2019/02/27

Buddy Rich / The Roar of '74 ('74)

A1NuttvilleB1Time Check
A2Kilimanjaro CookoutB2Prelude to a Kiss
A3Big MacB3Waltz of the Mushroom Hunters
A4Backwoods SidemanB4Senator Sam
 バディ・リッチは空手の達人で、海兵隊で訓練教官をしていたという話を聞いたことがあります。なるほど、パワフルなドラミングは強靭な肉体の賜物というわけです。

 そういう彼がビッグ・バンドを率いるのですからおそらく、いや間違いなく、体育会系のタテ社会、鉄拳制裁が横行するパワハラ桃源郷なバンドだったことでしょう。

 本作のA1を聴くと、そう思わずにはいられません。同好会でもサークルでもなかよしグループでもない、この鉄の団結、一体感は、まぎれもなく体育会です。

「のびのび」「マイペース」「ゆとり」「がんばらない」「逃げたっていい」…そんなキーワードに代表される平成末期ニッポンのぬるいマインドを粉々に打ち砕く鬼軍曹のドラミングと、バンドの全身全霊全力プレーが、強烈な音の圧力となってリスナーに襲い掛かります。
 よそのビッグ・バンドがウリにしているスイング感とは別次元の、全員一丸の凄まじいグルーヴです。どんだけ重いコンダラなんだよ。

 しかも恐ろしいことに、この勢いを維持したまま、バンドはアルバム終盤まで走り抜きます。聴き終える頃にはもうクタクタです。

 これを聴いて、大したアルバムだと思う。よくぞここまでやり抜いたと感心します。
 しかし、これを聴いてハッピーな気分になれるかというと、それは否なんですよね。

 何というか、その、海外ニュース映像で時折見かける、北朝鮮のマスゲーム。あれを見ていて抱く気持ち。「うわーすごい」と見入ってしまうのに、心から楽しめない、あの気持ちです。
★★★

Trumpets
Charlie Davis
Larry Hall
Greg Hopkins
John Hoffman

Saxophones
Joe Romano: Alto Sax
Bob Martin: Alto Sax
Pat La Barbera: Tenor Sax & Soprano Sax
Bob Crea: Tenor Sax
John Laws: Baritone Sax

Trombones
Alan Kaplan: Trombone
Keith O’Quinn: Trombone
John Leys: Bass Trombone

Buddy Rich: Drums
Buddy Budson: Piano
Joe Beck: Guitar
Tony Levin: Bass
Jimmy Maeulen: Conga
Sam Woodyard: Percussion

Produced by Sonny Lester

Recording Engineer: Malcom Addey
Mastering: Sam Feldman
Art Direction: Sam Alexander
Photography: Bruce Weintraub, Corona Color Studio

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