2018/06/12

Diane Schuur / Deedles ('84)

ダイアン・シューア / ディードゥルズ
A1The Very Thought of You
ベリー・ソウト・オブ・ユー
B1Reverend Lee
レバレンド・リー
A2New York State of Mind
ニューヨークの想い
B2I'm Just Foolin' Myself
アイム・ジャスト・フーリン・マイセルフ
A3Teach Me Tonight
ティーチ・ミー・トゥナイト
B3Rock Me on the Water
ロック・ミー・イン・ザ・ウォーター
A4I'm Beginning to See the Light
ビギニング・トゥ・シー・ザ・ライト
B4Can't Stop a Woman in Love
ウーマン・イン・ラブ
A5I'll Close My Eyes
アイル・クローズ・マイ・アイズ
B5Amazing Grace
アメイジング・グレイス
 ディードゥルズというのは、ダイアン・シューアのあだ名。
 70年代に人知れずレコード・デビューをしていた、とのことですが、そんなことは「なかったこと」にして、GRPが送り出した遅咲きの大型新人の、実質デビュー作。

 レコードに針を下ろし、最初に流れるピアノの「ピロリン」…これが何とも言えない、いい雰囲気なのです。名盤の予感さえします。

「ピロリン」を弾いたのは、レーベルのオーナーでもあるデイヴ・グルーシン。ディードゥルズを大スターにして、レーベルの稼ぎ頭にしてやるぜ!という野心はそれほど感じないにしても、結果的にレーベルを代表する大歌手になりました。稼ぎました。

 スタンダード・ナンバーのA1「ベリー・ソウト・オブ・ユー」は「ピロリン」の魔法の効果もあってか、繊細さと豪放さをあわせ持つディードゥルズの魅力がいかんなく発揮されてます。やはりA面1曲目はこうでなくっちゃ。

 A2とB2では、なんとテナー・サックスの人間国宝、スタン・ゲッツが参加しています。

 本作の数年前、ディジー・ガレスピーよりディードゥルズを紹介されたゲッツは、この無名歌手のエネルギッシュな歌唱にほれ込みました。そして彼女を何としても売り出そうと陰日向で走り回り、ホワイトハウスの催しにねじ込んだりして、ようやくGRPとの契約を勝ち取ることになるのです。
 才能を見出し、メジャー・レーベルとの契約まで仕切ったゲッツが、自ら伴奏してデビューに花を添えたわけ。

 …とこれだけ書くと何だか美談のように思えちゃいます。しかし実際には、赤貧だったディードゥルズにゲッツがコカインを融通したり、その勢いで肉体関係になったりと、優等生エピソードだけに止まらない事情がいろいろあったようです。

 ただしどんな内幕であったにせよ、B2のゲッツのソロ、これは文句なしの出来。この音。このフレーズ。
 凄まじい集中力で、その瞬間、その瞬間に最もあらまほしい旋律を紡ぎ出すインプロヴィゼーションの至芸であります。
★★★

Arranged and Conducted by Dave Grusin
Produced by Dave Grusin and Larry Rosen for Grusin / Rosen Productions

Concertmaster: David Nadien

String Section:
Charles Libove
Barry Finclair
Jon Mullen
Elena Barere
John Pintavalle
Richard Sortomme
Gerald Tarack
Harry Lookofsky
Lewis Eley
Regis Iandiorio
Jean Ingraham
LaMar Alsop
Theodore Israel
Julien C. Barber
Sue Pray
Charles P. McCracken
Richard Locker
Gloria Agostini: Harp

Recorded by Larry Rosen, Kaye-Smith Studios, Seattle, Washington
Assisted by Reed Ruddy
Additional Recording by Josiah Gluck, The Review Room, NYC
Strings Recorded by Ed Rak, Clinton Recording, NYC
Assisted by Rebecca Everett
Mixed by Dave Grusin, Josiah Gluck and Larry Rosen The Revew Room, NYC on the JVC Digital Audio Mastering System
Digital Master Editing: Josiah Gluck, The Review Room, NYC
Mastered by Ted Jensen, Sterling Sound, NYC
Digital Equipment: Digital by Dickinson

GRP Production Coordinator: Peter Lopez

Stylist: Casey Cain
Cover Photo: Bill Cannon
Art Direction: Andy Baltimore

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