2018/06/16

Herb Ellis / Soft & Mellow ('79)

ハーブ・エリス / ソフト&メロー
A1Shine
シャイン
B1If I Should Lose You
イフ・アイ・シュッド・ルーズ・ユー
A2I Concentrate on You
アイ・コンセントレイト・オン・ユー
B2Wave
ウェイヴ
A3Watch What Happens
ウォッチ・ホワット・ハプンズ
B3Polka Dots and Moonbeams
ポルカ・ドッツ・アンド・ムーンビームス
A4Jeff's Bad Blues
ジェフズ・バッド・ブルース
B4Rosetta
ロゼッタ
 60年代のフリー・ジャズとか、うるさくて汚い音のジャズにうんざりしていたリスナーは、少なからずいたのでしょう。
 70年代に入り、50年代ムードのジャズを復興させようとするムーブメントが、メインストリームから離れたところで、深く、静かに進められました。

 サンフランシスコの中古車ディーラー、カール・E・ジェファーソンは、ジャズ・ギターが大好きで、大好きでたまらない。そこで、クルマを売りまくって築いた富を元手にレーベルを興し、50年代ジャズ・ギターの大物たちをシスコに呼び寄せてレコードを制作するようになります。

 後年、メジャー・レーベルに成り上がるコンコードも、その起源は中古車屋の大将の道楽だったわけです。
 それゆえ、コンコード初期の商品構成はジャズ・ギター、ジャズ・ギター、ジャズ・ギターとひたすら続きます。だって大将の趣味なんだもん。
 音楽業界では素人でしかない市井のジャズ・ファンが、ヘタに売れ筋を狙うことなく、自分の好みを貫いた。このあたりに、コンコードが成功した要因があるような気がします。

 冒頭で述べた通り、楽しい気分になれないジャズ、あるいはジャズもどきにうんざりしていた多くの人が、大将の趣味に付き合ったのでしょう。レーベルはじわじわ成長し、やがてギタリスト以外の作品も手がけるようになります。

 本作はちょうどその頃、コンコードが101匹ジャズ・ギタリスト大行進の状態を抜け出し、多角化が軌道に乗り出した時期に録音されました。スコット・ハミルトンを売り出したのもたしかこの頃だったのではないかな。

 ハーブ・エリスはレーベル立ち上げからの常連で、最大級の功労者と言ってもいいくらいです。
 コンコードのハウス・リズム・セクションを従え、いかにも50年代っぽい、まるで60年代なんてなかったかのような、中古車屋の大将が大喜びしそうな渋い音色のジャズ・ギターを弾いています。一般大衆が脳内にイメージするコンコード初期のジャズ・ギターの音そのものです。
★★★

Herb Ellis: Guitar
Ross Tompkins: Piano
Monty Budwig: Bass
Jake Hanna: Drums

Produced by Carl E. Jefferson, President, Concord Jazz, Inc.
Recorded at Coast Recorders, San Francisco, CA August, 1978
Remixed at PER, San Francisco, CA
Recording and Remix Engineer: Phil Edwards
Mastered at the Mastering Room, San Francisco, CA
Cover Photo: B. R. Burr
Art Direction: DH Studio

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