2018/06/14

Frankie Valli / Closeup ('75)

フランキー・ヴァリ / 瞳の面影
A1I Got Love for You, Ruby
ルビーに魅せられて
B1My Eyes Adored You
瞳の面影
A2Why
何故
B2In My Eyes
瞳の奥に
A3He Sure Blessed You
貴方の面影
B3Swearin' to God
神に誓って
A4Waking Up to Love
愛に目覚めて
A5I Can't Live a Dream
夢が見られない
 このアルバムが登場した70年代半ば、アメリカ音楽界は過去のスターが相次いで第一線にカンバックしてチャートを荒らし、けっこう盛り上がっていました。

 ポール・アンカ、ボビー・ヴィントン、ニール・セダカなど、引退したわけではないものの、人々に忘れ去られ、ひっそりと、細々と、しかし粘り強く活動していた往年の名歌手たちが突如ヒットを飛ばし、続々と表舞台に躍り出たのです。

 なかんずくフランキー・ヴァリの本作は、特大ホームランとなりました。ここで打っていなかったらおそらく『ジャージー・ボーイズ』なんつー舞台はなかったでしょう。

 モータウンで飼い殺し同然の憂き目に遭っていたヴァリは再起を期して、プライベート・ストック・レコーズという新興レーベルに移籍します。
 死に体のヴァリを蘇生させるため、プロデューサーが全米規模の巨大プロジェクトを敢行。ニューヨーク、ハリウッド、東西最高のミュージシャンたちを、制作費度外視でめいっぱいかき集めました。
 産声を上げたばかりのプライベート・ストックにとって、これはかなり痛い出費になったことでしょう。レーベルの未来を、ここ数年ヒットに恵まれていない、まるで「あの人は今」な状況にあった過去のスターに賭けたのです。

 えらい博打しよる。のっけから篠沢教授に全額つっこむような蛮勇っぷり。
 しかし気まぐれな音楽の神様は、こういうムチャな奴らにこそ微笑むのです。篠沢教授ジャックポット発動。

 B1はシングル・チャートで1位まで昇りつめました。今日ではディスコ・クラシックとして名高いB3、それらにサンドイッチされたしっとりバラードB2も捨て難い。
 かようなB面の流れにはうっとりしてしまいます。たとえA面の5曲がうんこ5連発であっても、B面だけでじゅーぶんモトを取れます。

 豪華絢爛、スーパースターがゾロゾロと名を連ねる召集ミュージシャンのリストに、Dom Monardoというトロンボーン奏者の名前があります。
 のちのミーコ・モナルドである。

 Aクラスの人材を大量動員した巨大プロジェクトの最前線で陣頭指揮に駆け回ったチャーリー・カレロの姿を、下っ端の一兵卒として見ていたミーコ・モナルドは、大いに感化されました。野望の炎に油を注がれたのです。

「いつかはオレだって、海千山千のスゴ腕ミュージシャンをまとめ上げて大きな仕事をしてやるぜ!」

 彼の凌雲の志は数年後に遂げられます。その話はまたいずれ。
★★★

A4, B1, B2 and B3
Produced by Bob Crewe
Recorded at Media Sound Studios, New York
Recording Engineer: Michael Delugg
Arranged by Charles Callelo
Musicians
Guitars: Eric Weissberg, Elliot Randell, Jerry Friedman, Bob Mann, Jeff Mironov, Cliff Morris
Percussion: Jimmy Maeulen
Drums: Ron Zito, Rick Marota
Bass: Gordon Edwards
Piano: Kenny Asher
Trumpet: Alan Rubin, Lou Soloff, Jon Faddis
Trombone: Don Monardo, Wayne Andre
Bass Trombone: Dave Tylor
Sax: George Young, Bob Keller, Joe Farell, Dave Tofani
Baritone Sax: Lou DelGatto
Harp: Margret Ross
Violin: Manny Green, Max Pollikoff, Max Ellen, Harry Cykman, Harry Kohon, Pete Dimitriades
Cello: Geroge Ricci, Kermit Moore
Background Vocals: Patti Austin, Joshie Armstead, Tasha Thomas, Carl Cauldwell

A1, A2, A3 and A4
Produced by Bob Gaudio
Recorded at Sound Factory, Hollywood
Recording & Mixing Engineer: Val Garay
Arranged by Charles Callelo
Musicians
Guitars: Neil Lebang, Mike Deasy, Larry Carlton
Bass: Chuck Rainey
Percussion: Victor Feldman
Conga: Miss Bobbye Hall
Drums: Jim Keltner
Piano: Michel Rubini
Violin: Marshall Susson, William Hymanson, Jack Shulman, Henry Roth, Jesse Ehrlich, Charles Veal, Shirley Cornell
Background Vocals: Carolyn Willis, Clydie King, Marti McCall, Jackie Ward

Disc Mastering: A&M Studios, Hollywood
Engineer: Bernie Grundman
Photography: Joel Brodsky
Design: The Music Agency
Art Direction: Beverly Weinstein

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