2018/06/10

CTI Summer Jazz at the Hollywood Bowl Live Two ('72)

CTIオール・スターズ・ライヴ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル Vol.2
A1Blues Force
ブルース・フォース
B1Theme from Love Story / Pavane / Fire and Rain
ある愛の詩 / パヴァーヌ / ファイアー・アンド・レイン
A2Rock Steady
ロック・ステディー
B2People Make the World Go Round
ピープル・メイク・ザ・ワールド・ゴー・ラウンド
 私が中古レコードに手を出し始めた90年代、CTIレーベルは、現在よりもずっと評価が低かったように思えます。

 ストレートアヘッドなジャズを良好とするわが国の平均的なジャズ・ファンのジャズ観は、インテリやインテリ崩れのクリティックが、ジャズ雑誌スイングジャーナルの誌上にて醸成してきたものと思われます。

 このジャズ観にとって、CTIのレーベル・カラーは奇異にてよろしからざるものに映ったのかもしれません。90年代時点では、インテリまたはインテリ崩れ的ジャズ観が支配的だったということになります。

 しかし、大衆はCTIを支持していました。ここのレコードはたいへんよく売れていたのです。
 売れていたから、インテリに嫌われていたのかな、とさえ思えてしまいます。
 自分が大衆の一員だと認めることは、インテリにとって死にも等しい恥辱ですからね。自分を特別視することが、彼らの栄養なのです。

 90年代後半からインターネットが普及し、CTIを買い支えた大衆にも、意見を発信する場が与えられることになります。

 CTIっていいじゃん。CTIってクール。
 インテリ崩れ的ジャズ観に相反する、大衆のナマの声。

 いいものを、素直にいいと言えない空気を閉じ込めていたフタが外れて、世界中に吹き出したのです。
 インターネットが私たちにもたらした最大の革命は、エロ画像でも価格比較サイトでもなく、インテリやメディアの呪縛から解き放たれた、自由で素直な意見を述べられる、ということに尽きます。
 もちろんエロ画像は、この革命の露払いとしてきわめて重要であったことを否定できませんけど。

 CTIレーベルのステータスは、一気に向上しました。
 今ではその業績や歴史的意義から、レコードに刻まれた快楽に至るまで、たいへん高く評価されています。

 一方でスイングジャーナルは消え、インテリたちがそのご高説を披歴する場はなくなりました。

 インターネットによって、命を与えられたもの。そして命を奪われたもの。

 言うまでもなく、上述した「革命」は、いいことばかりではありません。
 最近のニュースを見ていると、むしろロクなもんじゃないのではないか、なんて思っちゃうわけですよ。
★★★

Keyboards: Deodato, Johnny Hammond, Bob James
Bass: Ron Carter
Drums: Jack DeJohnette
Guitar: George Benson
Percussion: Airto
Saxophone: Hank Crawford, Joe Farrell, Stanley Turrentine, Grover Washington, Jr.
Trumpet: Freddie Hubbard
Flute: Hubert Laws
Vibes: Milt Jackson

Recorded at the Hollywood Bowl by Wally Heider on July 30, 1972
Mixed at Electric Lady Studios, May 1977, David Palmer, Engineer

Album Photography by K. Abe
Album Design by Sib Chalawick

Produced by Creed Taylor

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