2018/06/12

Dexter Gordon / Great Encounters ('78)

A1Blues Up And DownB1Diggin' in
A2CakeB2Ruby My Dear
B3It's Only A Paper Moon
 50~60年代を薬物中毒で棒に振ったデクスター・ゴードンも、70年代にようやくエンジンがかかります。
 スティープル・チェイスへの一連の吹き込みで健在アピールし、その余勢でニューヨークへ再上陸を果たすのです。

 50~60年代の寡作っぷりがウソのように、70年代は大量のレコーディングをこなしています。内容も、極上のものを期待しなければ、どれもそれなりに聴かせてくれます。
 あまりファンの話題に上がらない本作も、そういう流れで「まあこんなもんだろ」といった趣。

 名盤ガイドを手に傑作や話題作ばかりを買い求める人々の目にいちばんとまらないのが、こういうタイプの作品なのかもしれません。
 ありがちなメンバーが、特に変わったことを弄するでもなく、ありがちな演奏に徹して、よくもなく、悪くもない出来。

 70年代ジャズにはそういうアルバムが多く、とんがった作品をもてはやすことの多いジャズ・ジャーナリズムや名盤ガイドにとって、盲点になっています。

 そのおかげか、中古レコード市場における70年代ジャズは廉価です。うっかり再評価されてしまうと価格が高騰する可能性もありますので、脚光を浴びたりせず、盲点のままでいてくれる方がいい。このままほっといてくれ。

 さて本作、A面はジョニー・グリフィンを相棒に、カーネギー・ホールでのライヴです。長身のデックスとチビのグリフィンが並んだステージは、さぞや絵になったことでしょう。
 B面は歌手のエディ・ジェファーソンを起用したスタジオ録音。ウディ・ショウ、カーティス・フラーとの豪華3管共演です。

 A面B面ともに、それぞれ快調なプレイを聴かせてくれるものの、寄せ集めというかごった煮の感は否めず、1枚のアルバムとして統一感が乏しいのがよろしくなかったのでしょうか。
 名盤ガイドに載ることは絶無で、一般的なジャズ・ファンはおろか、デックス好きの間でさえ、本作はほとんど話題になりません。

 なお、ジャズには"Grand Encounter"というジョン・ルイスの名盤があるため本作と混同されかねず、タイトルでけっこう損をしているような気もしなくもないんだよな。

 それにしても本作のジャケット写真はさすがプロというか、広角レンズを使いつつも余計なものを入れずに上手いこと主役を引き立たせています。
 写真をかじった人ならおわかりいただけるでしょう。望遠よりも広角の方が、いい絵をものにするのはずっとずっと難しいのであります。
★★★

Produced by Michael Cuscuna
Executive Producer: Maxine Gregg

Personnel
Dexter Gordon: Tenor Saxophone
George Cables: Piano
Rufus Reid: Bass
Eddie Gladden: Drums

With Guest Artists
Johnny Griffin: Tenor Saxophone on A1 and A2
Eddie Jefferson: Vocals on B1 and B3
Woody Shaw: Trumpet on B1 and B3
Curtis Fuller: Trombone on B1 and B3

A1 and A2 Recorded at Carnegie Hall, New York on September 23, 1978
Live Recording by Fedco
Engineer: Tom Arrison
B1 and B3 Recorded at CBS Recording Studios, New York
Recording Engineer: Don Puluse
Remix Engineer: Don Puluse
B2 Recorded at CBS Recording Studios, New York
Engineer: Jerry Smith

Design: Ed Lee, Phyllis H. B.
Front Cover Photo: Ronald G. Harris

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