2018/06/24

Loleatta Holloway / Cry to Me ('75)

ロリータ・ハラウェイ / クライ・トゥ・ミー
A1Cry to MeB1Something about the Way I Feel
A2I Know Where You're Coming FromB2I'll Be Gone
A3The Show Must Go OnB3I Can't Help Myself
A4The World Don't Owe You NothingB4Casanova
A5Just Be True to MeB5H.E.L.P. M.E. M.Y. L.O.R.D.
 この人はサルソウル・オーケストラを従えて歌った"Run Away"でよく知られたソウル・シンガーですね。
"Run Away"たった1曲だけでも彼女がこの世に生を受けた意義はおつりが来るくらいじゅーぶんなものですけど、その数年前、アトランタのマイナー・レーベルから発表された本作は、今でもその筋の方々にたいへん高く評価されています。

 オリジナルの米盤はそこそこの価格で売られているようですね。私が買ったこいつは安かった。というのも、国内盤なのにライナーノーツがないから。ライナーがなくても、その分お安いのなら結構です。でも各曲の邦題がわからんのよね。

 サルソウル・オーケストラとの共演では、竹を割ったようなメスゴリラ系のヴォーカリストといった印象が強いこの人も、アルバムとなると喜怒哀楽、様々な表情を見せて(聴かせて)くれます。

 それらが凝縮されているのが、アルバム・タイトルにもなったドラマティック・バラードのA1です。
 もったいぶったピアノのイントロから、ソウル・ミュージックのお約束と言うべきセリフ読みがエンエン続きます。1:14あたり、セリフ読みが終っていよいよ歌に転ずる瞬間のスリリングな高揚感をいったい何と表現したらよいのやら。ひたすら滑走路を助走していたジャンボ機が、ふうっと地面から離れて飛び立つまさにその瞬間のような解放感があります。
 歌いっぷりが徐々にエスカレートする様子は圧巻。
 淡々と説教を始めたのに自分の言葉で次第にヒートアップしてやがて部下を罵倒してしまう上司のように、歌に入るあまり感情がこみ上げて激しく歌い、そして激しく歌うことによってさらに感情がこみ上げるというエモーション青天井。これが世にいう自己知覚理論というやつですか。
 4:00を過ぎたあたりから、いよいよメスゴリラ・モード発動。待ってました。愛にふるえるメスゴリラがリミッター解除の雌叫びを上げ、200キロの握力で聴き手の心をわしづかみします。
 いやはや大変な盛り上がりです。A面の1曲目なのにすでにもうギンギンですよ。いったいどうなっちゃうんだこのアルバムは。

 しかしピークはここでした。A2以降は平板な曲が続いて終了。
 まあそんなもんです。他が凡庸なだけに、A1が際立ちました。このアルバムはA1があればそれでいいの。

 ドラマを感じさせるジャケット写真、じつに味があります。窓の向こうに見える人影は、大きな荷物を持っているのかな。去って行く男。留まる女。愛の終わり。そして股間に残るほとぼり…。

 ロリータさん美人ですね。そして容赦ない胸の谷間アピール。
★★★

Produced by Floyd Smith

Engineer: Milan Bogdan
Mastered by Milan Bogdan at The Sound Pit
Recorded and Mixed at Sound Pit, Atlanta, Georgia

Album Designed by Ruby Mazur
Photography: Nick Rietz

0 件のコメント: