2018/06/10

Chris Rea / Whatever Happened to Benny Santini ('78)

クリス・レア / ベニーズ・ソング
A1Whatever Happened to Benny Santini
ベニーズ・ソング
B1Fool (If You Think It's over)
フール
A2The Closer You Get
クローサー・ユー・ゲット
B2Three Angels
スリー・エンジェルズ
A3Because of You
愛につつまれて
B3Just One of Those Days
想い出のレイニー・ウォーク
A4Dancing with Charlie
ダンシング・チャーリー
B4Standing in Your Doorway
愛のかけら
A5Bows and Bangles
ラスト・グッドバイ
B5Fires of Spring
ファイアーズ・オブ・スプリング
 これはリイシューです。
 国内盤のファースト・イシューは、たしかモノクロのジャケットだったような気がする。
 ファーストは東芝EMI、リイシューはCBSソニーと、ディストリビューターが違うんだよね。

 世界中で大ヒットしてクリス・レアの名前を知らしめたB1「フール」は、当初「青春のいたずら」という邦題だったそうです。

 この邦題はリイシューに際し、なかったことにされてしまいました。どうしてかな?
 おそらく、「いたずら」という言葉に性的虐待の色が着いてしまったからだと思われます。

 もともと、レイプのことをいたずらと言い換えたのは、被害に遭った方たちへの配慮だったそうです。
 それはそれで間違っていない。でもそれが定着する一方で、本来いたずらという言葉が含んでいた、無邪気な意味合いが消えてしまいました。
 いたずらという言葉さえもレイプされてしまったわけ。

 私は「青春のいたずら」のシングルが欲しくて、あちこち靴底を摩耗させてさがし回りましたが、見つけることはできませんでした。かなり稀少のようです。レアだけに。

 これがデビューとはとても思えないくらいの渋い歌声で、失恋した妹を慰めるB1「フール」がやはり、本作最大の聴きどころでしょう。異論はないと思う。
 エレピ、ソプラノ・サックス、ストリングスがうねり、くねり、妹の再起をみんなでそっと見守るのです。

 クリス・レアはこのアルバムを後年、思い通りに作れなかった不本意な作品だと述懐しているそうです。
 それも無理からぬこと。
 当時の彼は右も左もわからんヒヨっ子だったわけで、大物プロデューサーの言うがままだったことでしょう。

 しかし、このアルバムがとても優れた作品であることは、みなさん聴いての通りです。
 本人の自己満足度と、作品の出来不出来は、必ずしも正比例しないのだということを、本作はわれわれに教えてくれるんだな。

 ところで本盤について、気になることがひとつあります。
 A3「愛につつまれて」の3:20辺り、左chにピッという短い電子音が入っているのです。制作時に、何らかのチョンボがあって混入してしまった雑音と思われます。
 これは私が持っている国内盤リイシューだけなのか。はたまた東芝EMI盤や、英盤・米盤にもあるのか。ひょっとしたらCD化されても残ってしまったのか。
 どうなんでしょう。そもそも何の音なんだこれは。このアルバムをお持ちの方、ちょっと聴いてみてもらえませんか。
★★★★

All Words and Music by Chris Rea
Produced by Gus Dudgeon
Engineer: Phil Dunne
Assistant Engineer: Stuart Epps
Cutting Engineer: Ian Cooper at Utopia
Sleeve Photography: Han-Chew Tham
Sleeve and Lyric Sheet Design: Jubilee Graphics

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