2019/05/14

Steely Dan / Aja ('77)

A1Black CowB1Peg
A2AjaB2Home at Last
A3Deacon BluesB3I Got the News
B4Josie
 スティーリー・ダンの特大ホームラン・アルバム。たしか年間アルバム・チャートで5位だったかな。

 スタジオにこもってだらだら作ってたら、製作費が大幅に膨らんじゃった、という余話も有名ですね。
 単に納期を管理する人が無能だった、というだけのように思えなくもない作り手側の事情も、売れたとなりゃ「飽くことなく質を追求した」なんて好意的に解釈されます。
 かかった製作費をはるかに上回る収益を叩き出し、関係者のみならずスタジオも、スタジオ・ミュージシャンも、スタジオにせっせとブツを納入した売人も潤ったのなら、それでいいんじゃないの。いやよくないか。とまれ、売れたもん勝ちですよ。

 今から20年以上前、『殺人魚フライングキラー』などで有名な映画監督ジェームズ・キャメロンが、タイタニック号の悲劇を映画化する企画に取り組んでいる、という海外ニュースが流れてきました。
 やがて撮影に入ったという続報があり、その後も、撮影が難航している、スケジュールが大幅に延びている、俳優がケガした、現場でスタッフが反乱を起こした、事故でセットがオシャカになった、などなど、混沌きわまる撮影状況がしょっちゅうニュースになっていました。そうこうしている間、当然のことながら製作費は手に負えないくらい、膨らみに膨らみ続けたわけです。
 ホンマに完成するんかいな…とそれらニュースで心配していた人々、あるいは面白がっていた人々を尻目に、映画はやっとのことで完成。いざ公開してみると、空前の大ヒットです。興行収入の記録をたちどころに塗り替え、おまけにアカデミー賞を総ナメ。半年以上にも及ぶロング・ランで稼ぎに稼ぎ、ビデオ化されるや2本組のVHSは飛ぶように売れました。

 作り上げるのにどれだけお金がかかろうとも、それを上回る稼ぎがありさえすればビジネスとしては成功なのです。しかし『タイタニック』にせよ、本作にせよ、単に損益分岐点を大きく引き離したことで後世に語り継がれているだけではありません。
 まぐれやインチキで、ここまでヒットはしないでしょう。やはり内容が秀でていたのです。

 私が思う本作最良の点は、クリアーな音質。70年代後半のアナログ録音技術は、ここまで成熟していたのかと驚かされます。しょぼいオーディオしか持ってない自分が口惜しくなるくらい、音がいい。
 その高音質でつまびらかにされる、ドナルド・フェイゲンのイケボ。何てカッコイイ声なんだお前は。
★★★

Recorded at
Village Recorders, West L. A.
Producer's Workshop, Hollywood
Warner Bros. North Hollywood Recording Studios
ABC Recording Studios
Sound Labs, Hollywood
A&R Studios, N. Y. C.

Engineers: Roger Nichols, Elliot Scheiner, Bill Schnee, Al Schmitt

Assistant Engineers: Lenise Bent, Ken Klinger, Linda Tyler, Ed Rack, Joe Bellamy, Ron Pangaliman

Executive Producer: Roger Nichols

Mastered by Bernie Grundman at A&M Studios, Hollywood

Produced by Gary Katz

Horns Arranged and Conducted by Tom Scott
Saxes / Flutes: Jim Horn, Bill Perkins, Wayne Shorter, Pete Christlieb, Plas Johnson, Tom Scott, Jackie Kelso
Brass: Chuck Findley, Lou McCreary, Slyde Hyde

Lead Vocals: Donald Fagen

Rhythm Charts Prepared by Larry Carlton, Dean Parks and Michael Omartian in Collaboration With the Composers

Bagman: Leonard Freedman
Production Coordinator: Barbara Miller
Covert Operations: Karen Stanley
Sound Consultant: Stuart Dawson
Hemiolas, Hockets, Maneries of Garlandia, etc: Andrew Frank
Protection: Irving Azoff

Art Direction: Oz Studios
Designed by Patricia Mitsui and Geoff Westen
Cover Photo: Hideki Fujii
Inside Photos: Walter Becker, Dorothy A. White

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