2020/03/08

Frank Weber ('80)

A1Take It to the LimitB1Who Wrote the Answers
A2The Old ManB2Reflections of Myself
A3You Can Come Home to MeB3Just like Everyone Else
A4Between N.Y. and L.A.B4Only for Tonight
B5Between N.Y. and L.A. (Reprise)
 先日、『イノセントマン ビリー・ジョエル100時間インタヴューズ』という本を読みました。内容はタイトルそのまんま、ビリーの半生を本人のインタビューを中心に綴ったものです。ビリーとデクスター・ゴードンに、ほんのちょっとだけ接点があったり、デイヴ・ブルーベックと会った際、緊張のあまりしゃべれなくなってしまったりと面白エピソードいっぱいの、とても読み応えのある本です。

 ビリーが長年にわたって悩み、苦しんだのはエリザベスとの関係、そして義弟フランク・ウェーバーによる乱脈きわまる経理です。絶頂期のビリーが稼ぎ出したアルバムやコンサートの莫大な売り上げを、せっせとちょろまかしていました。

 今回紹介するフランク・ウェーバーは、もちろんビリー・ジョエルの義弟とは別人です。
 しかし奇しくも本作、内容はピアノを弾きながら歌うビリー・ジョエルのスタイルにかなり似ています。遠慮なく言わせてもらうと、ビリー・ジョエルのぱちもんです。

 寄せ集めたスタジオ・ミュージシャンたちではなく、いつもいっしょにライヴを演っているレギュラー・バンドの連中とレコーディングしていることからも、そこはかとなくビリー・ジョエルへの憧憬が感じられます。おまけに、レギュラー・バンドにサックス奏者が常駐しているあたりもビリーっぽい。

ニューヨーク52番街』や『グラス・ハウス』などでビリーが打ち出した、タイトなバンド・サウンドを目指していたのは、本作を聴けば明らかです。

 ゴージャスなホーン・セクションを従え、ブカブカドンドン盛り上がるA4がいちばんの聴きどころでしょう。なおホーン・セクションのメンバーには、本家ビリー・ジョエルと共演歴のある人もゾロゾロいたりします。ニューヨークって案外、広いようで狭いのかもしれませんね。

 アルバム全体としては、いい曲もあり、しょっぱい曲もありでそこそこの出来といったところ。残念ながら本作、あまり売れなかったみたいです。しかしこのB級ビリー・ジョエルは、そんなことで落ち込んではいなかったんじゃないかって思うんだ。

 フランク・ウェーバーはピアノの腕前を鍛え上げるべく、レニー・トリスターノに師事していました。つまりリー・コニッツやウォーン・マーシュと同門ということです。ひえーっ。
 商業主義に背を向け、大衆に媚びない音楽を貫いた孤高の集団、トリスターノ派の端くれですよ。売れようが売れまいが知ったこっちゃない。むしろ売れなくて上等だコノヤロー、くらいの気持ちだったのではないかなあ。
★★★

The Band
Frank Weber: Vocals, Piano & Fender Rhodes
Tim DeHuff: Electric Guitar
Ron Tierno: Drums
Harvey Auger: Bass
Armen Halburian: Percussion
Frank Elmo: Saxophone

Album Produced by Ed Newmark

Recorded & Mixed at Secret Sound Studios, N. Y. C.
Recording Engineer: Jack Malken
Remixing by Jack Malken and Michael Barry
Associate Recording Engineer: Darroll Gustamachio
Assistant Engineer: Ed Sullivan
Cover Photography: Nick Sangiamo
Art Director: J. J. Stelmach
Mastering Engineer: Jack Adelman, RCA, N. Y.
Music Clearance and Administration: Fran Schneider, Live Music Publishing Group

Production Assistant: Miki Newmark

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