2019/06/05

Ray Parker Jr. and Raydio / Two Places at the Same Time ('80)

A1It's Time to Party NowB1A Little Bit of You
A2Until the Morning ComesB2Everybody Makes Mistakes
A3Two Places at the Same TimeB3Can't Keep from Cryin'
A4Tonight's the NightB4For Those Who like to Groove
 セッション・ギタリストとしては称賛し、レイディオやアーティストとしての活動は小馬鹿にする。音楽好きな人々の、レイ・パーカー・Jr.に対する態度は、だいたいこういったところではないかな。

 ギタリストとしての活躍ぶりは、今さら言うまでもないでしょう。70年代、西海岸発のヒット曲、ヒット・アルバムで、しょっちゅうリズム・ギターを弾いていますからね。匿名性の高いスタジオ・ワークで、こっそり、さり気なく貢献をしている縁の下の力持ち、というポジションが、音楽通の心をくすぐるのもわかります。
 しかしながら、レイディオのリーダーとして、あるいは歌手として、ソングライターとしてレイ・パーカー・Jr.がきちんと評価されているのか。これは微妙ですな。考えられる理由は次の2つ。
  1. 裏方の人が表に立っちゃったやるせなさ
  2. ブラコンというジャンルそのものに対する冷遇
 ま、世間がレイディオの高い音楽性に気付いてしまい、中古レコードの価格が突如高騰なんてことになったらそれはそれで困りますので、今のビミョーな位置付けでいいと思います。

 のっけのA1はタイトル通りのパーティ・チューンです。左ch・右chの軽快なリズム・ギターと、センターでぶんぶん唸るベースの絡みが聴いていてじつに気持ちいい。こいつはパーティにもってこいです。
 アルバム・タイトルにもなったバラードA3は、本作いちばんの出来。「アオゥ」と叫ぶのはマイケル・ジャクソンだけじゃなかったんだね。
 A4は共演歴のあるハービー・ハンコックが友情出演。本作唯一の寒色チューンです。ヒートしたパーティから抜け出し、ちょっと外の空気でも吸おうかといった趣。

 これらA面の流れは絶品。しかしB面が振るわない。A面を劣化再生産したかのようで、聴いているとだんだん飽きてきます。もしAB両面とも上出来だったら、パーティ・アルバム(エロ事のBGMも可)の金字塔になれたかもしれない。惜しいです。
 なお本作には、ストリング・セクションはありません。その分、ストリングスっぽい音のシンセサイザーにかなり依存しています。この当時の技術では、ここまで似せるのが精一杯だったのかな。このなんちゃってストリングスが、本作全編にわたっていい味を出していることも付記しておきましょう。
★★★

Produced By Ray Parker, Jr.
Recorded and Mixed at Raydio and Ameraycan Studios, Hollywood, California
Engineered and Mixed by Ray Parker, Jr.
Mastered by Bernie Grundman at A&M Studios

Raydio
Ray Parker, Jr.
Arnell Carmichael
Darren Carmichael
Larry Tolbert
Charles Fearing

Guest Musicians
Ollie E. Brown: Drums, Percussion and Special Effects
Sylvester Rivers: String Ensemble
Herbie Hancock: Piano and Moog
Horatio Gordon: Flute
Ken Peterson: Trumpet and Flugelhorn
Gary Coleman: Vibes
Jack Ashford: Tambourine

Guest Background Vocalist
Deborah Thomas

Art Direction and Design: Ria Lewerke - Shapiro / Grafis
Photography: Gary Regester

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