jazz, Inc.
Recorded and Remixed at Coast Recorders, San Francisco, CA
Recording and Remix Engineer: Phil Edwards
Mastered at CBS Studios, San Francisco, CA
Cover Photo: Copyright by the California Institute of Technology and Carnegie Institution of Washington, Reproduced by Permission From the Hale Observatories
Art Direction: DH Studio
0 件のコメント:
コメントを投稿